手続きをしなくても、国民一人ひとりに送られてきた紙製の「マイナンバー通知カード」とは異なり、プラスチック製ICチップ付きの「マイナンバーカード」は、交付申請をした人だけが持つことができる。マイナンバーカードは、顔写真付きで身分証明書として使用できるのが特徴だ。
証明書である以上、引越しをして住所が変更した際には手続きが必要。本記事では、マイナンバーカードの住所変更の手続き方法と、カードを失くした場合の対応を紹介する。慌ただしい引っ越し時に、少しでもスムーズに申請ができるよう、事前に手順を確認しておこう。
マイナンバーの住所変更は義務?変更しないとどうなる?
マイナンバーカードは、行政の効率化と国民の利便性を高めることを目的に導入された制度。例えば、ふるさと納税をする際、確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる「ワンストップ特例制度」は、マイナンバーカードを利用して申請すれば、手続きが簡単になる。
また、直近では新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として、国民一人あたり10万円が支給される「特別定額給付金」の申請において、マイナンバーカードを利用したオンライン申請が話題になった。
これらの便利な手続きは、「マイナンバーに正しい個人情報が登録されている」ことが前提。そのため、引越しをして住所が変わるなど、登録情報に変更がある場合には更新の手続きが必要だ。役所での住所変更と同じように、マイナンバーの住所変更も義務と言える。
手続きに期限はある?変更しないと罰金の可能性も!?
引越しに伴う住所変更手続きは、転入日から14日以内に行う必要がある。さらに、住所変更されていないマイナンバーカードは、90日を過ぎると失効してしまうため注意が必要だ。その場合、再度発行手続きをして手数料を支払わなければならない。
また、届け出の必要性を知っていながら故意に変更を行わず「悪質」とみなされると、5万円の罰金が課されることもある。転入後は直ちにマイナンバーカードの住所変更を行うようにしよう。
マイナンバーカードの住所を変更する手順
ここからは、実際にマインバーカードの住所を変更する手順を解説する。必要なものを揃えた上で、速やかに手続きを済ませよう。
転出、転入時に準備するものと手順
・ 同一世帯の家族全員分のマイナンバーカード
・運転免許証などの身分証明書
・ 印鑑
※詳細は自治体によって異なる場合があるため、事前に市区町村のHPで確認しよう。
マイナンバーカードの住所変更は、転出届や転入届と一緒に手続きができる。手続きにかかる手数料は無料で、更新料などの費用はかからない。
・同一市区町村内での引越しの場合
同じ都道府県、同じ市区町村内へ引越しをする場合には、市区町村の窓口で「転居届申請」と「マイナンバーカードの住所変更」を行う。
・異なる市区町村へ引越しをする場合
一般的には、現在と異なる市区町村へ引越しをする場合、引越す前の住所地の役所で「転出届申請」をして転出証明書をもらい、引越し先で「転入届」と「マイナンバーカードの住所変更」の手続きを行う。
しかし、マイナンバーカードを持っていると「転出届」の申請時に転出証明書は交付されない。紙の書類は省略され、新しい住所の市区町村窓口で「転入届」を提出すれば住民票が新しい住所に移る仕組みだ。
マイナンバーカードの住所変更は、新しい住所地で「転入届」を提出するとき併せて行う。ただし、その際マインバーカードの「暗証番号」が必要となる。
マイナンバーカードを申請中で、受け取り前に引越しする場合は?
マイナンバーカードは、申請してすぐにもらえるものではない。もし、手元にマイナンバーがない状態(申請中)に引越しをして住所が変更されると、マイナンバーカードの申請は無効になってしまう。その場合、引越し後に改めてマイナンバーカードの申請が必要だ。
マイナンバーカードが発行されるまでには、申請から3~4週間かかる。1ヵ月以上は余裕を持って、引越し前に申請を行うか、引越し後に申請を行うか慎重に判断しよう。
スマホやパソコンからでも住所変更の申請はできる?
マイナンバーカードを利用して行政サービスをオンラインで受けられるサービス「マイナポータル」からは、スマホやパソコンで各種申請や電子証明書の発行が可能だ。
しかし、マイナンバーカードが交付されたときの登録情報から変更があった場合は、市区町村の窓口にカードを提出し、住所を書き換えてもらう必要がある。そのため、スマホ・パソコンからでは、マイナンバーカードの住所変更手続きは完結しない。
本人でなくても手続きできる?
住所変更の手続きは、自分以外の「代理人」に委任することができる。代理人を立てる場合には、以下のものを用意しよう。
・委任状
・代理人の印鑑
・代理人の身分証明書
代理人による手続きの際にも、「引越しをした家族全員分のマイナンバーカード」を持参する必要がある。代理人による手続き時に必要なもは、自治体によって異なるケースもあるようだ。事前に必要なものを確認し、不備がないよう準備をした上で代理人に依頼するようにしよう。
マイナンバーカードを紛失してしまったら、住所変更はどうすればいい?
最後に、マイナンバーカードや通知カードを紛失してしまった場合の住所変更の手順について解説する。紛失時にはまず、個人情報が悪用されるリスクを防ぎために、すぐにカードの機能を停止させよう。
すでに発行されたマイナンバーカードをなくしてしまった場合
証明書として利用できるマイナンバーカードを紛失してしまった場合、個人情報悪用のリスクがあるため、速やかに「個人番号カードコールセンター(0570-783-578)」へ連絡し、カードの機能を停止させる手続きが必要だ。
続いて、警察へ遺失届を提出し、受理番号控えておく(カードの再発行をするには、遺失届の受理番号が必要)。その後、現在住民票のある住所地の自治体窓口で再発行手続きを行う。なお、再発行は有料(1,000円)。
通知カードをなくしてしまった場合
令和2年5月25日以降、紙のマイナンバー通知カードの新規発行、再発行は廃止された。まだマイナンバーカードを持っておらず、通知カードをなくして自分のマイナンバーがわからない場合は、現在の住所地に届出が必要だ。まずは、現住所の役所に問い合わせをしよう。
マイナンバーカードを自宅に忘れても転居手続きはできる?
役所での住所変更時にマイナンバーカードもしくは通知カードを忘れた場合でも、転居届を提出することはできる。ただし、マイナンバーカードもしくは通知カードがなければ、マイナンバーの住所変更手続きはできないため、後日改めてマイナンバーの住所変更手続きを行う必要がある。
文/oki