ノートパソコンを新しく購入する、または買い替えを検討する際に、データの保存量や処理速度の性能から機種を選ぶのは一般的。しかし、見慣れない英数字が並ぶ「CPU」の項目は、なんとなくで選んでいるという人も多いのではないだろうか。
最新で高いパフォーマンスのモデルであればあるほど、当然購入金額は高くなる。高い性能を誇るマシンであれば、使っていて不自由を感じにくいが、自身の用途以上の性能に高いお金を払うのももったいない。そこで、ノートパソコンに搭載されている「CPU」の種類や性能について解説していくので、購入の参考にしていただきたい。
そもそもノートパソコンのCPUとは?
CPUの種類について解説する前に、そもそもCPUとは何かを簡単に説明していこう。これを理解すれば、CPUの種類ごとの違いについてもわかりやすいだろう。
CPUはパソコンの演算や制御をする
CPUとは、Central Processing Unitの略で、パソコンのハードウェアやソフトウェアから受け取る指示を処理する部品。つまり、パソコンの動作を司る頭脳のような存在で、CPUの性能の良し悪しでパソコンの処理速度は大きく左右される。
同時に大切なメモリとストレージ
余談だが、CPUと並んで大切なメモリとストレージも簡単に説明しよう。メモリとは、パソコンが動作する際に仕事ができる容量の大きさ。机が大きいほど同時に様々な作業ができるように、メモリが大きければ、様々な作業が可能となる。一方のストレージは、データの保存量で、データを保存できる箱の大きさと考えればわかりやすいだろう。パソコンを購入する際には、このCPU・メモリ・ストレージの性能がバランスよく搭載されている機種を選ぶといいだろう。
COUの製造会社は主に2つだが……
ノートパソコンのCPUを開発しているメーカーは、「Intel」と「AMD」の2つがメジャー。しかし、CPUの種類が2つというわけではなく、それぞれのメーカーに性能ごとのモデルが存在している。また、CPUの表記に使われるプロセッサーナンバーや動作周波数は「Intel Core i7-8700K 3.70GHz」といった暗号のようになってしまいがち。CPUの理解を敬遠してしまうのは、これが原因だろう。
CPUを選ぶ際のポイントを解説
では、実際にパソコンを購入する際には、どのような性能を持ったCPUを選べばいいのかを解説していこう。
複数の作業をこなすための「コア」数
CPUにおいて、演算処理を行う「コア」は、複数搭載されているのが基本。近年は市販のもので1~10ほどの数で販売されており、当然コア数が多いほど、文書作成しながら調べものをしたり、音楽を聴いたりといった作業を分担して行えるので処理が早くなる。しかし、動画編集やオンラインゲームといった負荷の大きい作業をする人を除けば、4コア程度でも快適な作業が行えるだろう。
処理速度に影響する「クロック周波数」とは
クロック周波数は、別名を「動作周波数」ともいい、電気のON/OFFを切り替える速さをいう。この切り替えの早さはパソコンの処理速度に直結する。単位は「GHz」が用いられ、1秒間にどれだけの計算ができるかを表している。
つまり、コア数が同じであればクロック周波数が大きいほど処理速度が速くなる。しかし、クロック周波数は3.0GHzを超えた約10年前から周波数がほぼ変わらず、コア数ほど重要な数値ではなくなりつつある。
メインメモリの負担を軽減する「キャッシュ」
CPUに内蔵されているメモリである「キャッシュ」が、CPUは頻繁に読み込むデータを同時に保持し、メインメモリにかかる負荷を軽減する働きをする。これは、メインメモリからCPUに読み込む速度が、CPUの処理速度よりも遅いためだ。
1次キャッシュ、2次キャッシュを搭載したパソコンが多いものの、近年は3次キャッシュまで搭載したモデルも登場。一般的な使用用途であれば、2次キャッシュ搭載のもので十分だろう。
メーカー別CPUのラインナップとその特徴とは
では、先立って紹介したメーカー「Intel」と「AMD」、2つのメーカーのCPUのラインナップと、その特徴について紹介していこう。
IntelのCPUラインナップとその特徴
まずは、もっともメジャーといえるメーカーであるIntel。「Intel、入ってる」のCMフレーズでおなじみのメーカーだ。
IntelのCPUブランド【Celerom】
高価なものだと4万円を超えるCPUだが、比較的低価格で 購入可能な「Celeron」は、1万円以内に収められる場合も珍しくない。省電力で低価格なパソコンなどに搭載される場合が多く、価格が安い分性能もそこまで高くはないが、ネット閲覧やメールといった簡単な作業は問題なくこなせる。
IntelのCPUブランド【Pentium】
Pentiumも、低価格を売りとしたCPU で、最もメジャーな「Core」シリーズよりも安く、手にしやすい価格帯。ノートパソコン向けの小型で消費電力を抑えたモデルなので、簡単な事務作業やネット閲覧などを行うのに最適。
IntelのCPUブランド【Core iシリーズ】
最もメジャーなCore iシリーズは、i3/i5/i7/i9の4つがあり、数字が大きいほど高性能。性能の低いi3でも、Officeの編集などであれば可能となっており、最新のi9であれば高解像度の動画編集やゲーム配信といった高負荷な処理もこなせる。
AMDのCPUラインナップとその特徴
続いて、もう1つのCPUメーカーである「AMD」の製品ラインナップについて紹介していこう。
AMDのCPUブランド【AMD Aシリーズ】
AMD Aシリーズは、3D処理性能と消費電力のバランスに定評があるモデル。カジュアルなeスポーツゲームなどが楽しめるCPUで、PlayStation 4などのゲームハードにも搭載されている。
AMDのCPUブランド【AMD FX】
世界初となったネイティブ8コアモデルや、商用としては初となる最大5GHz動作モデルなどを開発し、度々話題となるシリーズ。マルチな活躍が期待でき、ゲーマーやクリエイターに愛されるシリーズだ。
AMDのCPUブランド【Ryzen】
新しいアーキテクチャー「Zen」がベースで、8コア16スレッドの「Ryzen 7」、6コア12スレッドの「Ryzen 5」、4コア8スレッドの「Ryzen 3」の3シリーズを展開しているシリーズ。Core iシリーズと同等ともいわれる性能を誇り、自社工場を持たずに製造を行っているため、比較的低価格で購入可能なのも魅力だ。
※データは2020年5月上旬時点での編集部調べ。
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文/佐藤 文彦