夏に贈る『お中元』は、お世話になった人へ感謝の気持ちを表すものです。ビジネスシーンで贈ったり受け取ったりすることが多いので、失礼のないように基本的なマナーを押さえておきましょう。意外と知らない、挨拶状の書き方も併せてご紹介します。
お中元を手渡しする場合
お中元を手渡しする場合は、相手先への訪問が必要です。先方の都合に合わせるのはもちろんですが、お中元の包み方や訪問時期にも気を配りましょう。
直接会って渡すことで、感謝の気持ちも伝わりやすくなります。相手のことを考えて選んだ贈り物は、きっと喜んでもらえるはずです。
訪問先のお中元時期に合わせる
お中元の時期は、7月の初旬から15日ごろまでが一般的です。一部の地域では時期が異なることもありますので、訪問前に調べておきましょう。
お中元を贈る時期は、渡す側ではなく受け取る側に合わせます。例えば九州地方では、8月1日から15日がお中元シーズンです。関東の感覚で7月の初旬に渡すと「気が早い」と思われてしまうかもしれません。
また、訪問前には相手の都合を確認しておきましょう。日程は先方の希望に合わせ、時間帯も早朝や食事の時間帯は避けた方が無難です。
訪問時は、玄関先でお中元を渡すのはNGです。部屋に通してもらったら、タイミングを見計らって渡します。「早く渡さなくては」と焦る必要はありません。
風呂敷に包むのが正式。紙袋でもOK
贈り物は風呂敷に包むのが正式なマナーですが、デパートの紙袋でも代用OKです。ただし、渡すときは風呂敷や紙袋から品物だけを取り出すようにします。くれぐれも、包みごと渡すことのないように注意しましょう。
贈り物を取り出したら、まずは贈り物の正面を自分に向けます。その際、贈り物に傷や粗相がないか目視でチェックをしましょう。問題がなければ包みを畳み、贈り物を相手に回し向けて渡します。
ポイントは、『贈り物を渡す前に包みを畳む』という部分です。風呂敷の畳み方に不安がある場合は、紙袋の方がスムーズに折り畳めるでしょう。
感謝の気持ちを添えて渡す
お中元を渡すときは、日ごろの感謝の気持ちを添えます。「いつもお世話になっております」や「ほんの気持ちですが、お納めください」といった一言を添えるだけで、より気持ちが伝わりやすくなるでしょう。
お中元の贈り物をきっかけに、さらによい関係を築いていけるはずです。
配送サービスを利用する場合
忙しい人への贈り物や、遠方に住む人への贈り物には、配送サービスの利用が便利です。受け取る側の都合に合わせて届けてくれるので、先方の負担も軽減できます。
配送サービスを利用する場合でも送り方にマナーがあります。気持ちよく受け取ってもらうためにも、ポイントを押さえておきましょう。
送り状を先に届けるのがマナー
配送サービスを利用するなら、お中元よりも2~3日前に送り状が届くようにすると丁寧です。送り状はハガキでも封書でも構いません。
お中元は季節の行事なので、送り状にも季節の挨拶文を入れるようにしましょう。お中元の時期に合わせた時候の挨拶が基本ですが、もし時期がずれる場合にはそれに見合った挨拶にします。相手との親しさに応じて、文の柔らかさを変えるとよいでしょう。
送り状は品物より先に届かせるものなので、何をいつ頃贈るのかなどお中元の内容と、到着予定日も忘れずに書きましょう。
手紙を同封できる場合は添え状でもOK
お中元に手紙を同封できる場合は『添え状』でも構いません。同封する添え状には、日ごろの感謝の気持ちと相手の健康への気遣いを書きます。
なお、添え状は手書きをすべきか悩むこともあるかもしれません。最近はパソコンも普及していますし、複数の届け先がある場合は、パソコンで作成することもあります。その場合は、自分の名前部分のみ手書きをするなど、心掛けるとよいでしょう。
また、配送を依頼する店舗によっては同封できないこともあるので、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
送り状の書き方
最近は手紙を書く機会も減っていることから、文章を書き慣れていない人も多いかもしれません。送り状は長文である必要はなく、ポイントさえ押さえておけば時間をかけずに作成できます。
送り状の基本構成
送り状の基本的な構成は六つの文章となります。頭語、時候の挨拶、日ごろのお礼、お中元が届く旨、締め、結語で作成するのがベーシックなパターンです。できれば、『どんな品物が届くか』『お中元の到着日はいつか』などは書いておきましょう。
ただし、押しつけがましくならないように表現を調整する必要があります。
例えば、「お中元のおしるしまでに、別便にて○○をお送りいたしました。○日ごろには届くかと存じますので、ご笑納いただけますと幸いに存じます」といった形にすると無難です。
相手に合わせて表現を調整
両親や友人宛てなど、親しい間柄の人へ送る場合は調整が必要です。かしこまった文章を送ると、冷たく距離をとっているように見えてしまうからです。
言葉で挨拶を交わすときと同じように、送り状の文面も相手に合わせて表現を変えましょう。親しい相手には温かみのある文章を、ビジネス相手には礼節ある文章を送ります。
また、夫婦でお中元を贈る際には、夫名義で妻が代わりに送り状を出すことも珍しくありません。その場合は、本人の名前を書いた横の少し下に『内』と書き添えるのがマナーです。
構成/編集部