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七夕の風習はいつから始まったのか?意外と知らない起源と地域による違い

2020.06.26

七夕は古くからある風習ですが、起源や全国各地に広まったきっかけについてはあまり知られていません。七夕の風習は地域ごとに特色があり、祭りの時期や内容もさまざまです。観光客がたくさん訪れる大規模な七夕祭りもあります。

七夕はいつからはじまった?

七夕が一つの行事として広まったのは、江戸時代になってからのことです。七夕といえば77日に願い事を書いた短冊を笹竹に飾るイメージがありますが、本来は地域ごとに時期や風習も異なります。

七夕祭りの成り立ち

七夕祭りの起源には、古くからある農耕文化が関係しています。旧暦の77日ごろは稲の開花期に当たると同時に、風水害や害虫に頭を抱える時期です。そこで人々は77日の早朝に禊(みそぎ)を行って心身を清め、秋の豊作を願ったとされています。

七夕祭りが全国的に行われるようになったのは、江戸時代に入ってからです。17日の『七草の節句』としておなじみの『人日(じんじつ)』をはじめとする『五節句』の一つになったことで、庶民の間にも広まりました。

一般的に71日〜7日にかけてお祭りする

七夕祭りは77日の1日だけでなく、71日~7日にかけて行うケースも多く見られます。商店街などのイベントとしてのお祭りでは、昼間も七夕飾りが美しく彩られ、観光客の姿を見かけることもあるでしょう。

また、七夕に関する神事(しんじ)は7月6日夜から7日の午前1時ごろに行われると言われています。これは、天の川・牽牛星(けんぎゅうせい)・織女星(しょくじょせい)といった重要な星が天頂付近に見られる時間帯です。

地域によって時期や風習が異なる

一口に七夕といっても、地域ごとに特色があります。時期や風習に大きな違いが見られるのも、興味深い点です。新潟県では76日の夜にかやで『七夕丸』という船を作って、わらでできた馬を下げる風習が残っています。

笹竹には短冊だけでなく、手作りのちょうちんやナスとキュウリで作った牛馬人形も飾るをという島根県隠岐郡のお祭りも個性的です。沖縄県は旧暦に七夕祭りを行うことが多く、お盆前ということでお墓掃除をすることも珍しくありません。

七夕の代表的な風習と目的

七夕が近付くにつれて、願い事を書いた短冊や飾りをつるした笹竹を目にする機会が増えます。カラフルに飾り付けられた笹竹は夏の風物詩ともいえますが、短冊だけでなく他の飾りにもそれぞれ理由や意味があります。

短冊に願いを書く理由

願い事を書いた短冊を笹竹に飾るようになったのは、江戸時代がはじまりとされています。習い事や寺子屋に通う人々が、芸事や針仕事、読み書きが「上達しますように」と星に願うようになったのです。

当時はサトイモの葉にたまった夜露ですった墨を使い、願い事を書いていました。サトイモの葉は、神からもたらされた『天の水』を受ける傘であると考えられていたためです。

童謡の歌詞でもおなじみの『五色(ごしき)の短冊』の『五色』は、中国の陰陽五行説が関係しています。この世のすべての根源とされる木・火・土・金・水を色で表現したのが青・赤・黄・白・黒の五色です。

七夕飾りの種類と意味

七夕飾りにはさまざまな種類がありますが、形ごとに意味や願いが込められています。折った紙に切り込みを入れて広げると網目状になる『網飾り』は漁網(ぎょもう)を表した飾りです。大漁を願って飾られるようになったとされています。

織姫に備えた織り糸を表した『吹流し』も七夕飾りの定番の一つです。折り紙に切れ込みを入れたものや、五色のテープを紙風船などに貼り付けたものなどがあります。織姫にちなんで、裁縫の上達を願って飾られてきました。

各地で開催される七夕祭り紹介

七夕祭りは地域によって特色があり、数百万もの人が訪れる大規模な祭りも開催されています。古くから伝わる一風変わった『習わし』も、注目したいポイントです。旧暦の七夕に当たる8月に開催される祭りも少なくありません。

日本三大七夕祭りとは

日本三大七夕祭りとして数えられているのが、宮城県仙台市の『仙台七夕祭り』、神奈川県平塚市の『湘南ひらつか七夕祭り』、愛知県一宮市の『一宮七夕祭り』もしくは愛知県安城市の『安城七夕祭り』です。愛知県の一宮七夕祭りと安城七夕祭りは、どちらも甲乙付けがたく三大七夕祭りに選ばれています。

仙台七夕祭りは伊達政宗の時代から行われ、10m以上の笹竹もあって迫力満点です。湘南ひらつか七夕祭りでは、夜になると竹飾りがライトアップされ、幻想的な雰囲気を満喫できます。

一宮七夕祭りは見た目もサイズも異なる『吹流し飾り』と、全長300mにもなる『御衣(おんぞ)奉献大行列』が見どころです。安城七夕祭りでは、笹竹にかけた短冊の数で世界記録を樹立したことがあります。

77日ごろに開かれる祭り

北海道の『ローソクもらい』という七夕祭りは、77日もしくは月遅れの87日に行われています。子どもたちが「ローソク出せよー」と歌いながら、近所の家を巡ってローソクやお菓子をもらうというハロウィンのような風習です。

子どもたちはお菓子を目当てに家を回りますが、このお祭りを詳しく知らない人の中には歌の通りにローソクをあげてしまう人もいます。ローソクをもらって内心ガッカリするのも、よい思い出として心に刻まれていることでしょう。

旧暦で開かれる祭り

旧暦の七夕に合わせて、8月に祭りが行われることも珍しくありません。島根県大東町の『大東七夕祭』は86日に開催され、400年以上も続いています。江戸時代に寺子屋の師匠がちょうちんを付けた笹竹を子どもたちに持たせて歩かせたのがはじまりです。

関東地方の農家では87日が近付くと、馬や牛を模した『七夕馬』を飾って豊作を願う風習があります。軒下に人形をつるして厄をはらうという長野県松本市の『七夕人形飾り』もユニークです。

構成/編集部

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