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古いiMacが100円で手に入る!パソコンYouTuberが解説する「ジャンクパソコン」の魅力

2020.04.27

ジャンク品を使うための手順

ジャンク品の選び方を心得た筆者は、場所を変えて、カルさんの自宅を訪れていた。さすがにパソコンYouTuberのお部屋はカッコイイ。

ここにマニアでも滅多にお目にかかれないお得な逸品がある。

先日カルさんがお店でゲットしたiMacだ。モデルはかなり古いが、それでも中古サイトで数万円と値は張る。そんなiMacをカルさんは100円で購入した。いや、ダイソーか!

「わたしのパソコン歴でも、こんなお宝ジャンクに出会えたのは初めてです。ほぼ即決でした(笑)」(カルさん)

購入した後、この重いデスクトップを“はだか”で持ち帰ったそうだ。

「ジャンク品に“箱”なんてありません。持ち運び用に紐で結ぶくらいで、基本はそのまま持ち帰ります。電車内でジロジロ周りに見られることも、ジャンクあるあるですね」(カルさん)

しかしiMacが100円で手に入るなら、そんな苦労も吹き飛ぶはずだ。ここからはジャンク品を使用するまでの一般的な手順を紹介したい。

「まず持ち帰ったらジャンク品を掃除しましょう。上級者は分解して掃除しますが、初心者は軽く拭く程度で大丈夫です。そのあとは最大の難関、パソコンを起動させて通電するか確かめましょう」(カルさん)

無事に通電した場合、Macなら「UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)」と呼ばれる画面が、Windowsなら「BIOS(バイオス)」と呼ばれる画面が、表示される。どちらもシステムを制御する重要なプログラム画面のことだ。

このプログラム画面が表示されたら、ひとまず大勝利。あとはストレージとメモリを取り付けて、OSをインストールすれば、パソコンとして立派に使用できる。

「けれども通電しなかったり、プログラム画面が表示されなかったりしたら、故障が発生しています。本来ここからがジャンカーの腕の見せ所なのですが、初心者にはちょっと難しいでしょうね」(カルさん)

ネットで検索すれば、パソコンに関する知識は一通り手に入る。だから初心者でも諦めることはない。ただし一筋縄ではいかないのも事実。カルさんは、ジャンク品で組み立てた別のデスクトップパソコンを持ち出し、説明を始めた。

「これがパソコンの基盤となるマザーボードです。中央にある目立つ部品がグラッフィクボードで、その裏にあるのがCPU。それぞれのパーツが役割を果たすことでパソコンが起動して、わたしたちのために働いてくれます」(カルさん)

構造を目にして「うわ~面倒だな~」と思ったら、ジャンク品以前に、パソコンの世界に向いていないかもしれない。

「ジャンク品と故障は常にセットです。あれ? 昨日は動いたのに……という状況が常に起こるので、修理を繰り返す根気が必要です」(カルさん)

ジャンク品の本当の魅力

ここで横道にそれて、カルさんに話題の「YouTuber」について聞いてみた。なぜカルさんは動画投稿を始めたのか。

「たまたま古いMacProに触れる機会がありまして。自分で色々いじってみたら楽しくなって、ジャンク品にも手を出すようになったんです。ある程度パソコンの知識が頭に入ったとき、とうとう自作を始めました」(カルさん)

「好き」が高じたカルさん。パソコンの自作を繰り返した末、いつの間にか机の上に5画面のモニターが乗っかっていたそうだ。

「5画面のパソコンを使う人なんて、普通いないですよね(笑)。きっと面白いだろうと思ってYouTubeに動画を投稿しました。それがYouTuberになったきっかけです」(カルさん)

今でこそ登録者数7500人越えのYouTuberになれたが、当初は大変だったそうだ。

「再生回数100以下は当たり前でした。100円iMacのような良いネタを見つけたら再生回数が伸びるけど、イマイチなネタは全然伸びない。辛辣なコメントがつくこともあります。それでも好きだから動画編集を頑張れます。再生回数で得られる報酬を求めていたら、YouTuberは続かなかったでしょうね」(カルさん)

辛いことがあっても動画投稿を続けるのは、パソコンが好きだから。楽しいパソコンの世界を、視聴者にも知ってほしいからだ。取材中、カルさんがひときわ大きな声で筆者に語ったことがある。

「ジャンク品を購入して困ることはたくさんあります。というより、それがほとんどですよ。どうして起動しないんだ~? とか、どっかのパーツの相性が悪いのかな~? とか。でもそれが楽しいんです」(カルさん)

「あーでもない」「こーでもない」とブツブツ言いながら修理を重ねる。そして待ち望んだ瞬間がやってくる。

「パソコンが起動したときは、やったー! また使える! って、喜んじゃいます。必死に修理したときほど、達成感を味わいますね」(カルさん)

カルさんは手持ちの品を、次から次へと筆者に見せてくれた。気がつけば周囲はパーツだらけ。足の踏み場もない。カルさんの部屋には「好き」がいっぱいあふれていた。

店頭で見かけるジャンク品の安さには驚かされる。けれども本当の魅力は、大好きなパソコンを真正面から触れ合える密度の濃さだと、取材を通して感じた。手のかかる子どもほど愛着がわくように、修理を重ねた品ほど思い入れが強くなるわけだ。パソコン好きがいつの間にかジャンクの世界に吸い寄せられるのも納得である。

もし読者がジャンク品に興味がわいたら、とりあえず買ってみよう。パソコンの知識は必要ない。好きならば後から勝手についてくる。カルさんを取材したからこそ、そう断言できる。

【取材協力】
「Karu/カル」
パソコン好きにパソコンのパーツやジャンク品を紹介するチャンネル。
2020年4月現在でチャンネル登録者数は7500人以上。
YouTubeチャンネルはこちらから↓
https://www.youtube.com/channel/UCGwMs0P3tJY9CLYOOu4sYBg

取材・文/いのうえゆきひろ

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