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令和2年度の税制改正でFXにかかる税金はどう変わる?

2020.03.28

令和元年12月20日に「令和2年度税制改正大綱」が閣議決定されました。税制改正に基づく国会審議が通過し3月に成立すれば、4月からこの大綱に基づく改正が行われます。今回は、FXにかかる税金の変更点をご紹介します。

FX取引の課税

FXの利益は、「先物取引に係る雑所得等」として他の雑所得とも分離して課税され、税率は20.315%です。

先物取引に係る雑所得等の中には、店頭取引・取引所取引両方のFX取引、大阪取引所で売買できる日経225等の先物取引、東京金融取引所の取引所CFD(株365)取引も含まれます。この先物取引に係る雑所得等に含まれれば、その中で損益通算することが可能です。

一方で、他の雑所得である公的年金等、原稿料点講演料などの雑所得、給与所得や不動産所得等の他の所得とは損益通算することができません。

つまり、FXと先物取引の損失は、FXと先物取引の利益としか相殺できないということになります。

なお、先物取引に係る雑所得等内で損失を相殺しきれなかった場合は、翌年以後3年間にわたって先物取引に係る雑所得等と相殺できる3年間の繰越控除することができます。

さらに、雑所得は確定申告が必要な所得で、FXでの利益が一定に達すると確定申告が必要です。以下の2つの条件に該当する場合は確定申告をしましょう。

1.給与所得者で給与所得と退職所得以外の所得が20万円超
2.専業主婦(夫)や無職の方でFXでの所得が48万円超

上記以外にも、医療費控除を受ける、給与所得が2,000万円以上、2カ所以上から給与所得を受け取っている等があればFXでの取引に関係なく確定申告が必要になります。

また、FX取引業を行う会社は税務署に取引履歴に関する支払調書を提出しており、確定申告義務がある場合には必ず確定申告を行いましょう。

仮想通貨との損益通算不可

令和2年度税制改正の大綱では、FX等の先物取引に係る雑所得内で損益通算できた「暗号資産デリバティブ取引に係る雑所得等」つまり仮想通貨で得られた損益をFXや指数連動先物と通算することができないことが規定されました。
したがって、仮想通貨でのデリバティブ取引にかかる利益は、FX等の損益と通算することができず、総合課税で所得税のように5〜45%の累進課税が適用されます。

■FX、指数先物取引→分離課税一律20.315%
■暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引→総合課税5〜45%の累進課税

さらに、仮想通貨取引においてはFX取引同様に支払調書が、取引業者から税務署に提出されるようになり、マイナンバーの告知義務がかされるようになります。(令和2年12月31日まで猶予あり)

FX取引の税制上の問題点

FX取引は、先物取引に係る雑所得等として他の所得と分離課税され、一律20.315%課税されます。FX取引にかかる取引履歴を自分で確認して確定申告をしなければなりません。

ただ、FX取引を頻繁に行う方は、取引の利益を取引業者からダウンロードまたは印刷して確認し計算して確定申告するのは、大変手間となります。

さらに、会社員の方であれば翌年に送付される住民税決定通知書でFX取引にかかる利益が会社に判明したり、扶養に入っている方や低所得の方だと社会保険料が跳ね上がることがあります。

一方、株式取引では特定口座(源泉徴収あり)といって、証券会社が損益を計算し、利益が出ればその場で税金を差し引き、(同じ証券会社での取引なら)損を出せば税金が還付されます。他の証券会社と損益通算したり、損失を繰越控除する場合を除き確定申告も不要です。

株式のように特定口座(源泉徴収あり)で確定申告不要を選択すると、社会保険料の支払額を決めるための総所得金額に株式利益が算入されません。また、税金関係もそこで終了するため、住民税決定通知書にも確定申告しない限り掲載されません。

そういったFX取引の確定申告の煩雑さ、社会保険料の増加等から特定口座での取引可能にしてほしいという要望があります。

FXの特定口座での取扱は見送り

税制改正の大綱が閣議決定されるまでに、各省庁が税制改正の要望を挙げ、与党の税制調査会が中心となり税制改正の方針をまとめます。税制改正が閣議決定されれば、国会で審議され4月には新しい税制となるのです。

FXの税制上の問題点である特定口座に入れることができないという点について、日本証券業協会でも税制改正に関する要望を行なっており、令和2年度税制改正に関する要望でもFX取引の特定口座について要望しています。

しかし、特定口座に入ってしまうと極端に言ってFXで1,000万円の収入があってもその他の所得が無収入であれば社会保険料が低所得者と同じにできてしまうこと、給与所得者の扶養に入れること等から見送りになっているかもしれません。

特定口座に金融商品の課税が一本化されれば課税関係が分かりやすくなること、損失繰越控除等確定申告する必要がある場合を除き確定申告義務がなくなること等投資家にとってはメリットが大きいでしょう。

(参考)
令和元年12月20日 閣議決定 令和2年度税制改正の大綱
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2020/20191220taikou.pdf

令和元年9月 日本証券業協会 令和2年度税制改正に関する要望
http://www.jsda.or.jp/about/teigen/zeisei/files/1909_zeisei.pdf

◎本記事はFXへの投資を勧めるものではありません。
◎FXでの売買はリスクを理解の上、自己責任でお願いします。

文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。

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