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「5Gでテレワーク」は通信キャリアの本命サービスとなりうるか?

2020.05.23

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は5G回線の有効利用でテレワークは本命サービスとなるのか? この問題について議論します。

※新型コロナウイルス対策のためインターネット会議を実施しています

5Gのキラーアプリはビデオ会議アプリ?

房野氏:新型コロナウイルス感染症の拡大で、テレワークをする人たちが増えています。私たちも今、ビデオ会議アプリの「Zoom」を使って、このスマホ会議を行っているわけですが、こうしたテレワークは、5Gになると、もっとやりやすくなるでしょうか。

Zoom

房野氏

法林氏:5Gに関しては、ソフトバンクは「動画SNS放題」でちょっと仕組みは違うけれど、ドコモとauの2社は使い放題。端末を買って契約を切り替えれば使い放題になるので、一応「家でテレワークするので、モバイル回線でテザリングをします」ということはできる。ただ、テレワークの問題は2つを切り分けて話さないといけない。1つはローカル側の回線をどうするか。モバイルで5Gか、光回線かということがある。2つ目は先端側、会社側の回線をどうするか。ローカル側だけの話ではないとは思います。

法林氏

石野氏:ビデオ会議に関していうと、僕らは受け身。いろんなアプリケーションを入れなきゃいけないのが面倒くさいなと(笑)。Zoomだけじゃなくて、Google(Meet)やらシスコ(Webex)やらMicrosoft(Teams)やら、iPadにいろんなアプリをインストールしました。この辺のツールのデファクトスタンダードがないのがツライなぁって感じ。その都度、その都度、全部のサービスを有料にしてお金を払うわけにもいかないし。

石野氏

法林氏:今よく使われているのは、Zoom、Teams、Google Meet(ハングアウト)に、Webex、Skypeあたり。ちょっと範囲が広すぎてイヤだよね。Zoomが一番、人気がある印象だけど、セキュリティの問題で会社はあまり入れたくないというところもある。

石川氏:ラジオNIKKEIでやっている自分の番組(「石川温のスマホNo.1メディア」)ではTeamsを使って収録したんですけど、それは日経グループ的にZoomがNGになっていたから。そういうこともある一方で、ZoomはURLを飛ばせば誰でも参加できる。入りやすいのが人気を博した大きな理由だと思います。

 5Gに関しては、容量を気にしなくなるのが1つありますね。ビデオ会議で大切なのは音で、音声がしっかり切れずに聞こえることが保証されると、ビデオ会議はもっと増えると思います。今回の新型コロナウイルス感染拡大で、人が集まらなくてもいろんなことが進むようになったのは事実だし、恐らくますます移動しなくなってくるだろうなと。家の中だったら5Gじゃなくていいけれど、外出先で5Gであれば音声がクリアに伝わるということになったら、様相が変わってくるんじゃないかなと思います。一般の人はビデオ会議が当たり前になるだろうし、テレビでもコメンテーターがスタジオに並ぶ必要がなくなって、画面さえ出ていればいいみたいな感じになる。5G時代のキラーアプリがビデオ会議アプリになると面白いなと。東日本大震災でTwitterが大活躍したように、新型コロナウイルス感染拡大ではビデオ会議で人とつながることがトレンドになるのかなと思います。

石川氏

石野氏:今までキャリアが散々、いろんな5Gのユースケースをアピールしてきたのに、やっぱり全然関係ないところからポンと出てきた。それがキラーコンテンツになるんだろうなというのは、今までの通信業界の流れと同じだと感じますよね。

石川氏:キラーアプリは人とつながることがベースというか、そこをみんな求めている。iモードの頃のキラーサービスは、アプリでもiモードコンテンツでもなくて(iモード)メールだった。絵文字でコミュニケーションできることがキラーのサービスだった。それがスマホになって、Twitterが人とつながるツールとしてのキラーアプリになった。5G時代には、5Gと新型コロナウイルス感染拡大が結果的にセットになってしまったので、こういったビデオツールが増えてくる。

 なので、通信に対してお金を投じなきゃいけないということを、もっと考えてほしい。6Gにもつながってきて、ここ最近、よく思っているんですけど、もうリニアモーターカーに投資する必要はないくらい、人は移動しなくなるだろうと。となると、孫さん(ソフトバンクグループ会長 兼 社長の孫 正義氏)の「光の道」じゃないけれど、むしろ通信インフラの方にお金を投資した方が、将来的にはいいんじゃないかという気がしています。

法林氏:これまでは、東京-大阪間を何時間とか、速い移動手段を追い求めていた。そこじゃないよねっていうのは、今回で見えてきた感じがする。

 ビデオ会議で顔を見て話すというのは、今の時代だからできる。これはインフラにすごく影響されている。実は3Gの前から、テレビ会議、テレビ電話、ビジュアルコミュニケーションだよ、みたいな話を散々していたけれど、通信インフラがこの20年で進化したおかげで、やってみたら割とできるようになっちゃった。ブレイクスルーがここだったというのは、僕的にはびっくりというか、「ああ、こういう風に広がったか」という感慨を持ちました。

石川氏:5Gになることで、もっと臨場感が伝わるようになる。まぁ、臨場感が伝わりすぎると気持ち悪くもなるけど、臨場感を伝える方向性は5Gに与えられた使命だという気がしています。5Gスマホではシャープやサムスンが8Kをアピールしていますが、8Kというよりも、いかに臨場感を伝えるかだと思います。

 あと、みんながビデオ会議に参加しやすい環境を、誰が作るか。今はZoomだけど、それが本当はAndroidかもしれないしiOSかもしれない。iOSの「FaceTime」がみんなに使われていない状況を見ると、1つのOSだけでしか使えないのがネック。これからAppleがFaceTimeをどう開放していくのかも、もしかして注目なのかもしれないです。

FaceTime

石野氏:最近、FaceTimeと「iMessage」は、Appleの人とのやり取りでしか使わないようになっている感じがする。

iMessage

石川氏:Appleの人とはiMessageでやり取りして、キャリアの人には「+メッセージ」で応答する、みたいな。

+メッセージ

法林氏:メールにしなよ、メールに(笑)

石野氏:メールって便利だなって思いますね(笑)

 臨場感でいうと、朝のワイドショーの「とくダネ!」で小倉智昭さんの出演の仕方がすごい。小倉さんはリモート司会をしているんですけど、80インチくらいのディスプレイをスタジオにドーンと置いて、位置合わせをして、回線も中継用の回線で、小倉さんのマンションの上にアンテナを建ててフジテレビまで飛ばしているという記事を見ました。あれってもしかして5Gに置き換えられるんじゃないかなって。

法林氏:5Gは低遅延だしね。

石野氏:そう。5Gのユースケースを、いきなりまざまざと見せつけられた感じがした。あれがもっと一般に広がると、本当にリモートで仕事するという文脈になるのかなと。今はまだ画像解像度が荒いし、音声もたまに途切れる。「会議をするぞ」みたいに目的がないと接続しませんが、あそこまでリモート感がちゃんとあるというか、テレイグジスタンス(人が、自分自身が存在する場所とは異なる遠隔地に実質的に存在し、その場で行動するという遠隔存在感)に近い感じになっていると、とりあえず接続しっぱなしにして出社しなくてもいいってこともあるのかなって気がしました。

法林氏:FOMAのテレビ電話について、当時、あるメーカーさんから聞いた話だけど、「一人暮らしの学生さんたちに端末を貸したら、つなぎっぱなしにして、ずっとテレビ電話で話しているんだけど、手に持って話しているんじゃなくて、折りたたみケータイを開いて机の上に置いて話していた」と。食事のときには「『今からパスタ作る』とか言って、鍋のところで『ほら、こんな感じ』と映像を見せていた」という話だった。そのメーカーの人は「空間共有コミュニケーション」という言い方をしていた。たぶん、今回のはそういう感じに落ち着いていくというか、ようやく環境がそういう方向に追い付いてきたのかなと思いました。

石川氏:ウィルコムの「誰とでも定額」のときにもいわれていた。PHS同士で音が良くて、ちょっとした生活音も伝えられて、話し放題だからコストを気にしなくていいよねってことで、付き合っている2人がそういった使い方をしている、みたいな話があった。ただ、FOMAのテレビ電話は確か30秒20円くらいして、結構高額だったのでハードルが高かった。今回の会議もZoomを使っているけれど、これが従量課金だったら、たぶん誰も使わないだろうと。通信コストは影響すると思う。

5Gエリアの強化を急ぐべき?

石野氏:通信コストもそうですけど、日本は5Gエリアをもっと広く、急いで作っていく必要があるかなと。ここに来て需要が急に出てきちゃった感じがある。アメリカ、韓国など諸外国より5Gのスタートが1年遅れたのはちょっと痛いし、エリア展開も今のままで本当に足りるのか、より強い疑問として出てきましたね。

石川氏:ただ、4Gでもなんかとかなっている感じが少しするんだよね。

法林氏:ピカピカな4Gがあるからね。

石川氏:ドコモとauが、5Gエリアが狭いのに使い放題を提供しているということは、4Gでいいじゃんってこと。1つの基地局に通信が集中するとダウンしちゃうけど、今の状況は分散されているから、結構余裕なんじゃないかと。確かに5Gが入るといいところはあるけれど、4Gでまだまだ行けるって感じが少ししています。

石野氏:ドコモに関しては、話を聞いたところ、25歳以下の支援も全然余裕ですって感じでした。去年の水害のときに「災害時データ無制限モード」をやって、あれも軽く耐えられて余裕ですって感じだったので。

石川氏:そうだよ。60GBだろうが100GBだろうが無制限だろうが、みたいな。

法林氏:かかってきなさい状態だね。

石野氏:“ドコモ UN-LIMIT”をやってほしいくらいですよね。スマホは買いにくくなっちゃっていて、5Gプランに移行しづらいので。

法林氏:そうなんだよね。端末を買って、回線契約が5G対応にならないといけないので、そこが結構面倒くさいというか、困るよね。ショップに行かなきゃいけない。

石野氏:そうなんですよね。あと、総務省に「iPhone SE」の発売を止められていましたよね。

法林氏:そうそう。

石野氏:5G端末でも影響を受けたものがあるとかないとか。「今、売ろうとすると怒られちゃうよ」ってことをリリースに書いたら、さらに怒られたらしく、リリースの文言が変わった。今見ると「総務省の要請により」っていう一文が消えているんですよ。

法林氏:まじで!?

石野氏:3社横並びで文言が書き換わっているんで。

法林氏:どんだけひどいんだよ。

石川氏:延期すると3社が同じ日に発売になるのかね。

石野氏:指示したんじゃないですか。だって50GB(25歳以下に追加データ容量を50GBまで無償化)も、総務省が言ったという話らしいですよ。だから大手3社は横並びで50GB増やしているんだけど、MVNOの追加容量がバラバラなのは、総務省に指示されてはいないけれど、やらなきゃいけない空気になってやったからバラバラだと。

石川氏:総務省はそこまで言うわけ?

石野氏:面倒くさい人たちですよね。

法林氏:確認したら、リリースの文言は「総務省」じゃなくて、「日本政府の基本方針を踏まえて」延期するとなっているね。

石野氏:そうそう、表現がソフトになっているんですよ。

法林氏:完全に先に売ったところ勝ちになっている。本当に可哀想な展開だと思います。

石川氏:そうですねぇ。

石野氏:総務省はちょっとやり過ぎな気がするなぁ。もしかして総務省の人は、iPhoneが発売されると行列を作るっていう古い認識のままなのかな。今、キャリアショップには誰も並んでいないじゃないですか。

石川氏:たぶん、ショップがヤバいことになるんじゃないかという配慮もあったと思います。ドコモがオンラインだけでしか予約を受け付けないといったけど、あれをやっちゃうと、みんなオンラインショップでiPhoneを買っちゃう。ショップは営業時間が短くなるし、iPhoneも売れないとなると、結構ヤバい状況になる。

法林氏:収入的に厳しいよね。

石川氏:そこの配慮もあったような気がしますね。

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