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早稲田大学ビジネススクール教授が説く運のいい人になるコツ

2020.05.04

「運を高めるには?」と聞かれたら、あなたはどう答えるだろうか。

おそらく「神社で参拝して御守りを入手する」とか「風水の教えに従って良い方角に旅行する」といった、スピリチュアル的な方法を思い浮かべる人が多いかもしれない。あるいは、そういった「非科学的な」手法は否定して、運を高める方法はないと答える人もいるだろう。

それに対し、早稲田大学ビジネススクールの杉浦正和教授は、まったく異なる考え方を著書の『幸運学 不確実な世界を賢明に進む「今、ここ」の人生の運び方』(日経BP)で提示する。

運はコントロールできる

本書の中で杉浦教授は、運には自分でコントロールできない運とできる運の2種類あるとする。

コントロールできない運とは「宿命」と「偶然」を、コントロールできる運とは「機会」と「確率」を指す。

基本的に、宿命も偶然も、神ならぬ人間の力ではどうしようもないことだが、機会と確率は自ら生み出し高めることができるという。そのために必要なのが、心理学や組織論といった現代の知。杉浦教授は、そうした知識を縦横に駆使して、運を高める秘訣を教えてくれる。以下、幾つかを紹介しよう。

運を落とすポジティブ思考に注意

「ポジティブに考えれば運は開ける」といったフレーズをよく聞くが、これは本当だろうか?

杉浦教授は、運は解釈の問題という捉え方をすることで、一面においては真理だと述べている。つまり、起きた出来事を「ポジティブに解釈して、“運が良かった”と感謝すると、実際に良い方向に展開」するという。

ただし、これにはワナがあるとも。それは、他者と比較しての「偽ポジティブ思考」。例えば「あの人よりも成功している」という考え方で自分は運がいいと見るのは、典型的な偽ポジティブ思考とされている。なぜなら、長い人生、常に自分が優位であることはないので、何か落ち込みがあるたびに落胆することになるからだ。

他人にも優れた点を認め、そして、肯定感をもって自分自身をありのまま認めるのが、本物のポジティブ思考であり、他者と比較するクセのある人は、この方向へシフトすることがすすめられている。

運気を下げる偽のポジティブ思考に注意

「ポジティブ・ゴシッピング」で運は開ける

杉浦教授は、他者との好ましい縁や人脈があることは、それ自体が幸運なことであり、さらなる機会をもたらしてくれる要素だと唱えている。つまり、人脈を開拓していけば、それだけ機会という名の運が開けていくというわけ。

杉浦教授は、これを(エンリッチメントをもじって)「縁リッチメント」と名付けている。縁リッチメントで運を強化するには、「新しい縁をつないで広げていく」のと「既にあるご縁を一層大切にする」という2つの路線があるという。

どちらの路線をとるにせよ、効果的なやり方の1つとして「ポジティブ・ゴシッピング」が挙げられている。これは、他人への前向きな噂話のことで、そんな噂話を広めた本人が、噂をされた当人に好かれるという効果がある。これは、直接相手から褒められるより、第三者を通して褒められるほうが格段に嬉しく感じるという心理的効果があるため。その逆の悪い噂は、それを言った当人が嫌われるのはもちろんだが、他者の陰口に加担して同意を示した場合でも、同じようなネガティブな結果をもたらすという。

では、親しい人が誰かの悪い噂をしてきて、暗に同意を求められたら? もしも「それは違うと思う」などと言えば、その相手との関係が悪化するかもしれない。この場面の切り抜け方は「それは苦労されましたね」と、相手の苦労に対する共感を示すのがベストだと、杉浦教授はアドバイスしている。

前向きな噂話は対人運をアップさせる

「認知の歪み」は運気を下げる

杉浦教授は、「極端思考」は、不運なことが起きる確率を高めるだけだと戒める。

この極端思考とは、「みんなそうしている」「答えは1つに決まっている」「毒を食らわば、皿までだ」といった考え方。これは専門用語で「認知の歪み」から生じるもので、そこから導かれるのは質の悪い意識決定ばかり。当然ながら、望ましくない結果が起きやすくなる。それだけでなく、周囲から疎まれて、せっかくの人の縁が遠のくリスクもある。

もう1つ、「認知の歪み」が関わる不運を招く思考として「自分思考」も挙げられている。よくあるのが「悪いのは自分のせいだ」とか「どうせ私なんて」。

人がこうした思考に陥りやすいのは、脳が情報処理の省力化のため「一般化」や「単純化」など、雑なパターン認識をしがちなため。杉浦教授は、パターン認識に頼るのではなく、以下のポイントをふまえ、丁寧に考えるのが大事だと述べる。

・世界観の違いの理解―人はそれぞれ見えているものが異なることを理解すること
・価値観の違いの理解―それぞれの人が、大切にしているものを理解し大切にすること
・多様性の理解―人はさまざまであることを認め、理解しようとすること
・メタ認知―パターン認識をしてしまいがちな自分を意識すること

面倒かもしれないが、これら4点を励行することで、望みもしない不運を回避できるばかりでなく、「しばしば幸運(フォーチュン)の女神は微笑みます」と背中を押す。この「女神」とは周囲の人たちの応援や協力を指す。

「どうせ私なんて」といった「自分思考」は不運を招く

怒りの感情のコントロールで運をつかむ

杉浦教授は本書で「自己管理」というテーマに1章をあてている。自己管理といっても幅広いが、大きなウェイトを占めるのが感情のコントロールだ。

なかでも怒りのコントロールは重要で、そのための対処法が詳しく解説されている。怒りそのものは、外敵と戦うために必要だと前置きしつつ、物理的に戦う敵がいない現代人には厄介な感情で、幸運を逃がす元凶ともなりかねない。

ということで、杉浦教授は、アンガーマネジメントの知見をもとにコツを教える。その1つが言語化・客観視だ。


「自分がカッとなりそうになったら、例えば“今、扁桃体がハックされている”と心の中で言ってみます。あくまでもハックされているのは扁桃体であって、“私”を責めたり反省したりする必要はありません。そして、“ハッキングがうまく収まるといいですね”と、第三者的にアドバイスします。このような客観的なメタ認知は典型的な理性の働きですから、ブレーキが戻るのです」(本書306pより)


扁桃体とは感情を司る脳の部位で、怒りはここが暴走することで生じる。それを抑制するのが理性を司る前頭葉。上のやり方は、前頭葉の力で客観視して、怒りを鎮めるというもの。

怒りの感情は「言語化・客観視」でやりすごそう

杉浦教授の『幸運学』には、神頼み的な話はない代わりに、細かい自助努力の積み重ねで運気を上昇させるノウハウが盛り込まれている。堅実に運を良くしていく心構えがある方なら、本書はきっと役立つはずだ。

文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)

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