2020年3月末に、新型コロナウィルス感染症の拡大による株価の急落、在宅勤務の広がり等で新規での証券口座開設が増えました。さらに、急落した3月に好機とみた個人投資家による現金での株式買越額が、1兆516億円を記録しました。投資を始めてみたいという方に、証券会社1年目が行う勉強方法をご紹介します。株式投資初心者の方に参考になるかもしれません。
経済用語、経済ニュースに親しむ
経済用語や経済ニュースを把握するために、主に見ておきたいのが「モーサテ」と日経新聞です。
モーサテは、テレビ東京系の朝5:45~6:30まで放映されている経済系報道番組です。日経新聞は日本経済新聞社が発行する新聞で、朝刊だけでなく夕刊、電子版もとるのがおすすめです。日経新聞の朝刊は11~14版までありますが(新聞の上部の角に記載されている)、印刷工場から郵送され配達されるまでの時間により配達地域によって版が区分されています。例えば、都心から離れていると版の数字が小さくなり、都心部だと版の数字が大きく最新情報が記載されています。
アメリカの情報は大きく日本株式市場に影響を与えますが、米国市場は日本時間の朝6:00(サマータイム5:00)に終了するため、版が小さい数字の地域は米国の情報や日本で夜に起きた情報は掲載されないことが多いです。電子版なら最新版が常に掲載されているため、新聞と合わせと読むと最新情報が手に入ります。
また、土日の日経新聞は、初心者や生活に役立つ経済情報を分かりやすく解説している記事があり、投資の勉強になります。
証券会社勤務になると朝早くおきなければなりません。証券取引所が9:00から始まるため、その前に経済情報や日本株に大きな影響を与える米国市場の状況を把握しておかなければなりません。
モーサテは、終了したばかりの米国市場のマーケット情報を解説してくれ、重要な経済情報を知ることができます。また、シカゴ・マーカンタイル取引所で取引されている日経平均先物指数である「CME日経平均先物(シカゴ日経平均先物、CME Nikkei225 Futuresともいう)」もチェックできます。9:00から始まる日経平均はおおむね同じぐらいの値動きになります。
モーサテ終了後は日経新聞を読み、分からない経済用語はスマホなどで調べます。毎日これを続けることで、経済情報についてかなり精通することができます。
1年目では、先輩社員と「日経新聞の読み合わせ」といって、記事について意見交換します。投資仲間やSNSで意見交換するのも良いでしょう。
相場観をつかむ
投資したことのない人は、日経平均が今高い水準なのか?安い水準なのか?を価格を見ただけでは分からないでしょう。今が高い水準か安い水準か、このぐらいまで下がったら買うべきか、売るべきかという相場観を身に付けるには、株価水準を知ることが必要です。毎日株価をみていれば身につきますが、1年目では毎日日経平均、TOPIX、大型株を複数銘柄の価格を毎日ノートに書き、チャート上にグラフをつけていました。
金融商品について知る
金融商品には、株式、債券(高格付け、低格付け、劣後債、外貨建て、円建て)、仕組債、投資信託、ETF、REIT、商品(金・銀・原油)、FX、仮想通貨などがあります。
証券会社のホームページでは、商品について詳しく解説しているのもあるため、そういったツールを使えば金融商品について勉強できます。。
株式投資だけなら株式に関する知識を身に付ければ良いというわけではありません。株価は様々な要因から変動します。債券の金利変動、最近では米国FRB(日本でいう日本銀行)の低格付け債買い取り、金価格の上昇など株価に影響します。商品知識が身についていないと、ニュースを見てもピンとこないため、基礎知識を身に付けておくとニュースを理解できるようになります。
企業について知る
日経新聞社や四季報などで個別企業の決算概要、企業が出している決算予想などを出しています。さらに、証券会社では独自の個別企業に関するレポートを出しています。実際に企業について専門的に調べている人が書いているレポートのため、参考になります。
個別企業に投資する前に読んでおくのがおすすめです。
また、日経新聞でも投資したい企業の記事は常にチェックしておくのがおすすめです。
他にも、株式投資にはチャート分析などもありますが、1年目ではまず相場観や経済情報を把握できるようになるまで、上記のようなことをしてきました。今から投資を始めるなら是非参考にしてみてくださいね。
文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。