スマホをワイヤレスイヤホンと接続してゲームを楽しむ際、音の遅延が気になった経験がないだろうか。特にFPSなどのオンライン対戦ゲームや、リズムゲームなどをする際には、少しのずれがストレスになってしまう。
しかし、近年はBluetoothイヤホンの技術が発達し、遅延の少ないモデルも多く登場しているのをご存じだろうか。そこで、ゲームでの利用に最適なおすすめBluetoothイヤホンを、そもそもなぜ遅延が起きるのかを解説しながら紹介していこう。
Bluetoothイヤホンで音の遅延が起きる原因は?
では、まずはなぜBluetoothイヤホンでは音の遅延が発生するのかを解説していこう。
Bluetoothイヤホンの遅延は通信方式が原因?
Bluetoothイヤホンは、スマホなどのデバイスからイヤホンへ無線で音声ファイルを通信し、音楽が聴こえる。同じ通信方式の中でも機器ごとに「プロファイル」というものが規定されており、音声を伝えるためには、「A2DP(アドバンス・オーディオ・ディストリビューション・プロファイル/音楽再生プロファイル)が用いられる。
このプロファイルは、仕様上、約0.2秒ほどの遅れがどうしても出てしまう。また、Bluetoothの音声伝送に使われる「コーデック」という装置の種類によって、遅延の幅はより左右されてしまう。コーデックについては。下記にて改めて詳しく解説していく。
障害物や距離も遅延の原因となる。
無線通信の性質上、デバイスとイヤホンの間に障害物があったり、デバイスとイヤホンの距離が離れすぎてしまうと、通信障害が起き遅延の原因となりかねない。
遅延の少なさに影響するコーデックとは?
Bluetoothで音声データをイヤホンに送る際、そのままの状態では情報量が多すぎるため、データを圧縮して伝送する。この圧縮方式の名称が「コーデック」であり、音の遅延だけでなく、音質にも影響されるといわれている。
では、その「コーデック」の種類について、代表的なものをいくつか紹介していこう。
コーデックの種類【SBC】
SBCは、実はすべてのワイヤレスイヤホン・ヘッドホンに対応しているコーデック。ほかのコーデックと比較すると圧縮率が高く、圧縮のアルゴリズムも古いため、音質面は落ちるとされる。また、遅延も多く、約0.2秒ほどのずれが生じてしまうため、ゲームや動画視聴には向かないとされている。
コーデックの種類【AAC】
iPhoneやiPadなどのApple製品に搭載されているコーデックがAAC。その中でも「AAC CBR」と「AAC VBR」の2種類が存在し、「AAC CBR」の方が遅延は少ないとされている。音質においても、MP3よりも高い圧縮率で高音質を目指して開発されただけあり、SBCよりも上である場合が多い。iPhoneやiPadをイヤホンと接続して利用するのであれば、AACに対応したイヤホンの購入がおすすめだ。
コーデックの種類【aptX】
CPUの開発で有名な「Qualcomm」がライセンスを持つ「aptX」は、音質もよく低遅延なため、普及率が高い。特に音質に関しては、SBCやAACが人間では聞き取れない音や聞こえにくい音をカットして圧縮エンコードするのに対し、aptXは、ADPCM原理を利用し全ての周波数をエンコードする方式のため元の音に近いといれている。ほとんどのAndroidスマホには搭載されているので、Androidスマホを使用している人はこのコーデックが搭載されているワイヤレスイヤホンを選ぶといいだろう。
コーデックの種類【aptX HD】
aptX HDは、aptXのハイレゾ対応版コーデック。ビットレートが352kbpsから576Kbps、サンプリングレートが48kHz/16bitから48kHz/24bitに変更されているので、確実に高音質化されているといえるだろう。aptXよりも遅延率は高くなっているが、それでもAAC CBRと同レベルとされている。
遅延の少ないおすすめのBluetoothイヤホンを紹介
では、ゲームの音声も比較的ずれが少なく楽しめる、遅延の少ないBluetoothイヤホンを紹介していこう。
遅延の少ないBluetoothイヤホン【NUARL NT01AX】
「エム・ティ・アイ」が販売している「NUARL NT01AX」は、音質と接続性の両面をカバーした完全ワイヤレスイヤホン。aptXに対してのサポートが手厚く、接続するデバイスが対応していなくても自動でチューニングし、音質の低下を防いでくれる。また、遅延を低減さるための高性能チップ、「QCC3026」を採用しているため、通信性能が向上。音楽だけでなく、動画やゲームにも適したイヤホンだ。
【参照】NUARL NT01AX
遅延の少ないBluetoothイヤホン【SENNHEISER MOMENTUM True Wireless 2】
75年の歴史を持つ老舗オーディオメーカー「SENNHEISER」の「MOMENTUM True Wireless 2」も、遅延の少ないBluetoothイヤホンとして人気。遅延の少なさや音質にこだわられているのはもちろん、アクティブノイズキャンセリング機能や防滴性能、イコライザーも搭載された使い勝手のいいイヤホンだ。
【参照】SENNHEISER MOMENTUM True Wireless 2
遅延の少ないBluetoothイヤホン【RAZER HAMMERHEAD TRUE WIRELESS EARBUDS】
わずか60msと非常に低いレイテンシー(遅延時間)により、音声が途切れずデバイスと同期可能な「RAZER」の「HAMMERHEAD TRUE WIRELESS EARBUDS」。動画や音楽への没入感はもちろん、ゲーム環境でも遅延の少ないプレイが楽しめる。カスタムチューニングされた13MMドライバーも搭載されているので、高中音域・低音域共に高い音質が楽しめる。
【参照】RAZER HAMMERHEAD TRUE WIRELESS EARBUDS
※データは2020年5月下旬時点での編集部調べ。
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文/佐藤 文彦