今日はこれから大事なプレゼンがある。なのに、鼻がぐすぐすしてひどい鼻声。風邪のせいか花粉症のせいかはわからないが、すぐになんとかしたい。
こうした鼻のトラブルを即効で改善してしまうセルフケアがあるというのは、中医学の施療院である日本リバースの今野清志院長だ。
今野院長によれば、鼻のトラブルを1分以内で鎮めてしまう“とっておきの方法”は、全部で11種類あるという。それらは著書の『いつでもどこでも鼻がよくなる小さな習慣』(大和書房)に掲載されている。
この“秘技”は全部をやる必要はなく、どれか1つをやれば十分だという(それが効かない場合、別の手法を試す)。しかも、やり方はとても簡単。ここで、そのうち2つを紹介しよう。
わきの下をもみもみする
下のイラストのように、片手でわきの下をもむ。右の鼻が詰まっているときは左のわきの下、左の鼻が詰まっているときは右のわきの下をもむ。時間は30秒ほどで、これを1セットとし、最大3セットを目安に行う。強度は、少し痛みを感じるくらいで。
わきの下をもむ理由は、リンパの流れ、経絡(けいらく)のめぐりがよくなるため。もんでいるうちに、「身体がポカポカして、鼻のとおりもよくなっているはずです」と今野院長。
鼻をつまんで息をのむ
深呼吸してから、親指と人差し指のつけ根で鼻をつまんで、鼻の穴をふさぐ。そして、息をのみ、数秒ほど呼吸を止める。これをこまめに数回行う。
シンプルをきわめたメソッドだが、鼻づまりに効果てきめん。今野院長は、「鼻水・鼻づまりは、外界から侵入する異物に対する過剰反応として起こる痙攣のようなものです。したがって、息を止めて原因物質の侵入を遮断すれば、痙攣も止まります」と、その原理を明かす。
「マスクはつけない」ほか3原則
今野院長は本書の中で、長期的に鼻のトラブルを改善・予防するという「3原則」についても語っている。上の全11種からなるセルフケアは、不意の鼻のトラブルを即効で良くするものだが、「3原則」はより長期的に鼻の健康を維持するというもの。具体的には、
原則1:マスクはつけない
原則2:口呼吸をしない
原則3:身体を冷やさない
だという。
「マスクはつけない」というのは、意外に思える。外界から飛来する花粉やウイルスなど、鼻のトラブルのリスクファクターを遮断するから、マスクをつけることはプラスの要素のはずでは?
ところが、そうでもないらしい。
今野院長は「安易にマスクに頼るのは、むしろ危険です」と警告する。理由の1つは、通常のマスクは細菌やウイルスを遮断できず、医療用のマスクですら100%防ぐことはできない点(※)。
そして、呼吸がしづらくなって、必要な量の酸素を取りこもうと、「鼻だけでなく口も使って息を吸い込む」クセがついてしまうというのもある。詳細は割愛するが、口呼吸には、のどが乾燥して免疫力が低下するなどさまざまな問題があるという。3原則に「口呼吸をしない」が入っているのは、このためだ。
マスクの話に戻ると、装着するのは「インフルエンザの流行期に満員電車に乗るなど、とくに感染の危険性が高い」場合に限定するのが望ましいとのこと。同時に、「全身の健康状態を整えて免疫力を高める」ことの重要性が説かれる。
※参考までに、厚生労働省は新型コロナウイルスについて「相当混み合っていない限り、マスクを着用することによる予防効果はあまり認められていません」としている。ただし、屋内の場合や、自身の飛沫を放出させないという意味ではマスク着用の意義はある。
本書では、「鼻の粘膜保護を考えた朝食をとる」や「上を向いて寝る習慣をつける」など、朝起きてから夜寝るまでの生活習慣や、「風を発生させない暖房器具を使う」といった住空間の工夫・改善など、鼻を健康にする数多くのTipsが盛り込まれている。日頃から鼻のことで悩んでいる方は、本書のメソッドに取り組んでみてはいかがだろうか。
今野清志さん プロフィール
日本リバース院長。目と耳の美容室 院長。目と耳の美容学院学院長。1953年、宮城県生まれ。中央大学法学部卒業後、慈恵医大アイソトープ科にて医学を学ぶ。当時日本初のRIの血液検査を紹介するかたわら、予防医学の重要性に気づき、薬を使わない治療法の確立を目指すようになる。その後、中国北京国際針灸倍訓中心結業・中国中 医研究院で研修などを行なう。30代から整体治療院を開業し、これまでに15万人以上の目 や身体の健康を治してきた。現在は日本橋茅場町本院と東中野分院にて施術を行っている 。主な著書に『目は1分でよくなる! 』(自由国民社)、『いつでもどこでも目がよくなる 小さな習慣』、『いつでもどこでも耳がよくなる小さな習慣』(ともに大和書房)などがある。
引用イラスト/アツダマツシ
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)