新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークが新しい働き方として注目を集めている。在宅での勤務に欠かせないのが、ビデオ会議ツールだ。特に、「会社・組織としてどれを選ぶべきか」について迷っている方もいるだろう。
そこで本記事では、Skypeの法人向けサービス「Skype for business(スカイプフォービジネス)」に焦点を当て、基本機能、使い方、トラブル時の対処法を紹介する。法人向けの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてほしい。
※同サービスは2021年7月31日にサービスの提供を終了する。後継のMicrosoft teamsにその機能を移行する予定だ。
【参考】Officeソフトとの相性抜群!マイクロソフトのWeb会議ツール「Teams」の使い方と便利機能
Skype for businessの基本機能と使い方
Skype for businessは、一般ユーザー向けの基本無料で利用できるSkypeとは異なり、法人向けに提供されている有料ツール。インスタントメッセージ(IM)、音声・ビデオ通話、チャットなど基本的な機能に大きな違いはないが、一度に会議に参加できる人数が多く、セキュリティ面でもより充実した内容が整っている。
Microsoft 365、組織のサインインアドレスが必須
Skype For businessを使えるのは、Microsoft 365を購入しライセンスを保有している組織のみ。「Microsoft 365 ポータル」からサインインをして、「Skype for business」をパソコンにダウンロードする。また、サインイン時はSkype名やMicrosoftアカウントではなく、「組織のサインインアドレス」が必要だ。
Microsoftが提供しているサービスだが、WindowsはもちろんMacでも利用可能。Macユーザーの方は、「Mac 版 Skype for Business」をダウンロードして使用しよう。使わなくなったら、パソコン上からアンインストールすることも可能だ。
電話、音声通話
連絡先リストに表示されている相手と通話を行う場合は、相手のアイコンを選び、「受話器のボタン」を押すと相手を呼び出せる。
また、相手の名前がリストにない場合でも、検索ボックスから名前、連絡先で探して通話をしたり、(Skype for Businessのアカウントで「エンタープライズ VoIP」 がオンにしている場合は)ダイヤルパッドで直接番号を入力して呼び出したりすこともできる。
Web会議、ビデオ通話
ビデオ通話の場合も音声と同様、連絡先のリストや検索ボックスで表示された相手を選び、「ビデオボタン」を押せば通話ができる。
Web会議を行う場合は、Outlookのカレンダーを開き、参加者の予定を確認して会議の時間を設定すると、URLが発行される。これをメールなど、任意の方法で参加者に送付しよう。
なお、Skype for businessを利用していない参加者でも「ゲスト」として招待、参加することが可能だ。招待を受けた側は、URLをクリックするだけで会議に参加できる。
チャット
Skype for businessでメッセージのやり取りをするには、個別、複数人で行うチャットと常設のチャットルームを作成し、そこに参加してもらう方法がある。
個別の場合は連絡先から「吹き出しのマークのアイコン」を選べば、メッセージが送付できる。画面右上にある「他の人を招待」を選択すれば、複数人でのやりとりが可能だ。
常設のチャットルームは、権限を付与されているユーザーがメインウィンドウの「チャットルーム」から作成できる。プライバシー設定を任意に選択でき、メンバー全員が参加できるようにしたり、特定のメンバーしか見られないようにしたりすることができる。
パソコン版とスマホ版、使い方に違いはある?
Skype for businessは、PCだけでなく、スマホやタブレットなどのモバイル端末にアプリをダウンロードして利用することも可能。アプリは無料だが、Skype for businessのアカウントを所有していないと動作しない。
PC版
複数ユーザーのアカウント情報をキャッシュできたり、Web会議中に「ホワイトボード」や「投票」といった会議ツールを使用することができる。また、カレンダーの空き時間情報に基づいて、現在の状態を公開する機能も備わっている。ファイルの共有に制限もない。
スマホ・タブレット版
スマホ、タブレット版のアプリは、シンプルで見やすいインターフェイスを採用しているのが特徴。プッシュ通知機能やデバイス内の電話帳を呼び出せるなど、モバイルならではの利点もある。
ただし、AndroidやiPhoneで使用する場合、「画面共有機能に制限がある」「PowerPointファイルを表示する際はWi-Fi接続が必要になる」といった多少のデメリットは存在する点は覚えておこう。
Skype for businessにサインインできない、音が聞こえない時の対処法
Skype for businessでよくある二つのトラブルについて、主な原因と対処法についてまとめた。急にサインインできなくなった、音が聞こえなくなったという場合は参考にしてほしい。
サインインできない時
・「サインインアドレスに対してサーバーが信頼されているかどうかを検証できません」
このエラーメッセージが表示された場合は、ダイアログボックスに表示されたドメインが信頼できるものかを確認した後で、「このサーバーを常に信頼する」をオンにしてから接続しよう。
・サインインアドレス、ユーザー名、パスワードの誤入力
Skype for businessに登録しているメールアドレス、ユーザー名、パスワードがそれぞれ正しいものか再度チェックしよう。特に、先述したように「Skype名」や「Microsoftアカウント」とは別の「組織のサインインアドレス」が正しく入力されているか確認してほしい。
・パスワードを忘れた
もし、パスワードを忘れてしまった場合には「パスワードのリセット」が必要だ。新しいパスワードを発行し、再度サインインしてみよう。
・「認証サービスがこのバージョンのプログラムと互換性がない」
このエラーメッセージが表示された場合は、Skype for businessのアプリを一度アンインストールし、再インストールを試してみよう。
・証明書を取得または検証できないため、Skype for Business Online にサインインできません
「証明書の取得、検証ができない」と表示されたら、サインイン画面にある「サインイン情報を削除」を選択し、もう一度サインインを試してみよう。
音が聞こえない、声が相手に聞こえない時
・参加者、自分のマイクがミュートになっていないか
予約された電話会議の場合、最初は音声が自動的にミュート状態になっている。通話ウィンドウでマイクのアイコンを選び、解除しよう。
・PC側の音量設定を確認
Windows/Mac本体のスピーカー音量などの設定を見直そう。ボリュームが「0」「ミュート」になっていないか、再度チェックしてほしい。
・Macでマイクが使えない場合
Macを使用している場合、マイクにアクセスできるアプリとしてSkype for businessが認識されないケースがあるようだ。Macをリカバリーモードで再起動させ、システム整合性保護機能(SIP)を解除し、Skype for businessを認識させよう。
文/oki