新型コロナウイルス感染拡大により、不要不急の外出自粛、緊急事態宣言など、不穏な言葉が飛び交っています。外出や買い物を控えつつ、栄養バランスのよい食事を目指すためには、野菜不足には気をつけたいところ。そこで、野菜を瓶詰にして保存しませんかといいうご提案です!
自家製瓶詰でローリングストック
有事となると、食料の確保は深刻な問題。とはいえ、「たくさん買い込んだけど、使いきれずに腐らせそう」ということもありますよね。となると、冷蔵庫や冷凍庫がなかった時代の保存法の出番です。昔の人は、野菜や魚を干したり、塩や酢で漬けたりして食料を蓄えてきました。
その中でも、「漬ける」方法は、手軽ながら楽しく、奥深い趣味。食材が漬け液に漬かっていれば水や空気に触れにくくなり、カビや酸化を防いでくれます。醤油漬けなら塩分が菌の繁殖を抑え、酢漬けなら殺菌・防腐作用も期待できます。
料理をするときに野菜を多めに切って空き瓶に入れ、酢や醤油、オイルなどに漬ければ、食料ストックとして頼れる存在に。ジャムやピクルスなどの空き瓶を洗って乾かしたものを再利用すれば、資源削減にもなります。このような感じで、せっせと瓶詰を作ってストックに回し、古いものから食べるのがおすすめ。賞味期限の古くなった非常食を日常的に使い、減った分を補充することで効率よく食料を備蓄する「ローリングストック」という方法を意識するといいでしょう。
アルコールスプレーや煮沸で清潔第一
瓶詰づくりに重要なのは、清潔を保つこと。調理に使う道具と、保存する容器は清潔なものを使いましょう。大きなものは除菌アルコールスプレーをかける、小さなものは鍋に湯を沸かして煮沸消毒をする(残った水滴はふき取らない)などです。箸や瓶のふたなどまですべてこのように扱います。
また、作る、入れるなどの過程で雑菌が入らないように要注意。食べるときに異臭がするなどの異変を感じた場合は、安全のために口にしないようにしましょう。
自家製瓶詰に挑戦 ~酢漬け編
さて、ここからは具体的な作り方のお話。まずは、酢。酢はさまざまな調味料のなかでも、もっとも殺菌力が最も強いといわれます。魚の酢じめやピクルスがよく知られています。
筆者はよく玉ねぎを酢漬けにしています。玉ねぎはそのままでも長持ちする野菜ですが、食べきれずに腐らせてしまったりしがち。気づかないうちにカビが生えたりも。ひと昔前に「酢玉ねぎ健康法」が流行して、血液サラサラ! 痩せる! のような効果がうたわれていました。その真偽はさておき、味や保存の観点からは優れた方法なのでぜひどうぞ。
基本的には薄切りにした玉ねぎを、十分な量の酢と瓶に入れるだけ。でも、これだと玉ねぎが辛すぎる、酢がすっぱすぎるので、玉ねぎを空気にさらしてから使う、ゆでてから使う、酢に砂糖やはちみつを加えるなどのアレンジを。玉ねぎがしんなりしたら食べごろで、そのまま食べるほか、パスタやスープの具にする、肉のソテーに添えるなど、さまざまな料理に使えます。
自家製瓶詰に挑戦 ~醤油漬け・オイル漬け編
続いて、醤油漬け。醤油漬けの定番はにんにく。にんにくは、房ごとに分ける前の状態で底を一気に切り落とす(さらにラップをかけてレンジで1分前後チンする)と、皮むきが楽。むいたにんにくは、煮沸消毒した瓶に入れ、醤油を注いでフタをしたら完成。基本的には醤油だけで漬けるものですが、煮切ったみりんや砂糖を加え、口当たりをよくするレシピもあります。
時間の経過とともに味が染みていき、にんにくだけでなく香りが移った醤油もおいしく変身。
最後に、オイル漬け。年中価格が安定しているきのこがおすすめです。オーブンで焼いてセミドライぐらいにしたきのこ(写真はしめじ)を、煮沸消毒した瓶に入れ、オリーブオイルを注いでフタをしたら完成。にんにくと赤唐辛子を加えて香りと辛みを加えてみました。
冷ややっこやパスタの具として使っています。
<メモ>
*自家製瓶詰は市販品とは違うので、冷蔵庫で保管し1週間~10日を目安に消費しましょう。開封後は早めに使い切ってください。にんにく醤油漬けは傷みにくく、状態がよければ約1年保存可能。
*衛生や保存の状態により、食中毒を引き起こす場合があります。異変を感じたら口にしないでください。
取材・文/木村悦子