昨年好評だった8倍望遠レンズをパワーアップした「12倍 超望遠レンズ」がDIME 5月号の付録になった。前モデルはレンズの一部がアクリル製だったが、今回は光学性能を上げるために5枚構成のレンズ全てをガラス製にしている。一般的なスマホに装着すれば336mm相当の望遠レンズに、望遠レンズが使える『iPhone 11 Pro/11 Pro Max』なら520mm相当の超望遠撮影ができる。手持ちで520mmが撮れるのか。ピント合わせ難しいのか、などを検証した。
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※電子版には付録はつきません。
どのレンズに付けるかで撮れる大きさが変わる
「12倍 超望遠レンズ」を箱から出したら、まず付属品を確認しよう。フロントレンズキャップ、リアレンズキャップ、レンズ固定用のクリップ、そしてクリーニングクロス。通常のレンズコンバーターなら本体をクリップにねじ込んで挟むのだが、本機の場合、画面の欠損や歪みを最小に抑えるため、まずクリップをスマホのレンズが中心に来るように挟み込んでから、超望遠レンズをねじ込む。
やってみるとiPhone 11のレンズ口径にピッタリのサイズだった。複数のレンズがあるスマホの場合は、倍率を稼ぐために望遠レンズに取り付けるのが望ましい。『iPhone 11 Pro』なら上が広角レンズ、下が望遠レンズなので、上に付ければ312mm、下に付ければ520mmになる計算だ。しかし、ここに問題が隠されていた。iPhoneのカメラ機能は様々な撮影条件を加味して複数のレンズからの情報を得ながら、レンズを切り替えている。下のレンズにコンバーターを装着すると、望遠レンズが認識できないと判断して、自動的に広角レンズを使うことがある。この状態では「12倍 望遠レンズ」は使えない。標準のカメラアプリを使う人は、クリップを上に付け方が確実に撮影できる。
望遠レンズを使うには、iPhoneのレンズを強制的に切り替える機能があるカメラアプリを利用する。私が手持ちのアプリで検証したところ『OneCam』という有料カメラアプリで上手く撮影できた。このアプリにも弱点があってiPhoneの超広角レンズへの切替ができない。120円なので望遠専用アプリと割り切って導入しても損はないだろう。
前後のレンズキャップと固定用クリップ、クリーニングクロスが付属する
『iPhone 11 Pro』の場合、望遠レンズで使うには別のカメラアプリが必要だった
12倍 超望遠は予想以上に高画質だった
『iPhone 11 Pro』のカメラは1200万画素、6枚構成レンズ、光学手ブレ補正を搭載している。画質はかなりいいのだが、ここに12倍レンズをかませて違和感はないだろうか。レンズ装着時の最短撮影距離は約2mと一眼レフの最新超望遠レンズ並みに短い。とは言えスマホ単体に比較すると遠くなる。まず、近くのモノにはピントが合わない事を覚えて欲しい。
さらにマニュアルフォーカスなので自分でピント合わせが必要。これを怠るとピンボケ写真になってしまう。レンズ先端の青いリングに挟まれた部分を回転させるとピントが合う。明るさは自動調整されるが、手動で補正したい場合は、従来通り、画面をタップして黄色い枠が表示されたら、太陽のアイコンを上下させれば調整できる。画面が揺れるてピント合わせが難しいため、何かを利用してカメラを固定するのが望ましい。またブレやすいので連写機能を使うのも有効である。
画質に関しては、中心部がシャープだが周囲は流れる傾向があり、取りたいモノをしっかりセンターに持ってくる必要がある。また被写界深度が極端に浅いので、ピントが合う範囲が狭く、前後にあるものはボケると思った方がいいだろう。シャッター速度が遅くなるとブレてしまうので、ISO感度を手動で設定できるカメラアプリやスマホは高めにしておくといいのだが、上げすぎると画面がザラザラしてくる。作例はノートリミングでリサイズしてあり、実際の解像度はもっと高い事をお伝えしておきたい。
iPhoneの広角レンズで撮影したアオサギ。画面中央の白っぽいのがアオサギだ
『iPhone 11 Pro』26mm相当 1/1900sec F1.8 ISO32
12倍にするとネーミングの由来である頭が青いことが分かる
『iPhone 11 Pro』312mm相当 1/120sec F1.8 ISO40
望遠レンズで12倍にすると520mmとなり野鳥カメラマンにも負けない
『iPhone 11 Pro』312mm相当 1/640sec F2 ISO20
池にいたキンクロハジロ。1/100秒での撮影だったがブレていない
『iPhone 11 Pro』312mm相当 1/100sec F1.8 ISO125
川でサギを発見。ここからカメラアプリOneCamを使って撮影する
広角からの12倍 超望遠撮影で逆光の中からサギが浮かび上がった
望遠からの12倍 超望遠撮影では、さらに羽根の細部まで描写された
公園から見える鉄塔を超広角で撮影
『iPhone 11 Pro』13mm相当 1/690sec F2.4 ISO20
広角レンズにすると鉄塔の上にある電線と碍子が見えてきた
『iPhone 11 Pro』26mm相当 1/1700sec F1.8 ISO32
望遠と言っても50mmなので肉眼で見るのと大きさは変わらない
『iPhone 11 Pro』52mm相当 1/1050sec F2 ISO20
ここから12倍 超望遠にすると肉眼では見えなかった細部が撮れる
邪魔な背景がボカせるので人が多い公園でも花だけを主役に撮れる