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まるで別世界!?リノベーションでお洒落に生まれ変わる銭湯の新しいトレンド「デザイナーズ銭湯」

2020.06.13

銭湯ブームで、歴史ある銭湯がもてはやされているが、それとはちょっと毛色が異なる「デザイナーズ銭湯」が注目を受けつつある。

リノベーションで銭湯が生まれ変わる

多くの人にとって初耳となる「デザイナーズ銭湯」とは豊かな機能性に加えアートなデザイン要素が加わった銭湯を指す言葉で、その代表的なデザイナーが(株)今井健太郎建築設計事務所の代表取締役・今井健太郎さん。リノベーションによって生まれ変わった銭湯の使いやすさや美しさが評価され、銭湯のひとつのジャンルとして確立し、若者を中心に人気を呼んでいる。

デザイナーズ銭湯と言っても、そのデザインは奇をてらったものではない。今井さんが目指すのは、「どことなく懐かしく、ふるさとに戻ってきたような安心を感じてもらいつつ、それでいて非日常的な刺激を通じて、心身をリフレッシュしていただける」空間の実現だという。

そう考える今井さんの手によって、「懐かしくて、新しい」形をまとった銭湯は、都内を中心に16軒。2月には、今井さんの「作品」を網羅した著書『銭湯空間』(KADOKAWA)が刊行されている。

普段、銭湯にはあまり行かないという人も今井さんが設計する銭湯とはどんなものか、興味がわくと思う。そこで、著書にも掲載されている銭湯のうち3軒を紹介したい。

大蔵湯

町田市には、一般公衆浴場は数えるほどしかなくなってしまったが、その中でも「町田で一番歴史のある銭湯」として存在感を放つのが、2016年にリニューアルオープンした大蔵湯だ。

大蔵湯の外観

東京郊外ではスーパー銭湯が大きな競合となっており、「遠のいてしまった客足をどうやって取り戻すか?」「スーパー銭湯にどうやって対抗する?」という課題から、改修計画は始まったという。

検討の結果、スーパー銭湯とは逆の方向を目指し、(スーパー銭湯の「動」に対し)「静」の空間を志向するコンセプトが生まれた。今井さんがイメージしたのは、温泉地の日帰り共同浴場である「外湯」の雰囲気が銭湯にミックスされた空間。「日常の中にあり、公共の場なのに落ち着きとくつろぎ、静けさのある」空間を、大蔵湯で実現することに決まった。

このため、スーパー銭湯では当たり前にあるバイブラ(気泡風呂)やボディジェットといった設備は一切導入せず、3つある浴槽は水風呂、中温、高温と温度が違うだけで、何か固有の設備を付加しているわけではない。これだけでも、共同浴場のような雰囲気が醸成されたという。

また、木造銭湯らしさを残すため脱衣所の天井など古くからある構造は残しつつ、デザインに趣向をこらした。例えば、銭湯の定番である富士山の壁画は通常はペンキ絵で描かれるが、大蔵湯では12色の10ミリ角モザイクタイル45万枚用いて、浴室奥の側壁に富士山を、対面側の壁には富士山を照らす朝日を描いた。銭湯でこれほど大きなモザイクタイル絵が施工されたのは、最近では珍しい。

大蔵湯の内部

今井さんは、「このプロジェクトは銭湯文化の魅力をとらえ直す上でとても印象深いものとなりました」と述べる。地元の人が誇れる銭湯として利用者が増えている。

【基本情報】
住所:町田市木曽町522
電話:042−723−5664
営業時間:14:00~23:00
定休日:金曜日
公式サイト:http://ookurayu.com/

ふくの湯

ふくの湯があるのは、下町の雰囲気が色濃く残る谷根千と呼ばれるエリア。寺社建築が目立ち、商店街は七福神がイメージキャラクターになっている特色ある場所ということで、こうした地域性をコンセプトに採りこんだ改修計画を立てた。名付けて「ご利益気分な銭湯」。銭湯の名前も「福」を連想させてイメージにマッチすることもあり、「そこに行けばご利益がありそうな気分になる空間」を目指したという。

ふくの湯の外観

男女週替わりの2つある浴室はそれぞれ「大黒天の湯」「弁財天の湯」と名づけ、「重厚感/渋さ」と「華やかさ/明るさ」のイメージを割り当てた。そして、タイルの色・素材や照明がそのイメージに合ったものとなるよう設計した。さらに方位に合わせた風水カラーを浴室の柱に採用。ご利益気分を満喫できる配慮がこらされている。

ふくの湯の内部

【基本情報】
住所:文京区千駄木5−41−5
電話:03-3823-0371
営業時間:11:00~24:00(土曜、日曜、祝日は8:00~24:00)
定休日:無休

戸越銀座温泉

全長1.3キロという関東有数の商店街である戸越銀座商店街。ほかの商店街に先駆け、電線の地中化やITインフラの整備など先進的な取り組みをする一方、懐かしさを感じる要素も随所に残っており、「現代的特性と昔ながらの特性が混在する商店街」だと、今井さんは表現する。

商店街の真ん中に位置する戸越銀座温泉を改築するにあたり、今井さんが考えたコンセプトは「新古(シンプル)」。「現代的な空間(新)と古典的銭湯(古)の対比と混沌的融合」を商店街のイメージから紡ぎ出した。

その1例が、カラン(蛇口)の配置。この銭湯には2つの浴室があるが、片方は古典的な銭湯形式、もう一方はそうではない形式とし、対比的なレイアウトとした。この銭湯では「古典的なモチーフをモダンな表現でデザインしたり、逆にモダンな形状の中に古典的なモチーフを入れ込むデザインとしたり、空間構造や様々な部位に“対比と混沌的融合”のデザイン」がちりばめられている。

戸越銀座温泉の内部

【基本情報】
住所:品川区戸越2-1-6
電話:03-3782-7400
営業時間:15:00~25:00(日祝日は8:00~12:00の朝湯あり)
定休日:金曜日
公式サイト:http://togoshiginzaonsen.com/

今井さんの『銭湯空間』では、上に挙げた3つ以外の詳細な銭湯の紹介のほか、銭湯にかかわる基礎知識のコラムや統計資料なども充実。銭湯好きなら、ぜひ読んでおきたい1冊に仕上がっている。

今井健太郎さん プロフィール
株式会社今井健太郎建築設計事務所代表取締役、一級建築士。1967年、静岡県生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科卒業後、設計事務所勤務を経て、98年、今井健太郎建築設計事務所設立。自らも銭湯が好きで、理想の銭湯の形を求めて、先進的かつ開かれた銭湯空間を提案。大平湯、大蔵湯、万年湯など、東京都内のデザイナーズ銭湯と呼ばれる銭湯の設計を多く手掛ける業界の第一人者。

文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)

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