ガラクタ同然に見えて実はまだ使える“かもしれない”掘り出し物「ジャンク品」。
その魅力は安さにある。新品ならロースペックでも数万円、ハイスペックだと十数万円以上するパソコンが、ジャンク品を上手に活用すれば数千円以下で手に入る。
電化製品の聖地と呼ばれて久しい東京・秋葉原。この街では、家電やパソコンのジャンク品をあつかうお店が軒を連ねる。まだ見ぬ掘り出し物を発掘するべく、マニアたちがいそいそと足を運んで、ギラリと店頭の品を吟味する。
筆者はパソコン初心者であるが、いつかジャンクパソコンに手を出したいと目論んでいた。「使えるか怪しい」と投げ売りされたジャンク品を持ち帰って、自ら修理してお得に使いたい。
けれどもパソコンは奥の深い世界だ。ど素人が下手にいじくり回すと、本当にガラクタと化してしまう。そこで名案を思いついた。パソコンに詳しいガジェット系YouTuberに教えを請おう。
そこで協力してくれたのが、YouTubeで自作パソコンやジャンク品に関する動画を投稿するKaruさん(以降、カルさん)。
2017年末に動画を投稿し始め、本稿を執筆する2020年4月9日現在で登録者数は7500人以上。登録者数1000人を超えたら上位10%に入るといわれる世界で、カルさんは押しも押されもせぬパソコンYouTuberだ。
顔を出さないことを条件に、カルさんは取材を快諾。まずは秋葉原でジャンク品の選び方を教えてもらった。
※本稿の取材は3月30日に行いました。
初心者がジャンク品を楽しむ心得
秋葉原にはジャンクパソコンをあつかうお店がいくつかある。所狭しと並ぶパソコンやパーツの光景に心くすぐられる。ところが、さっそくカルさんからご指導が飛んだ。
「そもそも購入したジャンク品が動くとは限りませんよ」(カルさん)
店頭の品を手に取ってはしゃいでいた筆者は、その場で固まった。
「ジャンク品は、動くかもしれないし、動かないかもしれません。だから“ジャンク”なんです。まずはしっかりと吟味しましょう」(カルさん)
ジャンク品は元の持ち主がどのように使用していたのか見抜きにくい。ひどい場合、水没した事実を店に告げずに売却し、知らずに購入した人がパソコンを起動させた瞬間、発火した事例もあるらしい。おいおい、怖いな……。
「だから基本的にジャンク品は見た目の“キレイさ”で選びましょう。汚れが目立ったり、ホコリがたまっていたりする品は要注意です。モノによってはキーボードが欠けている場合もあるので、しっかり隅々まで見て選んでください」(カルさん)
値札に注意書きが記されていることもあるので、買う前にしっかり状態を把握しよう。しかしどれだけ注意して選んでも、まったく動作しない粗悪品を購入してしまうこともある。
「ジャンク品の購入は、基本的に自己責任です。動作保証などアフターサービスをつけるお店もありますが、ジャンク品に保証を求めるのは邪道です。とにかく持ち帰って、自分の力で直せなければ諦めましょう」(カルさん)
なかなかストイックな世界だ。安易な気持ちで踏み込んじゃイカンらしい。では筆者のような初心者が手を出すならば、どの品が無難なのだろうか?
「デスクトップパソコンがオススメですね。分解してパーツを交換するのが比較的簡単なので、故障する度に自分で修理できます。ストレージやメモリの増設ができるのも便利ですね。ただし規格には注意してください。一方ノートパソコンは小型化している分、専用のパーツが使われていて修理に知識が必要なので、動かないときの対処が難しいでしょう」(カルさん)
ちなみに上級者になると、パソコンのパーツごとにジャンク品を集めて、自作で組みあげてしまう。
もちろん初心者には雲の上レベルの話なので、自分のレベルが上がるまで指をくわえて辛抱すべし。