引っ越しには思っている以上にたくさんの手続きが伴うものです。手続きの忘れによりトラブルとなる場合もあるため、抜け漏れを防ぐためのチェックリストを用意するとよいでしょう。エクセルやアプリを活用したリストと作成のときのコツについて紹介します。
引っ越しは計画的な準備が大切
近々、引っ越しを控えているという人は、できるだけ事前にやるべきことの計画を立てておくことをおすすめします。
引っ越しには想像以上に手続きが発生しがちです。思い付くままに対応していると手続きのタイミングが遅れたり、手続きそのものを忘れたりしてしまいます。引っ越しのときに必要な手続きに関して、ここで一旦整理しておきましょう。
やるべきことがたくさんある
引っ越しといえば最初に物件関係の手続きが思い浮かぶでしょう。現在住んでいる賃貸物件の解約や次に住む家の入居予定日について、管理会社や大家に連絡して調整する必要があります。生活に必要な電気・ガス・水道の移転手続きのほか、郵便物の転送手続きも必要です。
身分証明にもなる免許証や健康保険証なども早急に手続きをしておきたいところです。各金融機関や保険会社、個人で契約しているサービスなどさまざまな届け出にも住所変更を届けなくてはなりません。
引っ越し準備期間から引っ越し完了まで、やるべきことは山のようにあるのです。
手続きを行うタイミングがバラバラ
やらなければならないことが多いからといっても、すべてを一気に終わらせることはできません。手続きはそれぞれ行うべきタイミングが異なるのです。頭の中だけで順序立てて進めていくと、ついうっかり忘れてしまったということもありえるので、手元に書き出してみることをおすすめします。
引っ越しの準備のコツは、引っ越し前に行うことと、引っ越し完了後に行うことで線引きを行うことです。さらに、手続きに時間が掛かるものや期限が迫っているもの、窓口の対応時間が平日に限られるものなどから優先順位を高くして進めていくとよいでしょう。
手続き忘れがトラブルを招く場合も
引っ越しに伴う手続きを忘れた場合、さまざまなトラブルが起こります。
例えば、住民票は「引っ越しから14日以内に異動しなければならない」と住民基本台帳法に定められており、違反すれば最大5万円の過料(罰金)が科せられることがあります。運転免許証も各都道府県公安委員会に住所変更届けが申請されていなければ、本人確認書類としての効力を失います。
自動車を持っている人は、車庫証明書と自動車車検証の手続きも必要です。変更期日を過ぎるとそれぞれ10万円以下・50万円以下の過料が科されてしまいます。
新居のライフラインの手続きも必要です。電気・ガス・水道の手続きが遅れると、引っ越し先での生活に支障をきたします。
参考:総務省|住民基本台帳等|住所の異動届は正しく行われていますか?
引っ越しの手続きリストを作成するメリット
やることを書き出してリスト化すると、情報が整理できて効率的に作業を進められるでしょう。引っ越しの手続きをやみくもに進めていくことはおすすめしません。引っ越しの手続きは多岐に渡るため、事前準備を何もしていない状態で進めると混乱します。
さらに、手続きによっては同じ場所に窓口があるものや関連性のある手続きもあるため、思い付きで手続きを進めると結果的に二度手間・三度手間になることも多いので注意が必要です。
作業の抜け漏れを防ぐ
引っ越しの手続きリストを作成すると、一つの手続きが完了するごとにチェックを付けることができます。まだ完了していない手続きは一目で分かり、作業の抜け漏れがないかを正確に判断できるのです。
さらに手続きを書き出すことで情報が整理され、リストを作成したときには忘れていた手続きを書き足すこともできます。手続きが終わるごとにリストを埋めていけば、進捗が確認でき安心感も得られるでしょう。
流れを把握し、効率よく作業ができる
リストを作成するとそれぞれの手続きにおける流れが見えてきます。例えば住民票や転入届、国民健康保険、国民年金の手続きは市町村が窓口です。運転免許証は最寄りの警察署で住所変更手続きが可能ですが、新しい住民票が必要になります。
1カ所でまとめて手続きできるものは同日に作業したり、関連性のある手続きは順番を決めたりすることで、ぐっと効率よく進められるでしょう。
引っ越し手続きリスト作成の方法
引っ越し手続きリストの作り方・使い方は人それぞれです。個人によって使いやすく感じるものは違うため、自分に合ったものを選びましょう。紙に書き出すことも一つの方法ですが、スマートフォンやパソコンでツールやアプリを使うと気軽に修正できて便利です。
引っ越し手続きリストを作るツールとして、エクセルとアプリを使った場合のメリット・デメリットを紹介します。
エクセルで作成する
パソコン操作が得意な人は、エクセルでの引っ越しリスト作成がおすすめです。ベーシックな一覧表形式もよいですが、もっと効率のよい形式が『ガントチャート』です。
縦軸にはタスクとして手続きリストを、横軸には引っ越し前後の日付を入れ、作業期間を棒グラフで表現します。一目で全体の進捗が把握できる上、その日は何をしなければならない日なのかタスクが分かりやすくなるでしょう。
ただし、エクセルを使って作業をする場合はパソコンやタブレットなど、画面が大きい端末を使わないと操作に制約が生じやすくなります。
引っ越し用アプリを活用する
スマホを使い慣れているならば、引っ越し用アプリがおすすめです。引っ越し用アプリはさまざまなタイプがストアからリリースされているため、使いやすそうなものを選ぶとよいでしょう。
不動産・住宅専門情報サイトからは、引っ越しのときに必要な作業を網羅したアプリが出ています。手続きに必要なものや期日なども自動で表示されるため、自分でリストを作ることに不安がある人にはおすすめです。
ほかにも、登録の際にアンケートに回答するだけで自分に必要な手続きがリストアップされる便利なアプリもあります。
アプリはスマホさえあれば操作できて手軽ですが、すでにフォーマットや内容が決められているため、自分向けにカスタマイズしにくいことが難点です。
スケジュールアプリを利用する
引っ越し手続きの期日をうっかり過ぎてしまうミスが心配だという人は、日付を重視してスケジュールアプリを使いましょう。TO-DO欄やメモなどに必要なものや注意したいことなどを入力して自分なりのスケジュールにカスタマイズできます。
リマインダー機能も活用すれば、期日が迫ってきたときにお知らせを受け取ることができて安心です。複数人で共有できるものもあるため、心配性な人は家族や友人など、親しい人に一緒にチェックしてもらうという方法もあります。
スケジュールアプリは自分で予定を組み立てられるというメリットがある分、自己管理が重要となる方法です。
チェックリスト作成のコツ
チェックリストは思い付きで作成しないことがコツです。タスクがちゃんとまとまっていないために見落としにつながったり、後で見返したときに内容を正確に読み取れなかったりということがあります。
リスト作成にあたっておさえておきたいポイントを2点チェックしておきましょう。
一つのツールにまとめて管理する
まずは、引っ越しチェックリストをまとめるツールを一つに絞りましょう。役所の手続きはメモ帳、電気・ガス・水道などはアプリといった具合に情報を分散させてしまうと、作業を見落とす原因になります。
必要なことが一つの共通ツールですべて確認できる状態は、全体の進捗を把握できるという点がメリットです。作業をブッキングさせてしまったり、無理なスケジュールを立ててしまったりする心配がありません。
作業は具体的に書く
手続きの内容は分かりやすく、かつ具体的に書きましょう。リストを作っているときには分かったつもりになって略語を使っても、後になって何の予定なのか、必要なものは何なのかが分からないのでは意味がありません。改めて調べ直すと二度手間になって時間の無駄になります。
手続きの当日、自分が読み返しても困らないようなメモにしましょう。
構成/編集部