魅力あふれるスニーカー。その魅力にとりつかれた男性コレクター3名による、コレクションの中からのマイベスト3は必見。そして彼らを虜にさせた理由を探るべく、スニーカーの魅力も濃厚に語ってもらった。
自称“ナイキ好きすぎるおじさん”のマイベスト3とスニーカーの魅力
宅万勇太(たくまん ゆうた)さん
”ナイキ好き過ぎるおじさん”。鹿児島市出身。 憧れだった東京に上京した時の思いをデザインに落とし込んだ”Tokyo Maze”がNikeのデザインコンテストOn Airで見事一位に輝き、リリースされる。プログラマー、国内最大スニーカーメディアSNEAKER WARSの公式YouTubeチャンネルのMCを務めるなど、多彩な活動を行いながら、プライベートでは一児の父として子煩悩な一面も。
https://www.instagram.com/takuugle/
宅万さんは36歳のエンジニア。コレクター歴は3年で、現在のコレクション数は160足くらい。マイベスト3はこちら!
第1位 NIKE Flyleather Air Force 1
第2位 UNION×NIKE Air Jordan 1
第3位 NIKE Air Max 96 XX
―スニーカーにハマったきっかけや時期は?
「3年前に再燃。当時アディダスのYeezyが大人気で触発されました。プロデュースしているカニエ・ウェストはもともと音楽で知っていたのですが、彼がスニーカーをやっていると知って興味が湧いたんです。たまたま運が良くて買えたのですが、買えていなかったら今は無いかもしれません(笑)。当時は、三万円のスニーカーってやはり高い、こんなのあるのか、という気分になりました。もともとスニーカーは好きだったのですが、特にナイキが好きだったので、どんどん深堀りしているうちに、こんなことになってしまいました(笑)」
―スニーカーの魅力は?
「単純に格好いいことが魅力だと思います。新しいモデルも買うけれども、今あるそれぞれのモデルが“完成されすぎて”いるんです。例えばAir Jordan 1、Air Max、Air Force。全部が格好いい。新しいスニーカーはどんどん発売されるけど、完成された格好よさの中で、どれだけ遊ぶか、変化をつけるかを見ているのが楽しい。色が違ったり、ディテールが違ったりします。アートと同じような感じがあると思っていて、その違いを眺めながらお酒が飲める、語れるところ。歴史を知っているから楽しめるところが良いですね。また、今しか履けない、加水分解してしまうモデルは、だからこそ今履いてあげたいと思います。履けなくなっても、ずっと取っておいて、それでお酒を飲みたいです」
写真の一番右のスニーカーはすでに加水分解してしまって履くことはできないが、残っている状態が非常に良く、いつかソールを変えてでも履きたいと思っている、と宅万さん。
ビンテージアイテム収集家のベスト3とスニーカーの魅力
Nike maniaさん
ビンテージアイテムの収集家で、スニーカーだけでなくウェアや販促物まで幅広いコレクションを持つ。過去に調べた情報をまとめて文献を作ったりしている。国内外のビンテージナイキマニアが集結するNike OTC(オタク)meetingを主催。会がきっかけとなりナイキクロニクル(2011年)、ナイキクロニクルDX(2016年)等の出版に携わる。
https://www.instagram.com/nikeotc/
Nike maniaさんは57歳の会社員。本格的に収集を始めてから約40年、現在のコレクション数は200足くらい。マイベスト3はこちら!
第1位 NIKE BLAZER LO / SHELL TOE(1972-74 Made in Japan)
第2位 NIKE NEW BOSTON(1977-80 Made in Japan)
第3位 NIKE LEATHER CORTEZ DXⅡ(1980 Made in Japan)
―スニーカーにハマったきっかけや時期は?
「当時は、みんな男性向けファッション雑誌『MEN’S CLUB(メンズクラブ)』を読んで、アメリカで売られていたスニーカーを手に入れていた時代。東京では並行輸入で売っていましたが、自分が住んでいた宮崎では買えませんでした。当時は日本の工場で作っていたこともあり、その後、日本での販売が解禁されたので、もともと欲しかったことが後押しして、すぐに買いに行きました。もちろん若い頃は何足も買えなかったのですが…。他のブランドのスニーカーも何足か買いましたが、特に昔のナイキはナイロンの発色が綺麗で、自分にコレクター気質があったことも手伝ってどっぷりハマってしまい(笑)、今に至ります」
―スニーカーの魅力は?
「今は大量生産の流れもあって魅力が減ってしまった感もありますが、昔はなんというか、チャレンジスピリットのようなものがあった。特にナイキは後発で、全盛だったアディダスに追いつけ追い越せという勢いがありました。エア、素材、新しいチャレンジや、当時考えられないような試行錯誤がたくさんありました。昔のスニーカーは作り自体もとてもよく、今では使えない染料を使っていたりして発色が綺麗。そして革質もほれぼれするほどハイクオリティでした。それに加えて、コレクター気質をくすぐる深みがあります。年式、モデル、細かなロゴの違いなど。たとえ同じモデルでも全色揃えたくなってしまいます。リーバイスのジーンズ等もそうですが、掘る要素があります」
スニーカー鑑定士ブロガーのマイベスト3とスニーカーの魅力
Rayさん
少年時代よりスニーカー・バッシュを身近に感じ、これまで数多くのスニーカーに触れ共に過ごしてきた経験をもとに、KCKCの鑑定士の一員として最重要任務を担う。またスニーカー関連の情報収拾を書き綴ったブログDR-magでも中の一人として投稿を執筆している。
http://www.dr-mag.jp/
Rayさんは40代前半の鑑定士・ブロガー。コレクター歴は20年ほどで、コレクション数は50足くらい。マイベスト3はこちら!
第1位 NIKE Air Max 95 イエローグラデ
第2位 Air Jordan 5 OG BLACK/SILVER
第3位 NIKE Air Jordan 3 OG WHITE CEMENT
―スニーカーにハマったきっかけや時期は?
「小4からバスケをはじめて、当時活躍していたNBAプレーヤー、マイケルジョーダンに憧れ、ジョーダンが履いているバッシュを履きたいと思ったのがきっかけです。当時自分で購入するには高すぎで、地元長野で取り扱っているショップが限られていたこともあり、雑誌やテレビの中だけの存在でした。中学に進学して本格的にバスケ部活動に専念するようになり、一番最初に買ったのがエアジョーダン6白赤(花道カラーと呼ばれるインフラレッド)。『エアジョーダンを履けばジョーダンのように少しでも高く飛べるんじゃないか』と本気で思っていました(笑)。本当はエアジョーダン5が欲しかったけれど、もうどこにも売っていないし、売っていてもプレ値(プレミアム価格)で買えませんでした。
当時はコレクションというより、ただバッシュとして履きたくて、それ以降のジョーダンナンバリングモデルは全部購入。バッシュだけじゃなく靴全般にハマりだしたのはこの頃。履けないほどの数を所有するようになったのは最近です」
―スニーカーの魅力は?
「年数が経っても色あせることなく心ときめくスニーカーに最大の魅力を感じます。
スニーカーって、100人いれば100通りの楽しみ方があると思います。例えば、誰がメジャーな人が履いてるから履きたいとか、みんな履いてるから、超激レアだから、単純にかっこいい、昔から思い入れがある、このスニーカーができるまでのストーリーがいい、単純に履きやすい、眺めるだけのコレクター、自分の好きなブランドとコラボしたから、などなど。その人によって魅力に思える見方が全然違うのっていいと思います。同じモデルのスニーカーを好きになっても、どうして好きになったのかが全然違うと。それを話してるだけで盛り上がれますし。自分の中ではやっぱり根底にあるのは『エアジョーダンを履くだけで神様のように少しでも高く飛べるのかな』が一番の魅力ですね(笑)」
コレクターたちの感じるスニーカーの魅力は3者3様。スニーカー好きはきっと彼らと語りたくなったかもしれない。自分が感じる魅力をつきつめてみるのも面白そうだ。
取材・文/石原亜香利