本年で発売から40周年を迎える「ルービックキューブ」。単なる立体型パズルとしてだけではなく、近年は“脳トレ”に効果的なアイテムの一つとしても注目を集めている。
今回、ルービックキューブを日本国内で展開する企業「メガハウス」により、同製品が人間の思考表現力の成長においてどのような影響を及ぼすのか検証すべく、小学生を対象に脳活動に及ぼす影響に関する調査が実施された。なお本調査は、公立諏訪東京理科大学・篠原菊紀研究室監修のもと行われている。
ルービックキューブを解くことで、地頭力と深く関わる“前頭前野”が活性化!
[調査①] ルービックキューブを解いている時の子どもたちの脳活動を近赤外線分光法装置※3を用いて計測した。最初にアドバイザーからルービックキューブの1面を揃える方法をレクチャーした後、最後は子どもたちが独力でチャレンジした。
その結果、ルービックキューブを解いている時は、人間の“地頭力”の中核的な役割を担っていると言われる“前頭前野”が活性化されることが分かった。
上記のグラフの通り、レクチャーを受けているときの子どもたちは、ルービックキューブのそろえ方を覚えようと情報処理をしながら論理的に考えているので、特に“論理的思考力”に関わる左脳(青色線)の脳活動に大きな影響が出ていることがうかがえる。
その後、独力でチャレンジしている際は頭の中で立体を想像しながら方法を模索するので、“空間的認知力”に関わる右脳(橙色線)も働いている。
■ルービックキューブ中の脳活動について
・前頭前野が左右ともに活性化した。
・解き方を考えはじめたときに急速に脳が活性化し、空間的認知
で覚えようとする人は右で、ルールで覚えようとする人は左の脳活
動が高まった。
・教えてもらったことを覚えようと頭の中で情報処理をする際に論
理的な思考が働き、左脳が活性化された。
ルービックキューブ学習後のテスト成績の結果は……?
[調査②] ルービックキューブの解き方を覚える学習時間の前後に「創造性テスト」を実施し、創造的思考力を、従来の知能検査とは違う角度から計った。創造的思考力とは知識や学力とは別の独立した能力で、自主性、積極性、指導制、向上心などに関わると言われている。
前後のテスト結果では、「応用力」・「思考の速さ」・「思考の深さ」においてそれぞれ有意な向上が見られる結果となった。
ルービックキューブを解く前後のテストでは、身近なものを本来の使い方以外にどう利用・応用できるかの問題が出題され、有意な向上がみられた。
テストでは、課題に沿っている回答(発想)の数を得点とし、思考の速さの有意な向上が認められた。
どのようなプロセスを経て具体的に表現できるかをテストで計測。発想や入念さを得点としており、その結果に有意の向上が認められた。
<篠原教授コメント>
~ルービックキューブでひらめく、やわらかい、考えぬくアタマに~
今世の中で求められているのは、すでに知られたことを覚える力ではなく、今後が読めない新しい世界を切り開いていく力です。言い換えれば、海馬依存型の記憶力から前頭葉依存型の思考力への切り替えです。とは言っても記憶や情報なしに思考が生まれるわけではありませんから、教えられたルールを『速く』『深く』『応用』していく学習で『論理的思考力』を鍛えることが大事だと思います。
■専門家プロフィール
公立諏訪東京理科大学
篠原菊紀(しのはら きくのり)教授
公立諏訪東京理科大学・工学部情報応用工学科教授、地域連携研究開発機構・医療介護・健康工学部門長。応用健康科学、脳科学。「快感・楽しさ」をキーワードに「ドーパミン神経系のふるまいを利用しコンテンツの快感を量的に推定する研究」「機械学習を併用したゲーミング障害・ギャンブリング障害研究」「機械学習による「らしさ」研究」「脳活動計測器や視線計測器を使って、商品開発、介護予防、教育などに役立てる研究」などを行っている。
【実験概要】
タイトル :「ルービックキューブによる脳活動への影響・創造性テスト※2成績の変化に関する調査」
実施月 :2020年2月
対象者 :小学校4年生~6年生の男女22人(男の子11人・女の子11人)
監修 :公立諏訪東京理科大学 篠原研究室
出典元:株式会社メガハウス
構成/こじへい