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好みの音に変わる!?ヘッドホンを「エイジング」するとどんな効果が出るのか

2020.05.31

イヤホンやヘッドホンを購入した時に、音質が好みのものと違ったという経験はないだろうか。そんな時、オーディオ機器の音質を変化させると期待されるのが「エージング(エイジング)」という方法。では、実際にエージングには音質を変化させる効果があるのだろうか。

エージングは絶対に効果が出る? その方法とは

まずは、エージングに関する基礎的な解説をしていこう。

エージングの効果は科学的に証明できない

まず初めに、エージングによって音質が変化する、というメカニズムは科学的に証明されていない。オーディオメーカーによっても、エージングの効果がある、ないの意見は様々で、その効力は約束されたものではないという点はご了承いただきたい。

エージングはどのようにして行う?

エージングは、ヘッドホン内の振動版を動かし続け、製品ごとに異なる性能差をなくし、ヘッドホン本来の音質を安定して出すための作業といわれている。つまり、ヘッドホンのエージングは長時間、一定音量の音声を流し続ければよい。目安として、約100時間ほど「慣らし運転」を行えば、エージングは十分といわれているようだ。近年は、動画サイトに「ピンクノイズ」や「ホワイトノイズ」の音源があるほか、エージング専用のアプリも見受けられる。

ホワイトノイズ/ピンクノイズとは

ホワイトノイズとは、「すべての周波数において強さが一定となるノイズ」で、すべての色を含んだ光が白く見えるのにちなんでいる。ホワイトノイズの周波数の強さをグラフにし、周波数特性を示すと、値が平均的でフラットになる。

一方のピンクノイズとは、1/fノイズとも呼ばれ、1オクターブごとの強さが一定となるノイズを指す。ピンクノイズの周波数と強さをグラフ化して示した場合、周波数帯域が高くなるほど右下がりのグラフで示されるという特徴がある。

大音量でのエージングは注意

科学的にメカニズムが解析されていないエージングだが、やってはいけない動作は当然ある。一定時間振動版を動かすために音を流し続けるが、この音量が極端に大きいと、内部に損傷が起きてしまう可能性があるので、注意が必要だ。

エージングの効果は?

科学的な説明はできないものの、エージングには「尖った高音部分が柔らかくなる」、「主張が強い低音部が中高音とバランスよく聞こえるようになる」といた効果が得られるといわれている。また、ドライバ部分だけでなく、コードも程よく熟れていき、想定通りの音質に変化するという意見もある。しかし、内部の構造そのものを変えるわけではないので、全く違う音が出るというものでもない。初めからある程度自分好みのオーディオ機器を購入するといいだろう。

エージングで好みの音質になる?

当然、エージングを行ったからといって好みの音質に変化するわけではない。好みに近づく可能性があるのと同じように、好みの音質から遠ざかる可能性もあるだろう。また、エージングは、振動版を動かし続けたための「経年劣化」のようなもので音質が変わるという意見もある。音質を変えるための作業は、あくまで自己責任になってしまい、望まぬ結果に終わってしまう可能性があるのは理解してもらいたい。

製品によって効果に差がある

こちらも当然だが、エージングにの効果は製品ごとに違いがある。あまり音質が変化しない製品があれば、大きく変わるとされる製品もあるようだ。また、振動版を動かして音質を変えるため、振動版がより大きいスピーカーの方が、イヤホンやヘッドホンよりも効果が出やすいとされている。

ヘッドホンを購入したらエージングを行うべき?

音質の変化が見込めるものの、そのメカニズムがきちんと証明されていないため、賛否両論あるエージング。両者共通の意見として「見違えるほど大きな効果はない」、「大音量で長時間のエージングはヘッドホンの劣化を速めてしまう」という見解があるようだ。

また、エージングをしたからといって必ず好みの音に変化するのではなく、場合によっては嫌いな音質に近づく可能性もあり、それらは自己責任という点も忘れてはいけない。あらかじめ好みの音質のイヤホンを購入し、それでも納得いかなかった場合の手段としてとらえておく、くらいの認識でいるといいのかもしれない。

※データは2020年5月上旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※製品のご利用はあくまで自己責任にてお願いします。

文/佐藤 文彦

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