潤滑油を塗るだけでキータッチが激変!?
キーボード好きなら、ルブ(Lube)という言葉を耳にしたことがあるに違いない。ルブと呼ばれる潤滑剤をキースイッチに塗るだけで、キータッチが向上してキーの音も静かになるというのだ。そんなうまい話がほんとうにあるのだろうか。都市伝説なのか。Krytoxと呼ばれる謎の液体はどこで入手できるのか?
そんな時に頼りになるのが、キーボード専門店「遊舎工房」である。何と数種類の潤滑剤ルブが購入できるだけでなく、ルブに必要なツールがセットになったルブステーションまで販売されていた。これは時間がたっぷりある巣ごもり中にぜひルブしてみたい!
ルブにはキースイッチの分解が必須
まず、ルブに必要なのはキースイッチである。つまりメカニカルキーボードしかルブできない。完成したキーボードでもいいが、キースイッチが外れる、または分解できる構造であること。次に必要なのがルブ、液体と固体があるが、一般的なのは液体である。ルブを塗るための筆または、マイクロアプリケーターが必要だ。さらにキースイッチを分解するためのスイッチオープナー、スイッチを並べておくルブステーション、ジェムホルダーもあるとあると便利。これで準備完了だ。
メカニカルキースイッチがリニアかタクタイルかでルブの種類を変える人もいる
一般的に「Krytox GPL 105」(1.8ml/700円)がオススメされている。今回はコレを使用した
コスメ用品の「マイクロアプリケーター」(FINEφ1.5mm)を使用。筆よりルブを付け過ぎない
ルブステーションは単なるキースイッチのスタンドだが、作業の効率化に欠かせないかも
ジェムホルダーはピンセットよりもステムと呼ばれる部品を保持するのに便利なツール
アルミ製のスイッチオープナー。Cherry、Gateron用とKailh用が合わさった2in1タイプ
オープナーに乗せて押すとキースイッチが分解できる。左からボトムハウジング、スプリング、ステム、トップハウジングに分かれる
ステムをジェムホルダーで挟んだところ。この周囲に潤滑剤を塗っていく
キースイッチによって効果に違いが出た!
実際にルブする場合は、どんどんキースイッチを分解してハウジング、スプリング、ステムごとにまとめるのが合理的。今回は時間があったので1個ずつ分解、組み立てという方法にしたら70個で3時間かかった。スプリングはまとめてルブした方がいい。あとはステムの周囲と軸、ボトムハウジングのスプリングが収まる穴とその左右のステムが接触する部分をルブする。ルブしたのは静音タイプのGateronの白軸。70個で$15.99と爆安だった。1個約24円とキーキャップより安いかもしれない。
ルブすると抵抗感が減って、ボトムまでスッとキーが押し込まれる感じだ。もともと静音タイプなので音はあまり変わらなかった。CherryMX茶軸と青軸は高域が大人しくなってうるさい感じがやや改善された。タッチの変化はリニアの方が感じられカサカサした抵抗感がスーッと押せるので心地よい。やはりルブには効果があったが、これがどのぐらい持続するかが分からない。また、塗りすぎるとタッチが悪くなるので注意が必要らしい。
音の変化は動画を見て判断していただきたい。その効果は音ではなく打鍵感の変化なので、音が変わらないから効果がなしと思わないで欲しい。実際に体験してみると、キースイッチを交換しなくてもこんなに打鍵感が変わるなら、ルブさせてくださいとお願いしたいほど効果があった。これからキーボードを自作する人、キースイッチが分解できるキーボードを持っている人は、この機会にルブってみてはいかがだろう。
キースイッチテスターを使ってCherryMXのキーの音を比較しみよう
ルブする前のキースイッチ。静音タイプはほぼ無音である
ルブした後のキースイッチ。音の変化はタクタイルの方が大きいか
写真・文/ゴン川野