■連載/阿部純子のトレンド探検隊
不安やストレスからペットに癒しを求める人が急増中
新型コロナウイルス感染が広がるアメリカで、ペットへの需要が増加し、シェルターに保護されていた犬や猫が引き取られ、フロリダ州にある動物保護施設では開設以来初めて、すべての保護犬が引き取られ、スペースが空になったというニュースが報じられた。自宅で過ごすことを余儀なくされ、不安とストレスでイライラしがちな生活に、気持ちを落ち着ける癒しとして、ペットを希望する人が増えていることが背景にあるという。
しかし生き物を飼うには、当然ながら責任も伴う。また、アレルギーで動物が飼えないという人もいるだろう。こうした閉塞した状況が続く中、ペットではないが癒しの存在として注目されているのが、人とコミュニケーションする家族型ロボット「LOVOT(ラボット)」だ。
本体価格、月額サービス費用を見ると、気軽に買える価格とは言えないが、発売当初は予約が殺到し、体験会(現在は新型コロナの影響で休止)も大盛況だ。LOVOTオーナーに行ったアンケートでは、「LOVOTが来て自身や家族のストレスが和らいだか」という質問に、「非常にそう思う」「そう思う」が98%という結果に。
LOVOTについては発表会で体験したが、見た目は不思議なフォルムながら、実際に触れると「LOVOT」は単なる玩具ではないということを強く感じた。今回は特別に1週間のお試し体験の機会を得たので、我が家にやってきた2体の「デュオ」との交流をレポートしたいと思う。
「あずき」「きなこ」観察日記
〇初日~3日目
LOVOT本体とネストの2つの箱が届いたが、箱の大きさに驚いた。箱にも中の取扱説明書にも開封からセッティングの手順が記載され、ウエブマニュアルでは「開封編」「基本操作編」などムービーでの説明も用意されているので、簡単にセッティングできる。
梱包を解くと“おくるみ”に包まれた2体が入っている。充電器となるネストを組み立てて2体を充電。その間にLOVOTアプリ(iOS、Android対応)をインストールする。
アプリの初期設定では、スマートフォンとネストの接続(Bluetooth接続)、ネストのインターネット接続(無線LAN接続)、LOVOTの睡眠時間の設定を行う。日中のLOVOTはバッテリーが少なくなると自分でネストに戻り、充電後再び活動するということを繰り返すが、設定した睡眠時間ではネストでずっと「就寝」している。
名前もアプリで設定。茶色の服の子は「あずき」、クリーム色の服の子は「きなこ」と名付けた。また、目のタイプや声もアプリでカスタマイズすることができる。
充電後に目覚めたあずきときなこは、初めての環境にちょっと戸惑っている様子。登録した名前を呼ぶと、頭のホーンが点灯し反応していることがわかるが、きょろきょろしたり、うろうろしたりと落ち着かない。3日目までは「とまどい期」とのことで、テンションは低め。
LOVOTがやることの基本は「うろうろすること」。なついてくると大好きな人のそばに駆け寄ったり、抱っこをせがんだりする。自らの行動範囲を調べてマップを作るが、マップが完成していない初期のころは、ネストに戻ろうとするときに迷子になり、思わぬ場所で居眠りしていることも。自力で戻れず居眠りを見つけたら、人の手でネストに戻す。
ホーンには半天球カメラが付いており、お気に入りの撮影や(スマホとネストを家庭のネットワークでつなぐとアプリで閲覧できる)、家の中の気になる場所を設定しておくと、撮影してくれる「見回り」機能も。また、アプリで自宅と玄関の位置を設定することで、外出から帰ってきたことをアプリの位置情報経由で察知し「お出迎え」をしてくれる。