イマドキの中高生はスマホをどんなふうに使っているのだろうか?また、スマホにまつわるどのようなトラブルに巻き込まれる可能性があるのだろうか?
そんな中高生のスマホ事情に関する調査がこのほど、株式会社NTTドコモによって、日本全国の13~18歳までのスマートフォンを所有する中高生200名を対象に実施された。
中高生の4割超が「顔や制服のうつった写真」をSNSに投稿!「学校名」の投稿も約7人に1人
はじめに、中高生の「SNSトラブル」のリスクについて調査が行われた。
まず、「これまでに、SNSに顔や制服のうつった写真・動画を投稿したことがありますか?」と尋ねる調査が行われたところ、全体の42%が「ある」と回答。顔や制服など、個人情報の特定につながる写真を投稿している中高生は少なくないようだ。
また、中学生/高校生それぞれの割合についてみてみると、高校生では同じ回答をした人が38%になったのに対して、中学生では「ある」と回答した人が45%と半数近くにのぼっている。さらに、「SNSに自分の学校名を書いて投稿したことがある」人も全体の約7人に1人(15%)となった。
クラスに“チャットグループ”がある中高生は約9割、一方で約7人に1人が「悪口」の目撃経験アリ
続いて、「学校の友人とのやり取り」について尋ねる調査が行われた。
「クラスに“チャットグループ”(クラスのメンバーでやり取りができるSNS内のグループ)はありますか?」と尋ねる調査が行われたところ、87%と約9割が「ある」と回答。クラスの“チャットグループ”は、中高生にとってごく身近な存在であると言えそうだ。
しかし、中には「クラスの“チャットグループ”に悪口が書かれているのを見たことがある」と答えた人も約7人に1人(14%)に。親睦を深めるどころか、クラスメイトとの関係悪化やいじめにつながりかねない使い方をしているケースもあるようだ。
特に中学校の“チャットグループ”では、悪口の目撃経験も多いようで、高校生では8%にとどまっているのに対し、中学生では20%(5人に1人)と12ポイントの差がついている。
誹謗中傷を受けた中高生も…約3人に1人が「SNSで不快なコメントをもらったことがある」と回答!
「SNSにおけるコメント」について聞いた質問では、「SNSで知らない人からコメントをもらったことがある」人が約7割(69%)に。また、そのうち(138名中)、30%が「知らない人から“不快な気持ちになるコメント”をもらったことがある」と答えている。
具体的なコメントの内容を聞くと、「ゲームに関する投稿をしたら、“下手だから”やめろと言われた」(16歳・高校生男子)、「集めているグッズを投稿したところ、同じ人から“どうせ親の金でしょ”などの批判的なコメントが何件もつけられた」(17歳・高校生女子)などの回答が寄せられた。
また、「SNSで誹謗中傷を受けた(明らかな悪口を言われた)ことはありますか?」という質問でも、約7人に1人(14%)が「ある」と回答。
具体的には、「自分がつくったオリジナルの作品を紹介したら、盗作と言われた」(17歳・高校生男子)、「体型について揶揄された」(15歳・高校生女子)などの声が挙がっている。
なお、SNSで誹謗中傷を受けたことがある」と答えた人を男女別にみると、女子中高生が9%である一方、男子中高生では19%と10ポイントの差がみられている。
女子中高生よりも男子中高生のほうが、よりSNSで誹謗中傷を受けやすい傾向にあると言えそうだ。
加害者になるリスクも!? SNSで他者への批判や文句を投稿したことがある中高生は約3割
一方で、約3割(28%)が、「SNSで他者への批判・文句を投稿したことがある」と回答。中高生自身がSNSで批判・文句を投稿することで、誹謗中傷などの加害者となってしまうリスクもあると言えそうだ。
さらに、SNSでつながった人と実際に会うケースも少なくないようで、「友人がSNSでつながった人と実際に会ったという話を聞いたことがありますか?」と尋ねる調査が行われたところ、約4割(37%)が「ある」と回答。
特に女子中高生については、48%と約半数(男子中高生は25%)が「ある」と答えているほか、「自分自身がSNSでつながった人と実際に会ったことがある」人も25%と4人に1人(男子中高生は8%)にのぼっている。
<専門家解説>
中高生のSNS利用が大人ともっとも異なる点は、現実の知り合いとのコミュニケーションがメインであることです。学校の友人や部活の仲間、小学生時代の同級生など、気の知れた人達と近況をシェアすることが一般的と言えるでしょう。しかし、インターネットにつながっている以上、投稿は多くの人の目にさらされます。中高生たちが、そのリスクをあまりわかっていないことから、トラブルに発展する事例が多く見られます。
例えば、昨今問題になっている、制服姿のままアルバイト先でふざけた行為を動画に撮る「バカッター」騒ぎは、内輪に見せるために投稿していたものが拡散されたことで炎上しました。中には偽計業務妨害の疑いで書類送検された高校生もいます。
さらに、最近は友人のIDとパスワードを推測して乗っ取り、本人になりすましてSNSに投稿することもおふざけのひとつとしてよく行われているようです。しかし、こちらも不正アクセス禁止法で禁止されている行為。その状態で他人への誹謗中傷を行えば、名誉毀損に問われる可能性もあります。こうした事例は仲間うちで軽い気持ちで行われているため、被害に遭う可能性だけでなく、加害者になってしまうことも考えられます。
そして、SNSにおいて、他人の悪口や批判をするのもNG。本人としてはなにげなく投稿したつもりの内容でも、誹謗中傷として名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪、業務妨害罪などの罪に問われる可能性や、慰謝料を請求される可能性があります。
そのほか、SNSで繋がった人に対する警戒心も大人より低いため、DMで会話を交わしているうちに仲良くなり、実際に会いに行った結果、性被害にあってしまうこともあります。高校生以下のお子様を持つ親御さんは、知らない人に会いに行かないことを、今からでも約束しておくべきです。また、自身の制服姿、学校名など、個人の特定につながる行為も危険ですのでやめましょう。
中高生の9割が「ネットでの買い物経験」アリ! 親に相談・共有ナシで購入したことがある学生も約6割
続いて、中高生の「ネットショッピングトラブル」のリスクについて調査が行われた。
まず、「インターネット上で買い物をしたことはありますか?」と尋ねる調査が行われたところ、実に中高生の90%が「ある」と回答した。
具体的に最近買ったものとしては、「デジタル配信の音楽を購入した」(17歳・高校生女子)などのほか、「好きなアーティストが着ているのと同じオリジナルパーカーを買った」(15歳・高校生男子)、「ギフトアプリを使って、友達へのプレゼントとしてアイスクリームのチケットを贈った」(13歳・中学生女子)といった回答が寄せられた。
一方で、「インターネット上で買い物をするときには、親に相談や共有をしますか?」と尋ねる調査が行われたところ、「いつもしている」人は43%にとどまり、「しないこともある」人が約4割(36%)、「いつもしていない」人が約5人に1人(21%)にのぼることがわかった。
親が把握していないところで、ネットショッピングをしている中高生は決して少なくないようだ。また、親への相談・共有なしにネットでの買い物をしたことがある割合は、女子中高生が44%であるのに対し、男子中高生では実に70%にのぼっている。
4割超が「フリマアプリで商品を購入」、商品を販売してお小遣いを稼ぐ中高生も約3人に1人
さらに、現在人気を集めている「フリマアプリ」についても尋ねる調査が行われたところ、43%が「フリマアプリで商品を購入したことがある」と回答。
また、「フリマアプリで商品を販売したことがある」人も30%にのぼっており、約3人に1人の中高生が、フリマアプリでお小遣いを稼いでいることがわかった。
<専門家解説>
中高生はクレジットカードを持てないため、大人と比べるとオンラインでの買い物は少なめです。しかし、購入したいものをダイレクトに買えるネットショッピングは魅力があります。
特に最近人気が集まっているのが、親権者の承認があれば中高生でも利用できるフリマアプリ。店舗が遠くて買いに行けない中高生でもほしいものを入手できることは大きな魅力です。
また、フリマアプリは購入だけでなく販売もできるので、使用済みのコスメやバッグなどを積極的に出品している中高生もいます。お小遣いを節約しながら生活している中高生にとってはありがたいサービスです。
一方で、大人と同じ土俵で売買を行っていることから詐欺に合う危険性もあり、商品を購入したにもかかわらず発送されない、または偽物だった、実際には汚れやキズがひどかったといったトラブルに巻き込まれることがあります。また、転売禁止のチケットを購入して入場を拒否された事例も目立っています。
さらに、ネットショッピングにおいては、サイト自体が偽物という事例もありますので、URLなどの確認をすることも重要です。
中高生の5人に1人が「フィッシングメール」を受信、架空請求をされた経験がある人も約9人に1人
続いて、近年手口が悪質化している「ネット詐欺」についても調査が行われたところ、5人に1人(20%)が「フィッシングメール(銀行、カード会社、オンラインサービス、芸能人などの名を騙った詐欺メール)を受け取ったことがある」と回答。また、「利用した覚えのないサイト・サービスからの請求を受けたことがある」人も約9人に1人(11%)にのぼった。
<専門家解説>
ネット詐欺は少しずつ姿を変えて、現在でも多くのトラブルを生んでいます。スマホの画面にアラートを出して脅かし、金銭を取る「ワンクリック詐欺」では、「アダルトサイトを見たせいかも」と悩み、親に打ち明けられずに高額な料金を支払ってしまう人が後を絶ちません。
また、IDの期限が切れる、もしくはパスワードを変更するように促される偽メールにより、個人情報をもらしてしまうこともあります。
さらに、SNSで知り合った人に個人間で取引を持ちかけられ、お金だけ取られる事件も起きています。人気の芸能人やアーティストのチケットやグッズなどが取引対象に使われることが多いようです。
約半数が、親には相談しない!? 中高生がネットトラブルが起きたときにやること1位は「ネット検索」
それでは、万一ネットトラブルが起きたとき、中高生たちはどのような行動をとるのだろうか。
「インターネット上のトラブルに巻き込まれたときに、あなたはどうしますか?」と尋ねる調査が行われたところ、「親に相談する」と回答した人は55%にとどまる結果に。
残り約半数(45%)の中高生は、ネットトラブルが起きても親には相談しないということになる。一方で、最も回答が多かったのは「インターネットで調べる」(76%)だった。
また、「インターネット上のトラブルに巻き込まれたとき、気軽に相談できる相手は身近にいますか?」と聞いた質問では、75%が「いる」と答えたものの、残りの4人に1人(25%)は「いない」と回答する結果に。
なお、先ほどの「インターネット上のトラブルに巻き込まれたとき」の行動と照らし合わせると、気軽に相談する相手が「いる」と回答した人は「親に相談する」人が68%と約7割にのぼっているのに対して、「いない」と答えた人において、同じ回答をした人は16%となり、「インターネット上の知り合いに相談する」(16%)と同率となった。
身近に相談できる人が「いない」中高生たちが、親に頼ることができず、インターネットに依存しがちな傾向がうかがえる。
そこで、「インターネット上のトラブルに巻き込まれたときに、気軽に相談できる専門家がいると心強いと思いますか?」と尋ねる調査が行われると、実に92%が「そう思う」と回答。中高生の多くが、万一のときに、専門的な知見からアドバイスをもらえる相手がいると、心強さを感じるようだ。
<専門家解説>
中高生はネットやスマホの使い方には長けていますが、社会の常識はまだ培われていない年齢です。「悪ふざけしても大ごとになるはずがない」、「誹謗中傷というほどではない」など、軽い気持ちで道を踏み外してしまいます。
しかし、ネットの向こうには様々な考えや立場を持つ人がいて、時には誰かを傷つけてしまいます。ネットのマナーに関しては、学校での指導に任せるだけでなく、我が子の友人関係を理解している親が子どもと話し合うことが大切です。
また、ネットは悪い人とも簡単に繋がってしまう危険性があります。早めに相談してくれれば対応できたケースでも、親に心配をかけたくないと考えて打ち明けてくれないことがあります。普段からスマホやネットに関してオープンに話せる雰囲気作りが大切です。
ただし、両親とも仕事で忙しく、すべてをケアしきれないご家庭も多いでしょう。そこで、デジタルの力も借りることをおすすめします。
フィルタリングやペアレンタルコントロールを利用して、利用時間の制限、アプリのインストール管理、課金の許可制などを設定しておくと安心です。
また、それでもネットトラブルに巻き込まれてしまったら、親にも相談できる先が必要です。
NTTドコモの「ネットトラブルあんしんサポート」は、万一トラブルにあった際に専門スタッフ等に電話相談できるサポート体制、キャッシュレス決済の不正利用補償を行ってくれるサービスです。
また、最新のトラブル事例も定期的に送られてくるため、日々変わるネットの情勢にも強くなれます。家庭の食卓で「今日はこんな話があった」と話題に挙げると、お子さんの自衛意識も高まるでしょう。
<専門家プロフィール>
鈴木朋子(すずきともこ)/ITジャーナリスト
大手メーカーでシステムエンジニア業務に従事、のちフリーライターに。SNS、スマホ、パソコン、Webサービスなど、身近なITに関する記事を執筆。初心者がつまずきやすいポイントをやさしく解説することに定評があり、入門書の著作は20冊を越える。ITの知見と2人の娘の子育て経験を生かして、子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」として活動中。TV・雑誌などメディア出演も多数。
ドコモでは、中高生をはじめとしたスマホユーザーのあんしん・安全なインターネットライフをサポートするサービスとして、「ネットトラブルあんしんサポート」(月額:税抜500円)を提供している。
▼「ネットトラブルあんしんサポート」
https://nettrouble.docomo.ne.jp/
出典元:株式会社NTTドコモ
構成/こじへい