キャッシュレス決済が当たり前の時代を迎えた今、家計管理も「紙の手書き家計簿」でなく、スマホの家計簿アプリを活用する人が増えている。
アプリだと機能が多くて便利な反面、「家計簿アプリに挫折してしまう人も少なくありません」と言うのは、貯金ゼロから独自の家計簿を開発して「2年で350万円」貯め、いまは家計簿&家計管理アドバイザーとして活躍する“あき”さんだ。
導入時に挫折するパターンが多い
最新の著作『スマホでもできる あきの新ズボラ家計簿』(秀和システム)の中で、あきさんは、「何を見ればいいかわからない」「収支がでたらめになってしまう」「お金が貯まらない」という、家計簿アプリ導入時の3大挫折ポイントを挙げる。 挫折する人の多くは、導入後の最初の段階でつまずくようで、あきさんは「始める時の手順が大切」と説く。具体的には、以下の4点を押さえておけばよいという。
1. 締め日を決める
2. 家計簿の項目を確認する
3. 銀行口座やクレジットカードや電子マネーと連携する
4. 現金の管理や予算作成
1.の締め日については、初期設定では「1月はじまり12月締め」、「1日始まり月末締め」となっているアプリがほとんど。何も考えず初期設定のままでいくと、給料日が25日の場合、毎月25日がくるまで収入がゼロの家計簿が作成されてしまう。なので、25日の給料日はじまりと設定を変えておくと、断然わかりやすくなる。ただ、夫婦共働きで給料日が異なる場合、1日はじまりでもよいとのこと。また、年度のはじまりについて、あきさんの家庭では「子供の学校の年度始まりにあわせて4月」にしているという。
同様に2.についても、(交通費やエンタメといった)項目もあらかじめ確認して、追加・変更したい項目があれば設定する。これは、使用してだいぶ経ってから項目を変えたいとなった時に、以前のデータまでさかのぼって修正する手間がかかってしまうため(でないと集計時に整合性が崩れてしまう)。どうしても変えたいと思ったら、年度区切りに合わせて行う。
そして、銀行口座などとの自動連携機能。休眠口座は無視していいいが、家計で使っている口座やクレジットカードなどの連携漏れがあると、家計簿の内容が不正確になってしまう。必要に応じてインターネットバンキングの手続きを済ませ、もれなく含めるようにしたい。
また、あきさんの家庭では、現金払いは減らし、極力キャッシュレス払いにしている。その理由の1つが、家計簿アプリへの手入力を減らすため。学校や病院など、現金払いが必要な部分については、「財布」という手動管理の口座をアプリに作成しておき、まとまった金額を一括入力するだけにしているという。
アプリ導入の最初の1ヵ月は見るだけ
家計簿アプリを導入したら、初日から張り切って使いこなそうという気持ちになるが、あきさんは「ただ見る」ことをすすめる。期間は1ヵ月。その理由について、あきさんは以下のように述べる。
「1ヵ月ほどすると、例えば水道光熱費をクレジットカードで支払っているのに、それが家計簿アプリで集計されていないことから、連携し忘れているクレジットカードや銀行口座があることに気づくなど、漏れがないか見えるようになります」
ほかに、どんな支出がどんな項目に入っているか、二重に集計されている支出はないかなどを確認・修正しておくことで、後で面倒な思いをして挫折するのを防げるというわけ。
そして、続く2ヵ月目は現金払いに注目。アプリによって、銀行から下ろした現金は、「支出」扱いであったり、「振替」扱いであったりと異なる(後者であれば手入力が必要)。そのため、この点に注意するなど、正確な家計簿を目指して頑張ってみよう。予算を決めて実績と見比べるという本格的な作業は、3ヶ月目からで十分だという。
家計簿アプリはここを見る
アプリの家計管理になじんできたら、次のステップは「今月黒字だったか赤字だったか」と「予算を守ることができたか」の2点だと、あきさんはアドバイスする。
この作業は月1回でよく、集計画面から各項目に対する支出金額と収入とを見比べて収支を確認する。
「初めのうちは予算を決めても守れないこともありますし、いくら黒字でもお金を貯められている実感がわかずに不安になるということもあります。しかし、毎月1回程度家計簿の振り返りを続けることで、次第に改善点が見えるようになってきます」と、あきさん。
さらに、年間予定表や特別費予算表も参照して、家計の振り返りができるようになれば「完璧」。お金が貯まる家計になっていくと、あきさんは太鼓判を押す。
あきさん推薦の家計に成功するアプリ
あきさん自身は、家計簿アプリとして「Zaim」をメインに使っている。口座やクレジットカードと連携できるなど使い勝手の良さが気に入っているそうだが、ほかにもおすすめのアプリを挙げている。
連携機能があるものとしては「Moneyfoword」。基本的に無料のアプリだが、有料プランで家計の推移など確認できる便利機能が追加。家族間の共有もできるのがポイントだ。もう1つ、「Moneytree」は、一度連携をしたらあえて何も入力しないでも収支が狂いにくい家計簿ができるのが魅力だという。ただ、どちらかといえば他の家計簿アプリの補助の位置づけだそう。
連携をした後はあまり操作しなくても正しい収支になる「Moneytree」
連携機能がないアプリですすめられているのが、「袋分け家計簿」、「Senbe」、「シンプル家計簿」の3つ。あきさんは、こうしたアプリは「夫から生活費をもらっているので簡単に予算だけ管理できればいい」といった理由で、本格的な家計簿は必要ない人向けだとする。
今まで手書きの家計簿に慣れていた人には、家計簿アプリに敷居の高さを感じるかもしれない。しかし、あきさんの著書の解説したがって使っていけば、挫折せずに使いこなせるようになるずだ。
あきさん プロフィール
家計簿&家計管理アドバイザー。東京都在住。子供3人の5人家族の主婦。家計簿歴15年以上。「ケチケチ節約術」を卒業して、わずか2年で約350万円以上資産(現金、株、生命保険)を増やすことに成功。著書に『1日1行書くだけでお金が貯まる!「ズボラ家計簿」練習帖』(講談社)、『1日1行! 2年で350万貯めたあきのズボラ家計簿』(ベストセラーズ)などがある。4月発売の著書『スマホでもできる あきの新ズボラ家計簿』(秀和システム)は、家計簿だけでなくキャッシュレスやポイ活の始め方も網羅されており、好評発売中。公式サイト:https://kakeibo.kosodate-info.com/
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)