北陸新幹線が2023年春、金沢から敦賀(つるが)駅まで新しくつながる。現在、着々と工事が進められており、すでに駅デザインなども明らかになっている。
そこで今回は、金沢駅-敦賀駅間の駅の様子や各地の観光スポットなど開業後にどんな楽しみが生まれるのか紹介する。
北陸新幹線が2023年春に敦賀まで延伸
北陸新幹線は、東京から長野、富山を経由し、金沢まで伸びている新幹線だ。
金沢駅からさらに、福井県南西部の敦賀駅まで延伸する予定があり、2023年春に全線開業予定で進められている。
新しく開業するのは、小松駅、加賀温泉駅、芦原温泉駅、福井駅、南越駅(仮称)、敦賀駅の6駅だ。
この金沢ー敦賀間の開業により、大きな時間短縮効果や移動利便性が生まれるとされる。
金沢-敦賀間の各駅の様相
すでに各駅のデザインやコンセプトが決められている。現状決まっていることと共に、注目されるであろう観光スポットや名産物を見ていこう。
●小松駅
デザインコンセプトは「ふるさとの伝統を未来へつなぐ『ターミナル』」。外観は雪をまとった霊峰白山の山並みを表現するために、立体的、多面的にデザイン構成される。ホームからはガラス越しに白山の眺望を楽しめるようになる。
駅構内は、九谷焼や県産木材、観音下石、滝ヶ原石などの地場産材を取り入れ、「小松らしさ」を感じられる空間づくりをした。
また先刻、ロゴとキャッチコピー「いよいよっ小松駅へ」が発表され、市民や名産品が多く登場する動画も公開された。
小松駅開業後は、小松ならではの「九谷焼」や「子供歌舞伎」「小松とまと」などの名産品のほか、「カブッキーランド」「安宅住吉神社」「サイエンスヒルズこまつ ひととものづくり科学館」などのちょっとした観光スポットにも注目が集まるだろう。
●加賀温泉駅
加賀温泉駅のコンセプトは、「加賀の自然と歴史、文化を見せる駅」。加賀温泉郷の風情と、城下町の歴史を感じさせる、伝統的な和の様式をモチーフとして、風情と歴史を感じさせるデザインとなりそうだ。
例えば、加賀特有の赤瓦を待合室に採用したり、庇(ひさし)を木調とするなどして、落ち着きが感じられる。
加賀温泉はもちろんのこと、「加賀カニごはん」「加賀パフェ」など話題のご当地グルメを楽しむのも良さそうだ。
●芦原温泉駅
芦原温泉駅のコンセプトは「あわらの大地に湧き出(いで)る贅の駅」で、あわら温泉の癒しと旅情が漂う駅となる。
全体を落ち着いた色と木調で仕上げ、趣のある和を強調したイメージとなる。
駅開業後は、芦原温泉を楽しむほか、冬は名物「越前がに」を堪能するのも一つの楽しみ方となる。
●福井駅
福井駅のコンセプトは、「太古から未来へ〜悠久の歴史と自然がみえる駅〜」。唐門をモチーフとした木調のルーバーや、県産木材や和紙を使用し、福井らしい悠久の歴史を表現している
福井駅に新幹線が通れば、天然記念物の景勝地「東尋坊(とうじんぼう)」や「福井県立恐竜博物館」なども注目されるだろう。また越前がにをはじめとした海の幸のグルメも楽しめる機会がより増えるだろう。
●南越駅(仮称)
南越駅のコンセプトは「伝統・文化を未来につなぐシンボルとしての駅」で、南越駅の位置する越前市に飛来するコウノトリをモチーフにし、美しい自然環境を未来へつないでいくシンボルとなる駅をイメージしている。
コンコースの中央部の天井には、越前和紙の技法である「流し漉き」の動きをダイナミックに表現した和紙照明を設置する。
越前市の3大グルメは「越前おろしそば」「ボルガライス」「武生駅前中華そば」。新幹線駅として開業した後は、さらに注目が高まるかもしれない。
●敦賀駅
敦賀駅のコンセプトは、「空にうかぶ〜自然に囲まれ、港を望む駅〜」で、敦賀湾の波の煌めきを表現し、豊かな自然を感じられるイメージとなる。
コンコースは、天井全体を北前船の帆をイメージした浮遊感のあるデザイン。ホームは、床は船の甲板をイメージした木調タイルで仕上げ、待合室は船をモチーフとしたデザインとしている。
新幹線の停車駅として開業した後は、「敦賀赤レンガ倉庫」や、ライトアップイベント「敦賀港イルミネーション『ミライエ』」、「敦賀まつり」などが、より観光客から注目を集めるだろう。
現在、2023年春の開業に向け、着々と準備が進められている。旅行や出張などの利便性も上がり、より活性化するだろう。あと3年、新たな観光地として盛り上がるのを楽しみにしていよう。
(冒頭画像提供:鉄道・運輸機構)
取材・文/石原亜香利