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ついにヴィーガン商品まで登場!もはや国民的みやげとなった「東京ばな奈」が愛され続ける秘密

2020.03.25

訪日外国人観光客が増加する中、ヴィーガンの人達にも日本の食文化を楽しんでもらえるよう、東日本旅客鉄道株式会社は先月から「Plant Based(プラントベース)」プロジェクトを開始した。

プロジェクト第1弾として、東京土産を代表する製菓メーカー3社と連携し、植物性由来の原材料だけで作ったお菓子を、日本の玄関口である東京駅限定で発売している。

第一弾に参加する製菓メーカーは、「東京カンパネラ」「Boule de Rouge」そして「東京ばな奈」の3社。

かの有名な「東京ばな奈」の期間限定・店舗限定のレアなヴィーガンスイーツが欲しくて、朝9時に店舗に向かったところ、なんと「完売御礼」の札が。

お店の方に伺ったところ、開店前の8時から行列ができ、開店と同時に完売してしまったとのこと。

ヴィーガンの方や外国人の方がお土産用に購入しているのかと思いきや、ヴィーガンでない日本人のお客様が買っていかれたそう。

翌日再度オープン前に行ったところ確かに並んでいるのは日本人のみ。

そして、このプロジェクトに参加している製菓メーカーは3社だが、完売しているのは「東京ばな奈」だけ。他の2社のヴィーガン商品はまだある。

つまり、人々は「ヴィーガン」に魅力を感じているのではなく、「東京ばな奈の限定品」に魅力を感じているのだ。

東京ばな奈のブランド力を再認識した瞬間であった。

これほどまでに人々の人気を惹きつける東京ばな奈の理由は何なのだろうか?

1.老若男女に愛される食べ物「バナナ」をモチーフに

お土産と言えば「その地方ならではの特産物を使ったもの」が定番だが、敢えて「バナナ」をモチーフにした土産を作った東京ばな奈。

Photo: https://www.tokyobanana.jp/

その理由は、「誰にとっても親しみやすい食材」だから。

今でこそ東京駅には様々なスイーツが並んでいるが、東京ばな奈が誕生した1991年は、東京土産と言えば「雷おこし」や「芋ようかん」など昔ながらのご当地名物しかなかった。

しかし、これらのお菓子はシニア層向け。家で帰りを待つ子供や会社の若い層に渡すものとしては、やや地味である。

このような状況で登場したのが、誰もが食べたことがある果物の定番「バナナ」である。シニア層にとっては「高級フルーツ」そして、若者にとっては「慣れ親しんだおやつ」であるバナナ。

全国のスーパーで手に入る、あり触れた食材。しかし、敢えてそれをモチーフにしたことで、誰からも愛される「東京土産」のポジションを確立することができたのである。

2.地名を名前に入れた、覚えやすいネーミング

「東京土産である」ということを分かりやすく表す地名。

そして、誰もが馴染みのある定番果物「バナナ」を平仮名に、そして可愛らしい女の子をイメージにさせるたね「奈」という文字を使用。

こうすることで、単なる「東京バナナ」ではなく、識別しやすい「東京ばな奈」となり、さらに商標登録も取得可能となったのである。

ちなみに、東京ばな奈がイメージしているのは「元気でオシャレな東京ガール」。パッケージに描かれた東京ばな奈がリボンをつけているのもこのため。

「東京」というエリア名を付けることで、どこに行ったかが一目瞭然となるため、お土産としては買いやすい。

新幹線が出発するまでの僅かな時間。東京駅で「お土産何買おう?」となった時に、「東京に行ったことが分かる」そして「可愛いパッケージ」の東京ばな奈は、「とりあえずこれを買っておけば間違いない」と思わせる安心感を与えてくれる。

3.東京でしか手に入らない限定商品の販売

昔は東京でしか購入できなかった東京ばな奈だが、今は地方空港やサービスエリア、さらには一部商品はオンラインでも購入できるようになった。

大阪名物「551の豚まん」のように「関西でしか購入できないし、オンライン販売も行わない」という徹底して購入場所を制限することはなくなった。

しかし、今回の東京駅限定の「ヴィーガン東京ばな奈」や「シュガーバターとのコラボ商品」のように、常に「東京限定商品」を発売させることで、「東京でしか手に入らない」というレア感を創り出している。

一部の商品は、オンラインショップや地方空港など東京以外でも販売しつつ、「東京限定」の商品を常時販売することで「東京土産」というポジションを守り続けている。

4.熱烈なファンを生み出す商品企画

東京ばな奈のホームページを見ると、ラッコ柄やハート柄など、可愛い絵柄が焼きこまれた多くの種類の商品が並んでいる。その数約20種類。

東京駅を歩いてみても店舗ごとに置かれているスイーツの種類が異なり、どこでどの商品を購入しようか悩んでしまう。

4月はサクラ模様など、売場に行くたびに新商品が登場しており、消費者を飽きさせることがない。

シーズンに応じて味のバリエーションやパッケージデザインを変えるという地方土産は八つ橋などでも見られる。しかし、東京ばな奈は定番のスポンジケーキ以外にも、チーズケーキやレーズンサンドなど、スイーツの種類自体を変えているのである。

他社とのコラボレーションも頻繁に行っており、ディズニーとコラボレーションした「パンケーキサンド」も登場している。

期間限定の東京ばな奈をお土産にもらった人が「あ、こんな商品もあったんだ」と興味を持ち、次の期間限定商品を購入する。それを何度か繰り返すうちに今回のヴィーガン東京ばな奈のように「新商品が出たらとりあえず購入する」というファンが生まれているのではないだろうか。

マーケティング理論では語れない魅力を持つ国民的東京土産

マーケティングの教科書には、「ターゲットを明確にしていない商品は良くない」「老若男女全ての人に受け入れられようとする商品は、誰にも受け入れられない」と書かれている。

しかし、年間売上高は40億円を超え、常に完売商品が登場する大ヒット商品となっている「東京ばな奈」

「マーケティング理論だけで語ることはできない」ということを体感させてくれる商品である。

文/小松佐保(Foody Style代表)

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