湿気を放置していると、健康だけでなく身の回りの物や家にも悪影響を及ぼします。簡単にできる除湿方法を取り入れて、梅雨のどんよりした空気も気分も吹き飛ばしましょう。エアコンで除湿する際は、シーンに適した運転機能を選択することが重要です。
梅雨の時期は湿気の悩みが増加
日本の夏が暑苦しいと感じるのは、気温だけでなく湿度も関係しています。人間にとっては過ごしにくい季節ですが、活動が盛んになる菌や虫も少なくありません。快適な住まいを維持するためにも、湿気対策を始めてはいかがでしょうか。
6〜7月は湿度の高い時期
日本は雨が多く、太平洋高気圧の影響もあり湿度が高い国です。ほんの少しでも雨が降った日数を数えてみると、年間100日以上にものぼります。10mm以上のまとまった雨も、年間30日以上降っているのが現状です。
湿度は地域や季節によって大きく異なります。1月の湿度は札幌が70%、東京が45%と差がありますが、梅雨にあたる6~7月には各地で75%を超える日も少なくありません。
日中の蒸し暑さを表す『不快指数』も全国的に高まり、過ごしにくいと感じる日がグンと増えます。ジメジメする夜も多く、寝苦しいのも悩みの種です。
カビやダニが増殖しやすくなる
湿度が高い時期は、カビやダニに悩まされることもあるでしょう。カビ菌は空気中に漂っている身近な存在です。しかし、条件がそろうと爆発的に増えて、目に見えるカビとして根付いてしまいます。また、どの家庭にも少なからずいるダニですが、増殖するとアレルギーなどが気がかりです。
カビ菌もダニも、気温が20~30℃で湿度が60~70%以上の『高温多湿』の環境を好みます。高温多湿といえば夏のイメージがありますが、冬も油断は禁物です。
近年は住宅環境が向上し、冬も室内が暖かい状態に保たれています。窓に結露ができるくらい湿度が上昇することもあり、1年を通じて湿気対策が必要です。
湿気を放置するとさまざまな問題が起こる
湿度の高い住環境は、健康だけでなく身の回りの大切な物もむしばみます。目に見えるトラブルに発展してからでは手の施しようがないケースもあるため、早めの対策が肝心です。湿気による被害を知って、防止策を練りましょう。
湿気による健康被害
カビの胞子やダニのふんは、アレルギーや病気を引き起こす要因です。湿気を放置しているとカビやダニが繁殖するだけでなく、お互いをエサしてどんどん増えてしまいます。ほこりや食べ残しを好む点も共通しているため、湿気対策とこまめな掃除が不可欠です。
リウマチ・関節炎・神経痛なども湿気と深い関わりがあるといわれています。梅雨が到来すると、湿気と低気圧の影響を受けて痛みがちです。
湿気によって血行も悪くなり、肩や首がこりやすいと感じる人もいるでしょう。血流も滞ってしまい、頭痛が引き起こされることもあります。
服や靴にカビが生えてしまう
物を出し入れするとき以外、クローゼットや下駄箱を締め切っている人も多いでしょう。締め切ったままでは空気と一緒に湿気もこもってしまい、服や靴にカビが生える原因になります。
収納の仕方にも注意が必要です。ぎゅうぎゅう詰めにしてしまうと空気の通り道がなくなり、さらに湿気がこもりやすくなります。部屋や水回りのようにこまめに掃除をしないことから、ほこりをエサにカビが増殖することも考えられるでしょう。
深いところまで根が張った『黒カビ』の場合、クリーニングでも取れないおそれがあります。お気に入りのアイテムを長く愛用するためにも、カビを生やさないように気を付けましょう。
住居のトラブルの原因になる
湿気対策は大切なマイホームを守ることにもつながります。入浴・調理・暖房器具などで発生する水蒸気も湿気の原因です。湿気そのものだけでなく、湿気による『結露』もカビや腐朽を招きます。
結露は窓ガラスに発生するイメージがありますが、壁内部にも現れるやっかいな存在です。結露しやすい環境では、家屋の耐久性が低下するおそれもあります。
家屋の木材を食害することで知られる『シロアリ』も心配です。シロアリは湿気を含む土や木材を好み、知らず知らずのうちに被害が拡大しないともかぎりません。
梅雨にできる手軽な除湿方法
梅雨と湿気は切っても切れない関係です。しかし、日ごろのちょっとした習慣で部屋やクローゼットを湿気から守れます。服を片付けるタイミングも見直して、カビ知らずの暮らしを手に入れましょう。
扉や窓を開放し風を通す
換気が必要な場所といえば浴室ですが、空気がこもったリビングや寝室なども湿気が多くなりがちです。雨が上がった日は窓を開けるなどして、風を通す習慣を付けましょう。
梅雨の時期はクローゼットの換気も重要です。雨が続いているときは扉を少し開けておくとよいでしょう。服や物の間にすき間をつくり、空気の通り道を確保することも大切です。週1回程度、扇風機で新鮮な風を入れて空気を循環させる手もあります。
換気とセットで掃除も行いたいところです。部屋のすみ・家具の裏側・北側の壁をこまめに掃除することで、カビの発生を少しでも防ぎましょう。
クローゼットや下駄箱に除湿剤を置く
クローゼットや下駄箱の湿気対策には除湿剤が有効です。除湿剤には置くタイプもあればつるすタイプもあり、スペースや好みに合わせて選択できます。消臭作用や繰り返し使用できるものなど種類も豊富です。
ドラッグストアなどで入手できる『重曹』も除湿剤として活躍します。小びんなどに入れて蓋を開けて置いておけば、湿気と臭いの両方を吸い取ってくれるでしょう。湿気を吸って固まってきたらクレンザーとして掃除に利用でき、無駄がありません。
服は一晩たってからしまう
毎日洗わない上着などは、脱いですぐにクローゼットにしまう人も多いかもしれません。部屋を片付けるという意味では正解ですが、湿気対策としてはNGです。
脱ぎたての服には体温の熱がこもっています。雨にさらされたわけではなくても、汗の湿気も少なからず含んでいるでしょう。
そのままクローゼットにしまうと熱と湿気が服に留まり、カビの温床になりかねません。脱いだ服はハンガーにかけた後、室内の風通しのよいところに一晩つるして、熱と湿気を飛ばしましょう。
エアコンの除湿機能を活用しよう
湿度が高いシーズンはエアコンの除湿機能が頼りになります。除湿機能と冷房機能の違いを理解して、ジメジメした梅雨を爽やかに乗り切りましょう。複数の除湿機能が備わっている場合も、賢く使い分けることが肝心です。
エアコンを使った除湿方法
汗ばむ季節になるとエアコンを『冷房運転』にするか『除湿運転』にするか悩む人もいるでしょう。どちらも部屋を涼しくする点は共通していますが、役割が異なります。
冷房運転は温度を下げるのに対し、除湿運転は湿度を下げて快適に保つことが目的です。温度が高い真夏は冷房運転が適していますが、湿度が高い梅雨などは除湿運転が大活躍するでしょう。
年々エアコンの性能も発展し、除湿運転の種類が充実した製品も数多く登場しています。部屋の湿度が気になる人は、除湿に特化したエアコンをチェックしてみてはいかがでしょうか。
電気代が気になる。抑えるコツは?
除湿運転には、一般的な『弱冷房除湿』と、近年増えている『再熱除湿』の2種類があります。弱冷房除湿は冷房と除湿を同時に行う機能です。飽和水蒸気量を減らすために冷やされた空気が、そのまま部屋に排出されます。
再熱除湿は冷やして湿気を取り除いた空気を再度温めて、適切な温度に調節し部屋に戻す仕組みです。空気を温める必要があることから、弱冷房除湿とくらべて電気代がかかる傾向があります。
電気代を節約するには、シーンに合わせて運転を切り替えるのがポイントです。本格的な夏が到来する前は、温度はそのままに湿度を取り除いてくれる再熱除湿が適しています。温度も湿度も上昇してきたら、弱冷房除湿に切り替えましょう。
構成/編集部