木造天守に泊まれる大洲城の城泊
一方、大洲城(愛媛県⼤洲市)の城泊を今年から展開するのは、歴史的建造物などの再生事業を手掛けるバリューマネジメント(株)だ。
こちらは、愛媛県⼤洲市との官⺠連携事業で、春・秋を中心に年間約30⽇間、17時から翌朝9時まで「城を貸し切る」というもの。こちらは、城の改修は一切行わず、木造天守に泊まれるのが、大きなセールスポイントとなっている。
詳しい内容について、同社の広報担当は、次のように説明する。
「松⼭空港またはJR伊予⼤洲駅にて出迎えののち、甲冑や着物を着用いただき、江戸時代の大洲城の城主・加藤貞泰をモデルとした、城主になりきる“城主入城体験”から始まります。馬と共に城へ入城すると、大洲藩の幡隊の旗振りと鉄砲隊の本物の火縄銃による祝砲で、城主を迎えるという、タイムトリップしたような歴史体験が味わえます。
入城体験を終えると、大洲城をバックにした伝統芸能鑑賞や愛媛の食材をふんだんに使った殿様御膳を国指定文化財の櫓でお召し上がりいただくディナーをご用意。夜が更けてくると、城敷地内に設置されたお風呂で、ライトアップされた大洲城を眺めながらから体を癒し、その後、櫓の2階で地酒を中心とした日本酒とおつまみを片手に、お月見に浸っていただきます。就寝場所は天守1階。障子に囲まれたプライベートな空間で安心して体を休めることができます。
朝は、国指定文化財の臥龍山荘にて、茶の湯の詫び寂びを感じながら、殿様御膳の朝食をとり、城主体験を締めくくります」
こちらの城泊は、大洲市などとの連携協定のもと実施される観光推進プロジェクトとなる。気になる料⾦だが、 2名1泊 で1,000,000円。これには、サービス料の10%が含まれているが、消費税が別にかかる。
また、プロジェクトの一環として、大洲市の旧城下「肱南地区」に点在する百軒程度の明治・大正期の景観を残す歴史的建築物を、ホテルにリノベート。これらも生かすことで、当地の観光を盛り上げていこうとする取り組みになっている。
もちろん大洲城は、町のランドマーク的な位置づけであり、後世に残すためにも「そのまま」の状態で活用していくという。
目下のところ、コロナウイルス騒動で世間の観光マインドは冷えている。しかし、これが収束すれば、観光意欲はまた復活するにちがいない。城泊は、その起爆剤の1つとして注目を浴びることだろう。
・平戸城城泊アンバサダー募集ページ(STAY JAPAN内):http://mag.stayjapan.
・大洲城キャッスルステイ公式サイト:https://www.ozucastle.com/
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)