『Apple Pencil』や『Smart Keyboard』が全ベーシックに対応し、さらにPCに近づいた現行の『iPad』。各ジャンルのプロも仕事用ツールとして活用する。仕事を効率化する使い方を3組の達人に聞いてみた。
漫画家 ×『iPad Pro』
「すき間時間にアイデアを描けるので鮮度が落ちません」
今話題のコミック『ヒマチの嬢王』の作者である茅原クレセさんは、連載開始から半年がたった1年前から『iPad Pro 12.9インチ』を仕事で活用している。
「主に使うのはプロット(脚本)とネーム(絵コンテ)です。『iPad』にペイントツール『クリップスタジオ ペイント』が入っているので、コマの移動やキャラクターの縮小・拡大が簡単にでき、紙を使っていた時と比べ、修正がとってもラクになりました」
編集者との打ち合わせには『iPad』と『iPhone』が必須。
「打ち合わせから時間がたつと鮮度が落ちてしまうので、編集部でそのまま『iPad』にプロットを書き、煮詰まったら『iPhone』にデータを送り、町に出て気分転換をしながら書くことも。移動の間にいいアイデアが思い浮かぶことが多く『iPad』はアイデアを次々に送り込むのに最適です。鮮度のあるうちに作品へ生かせます」
現在、清書にPCとペンタブレットを使っているが、いずれ仕上げまで『iPad』で進めたいという。
「実家に帰った時に『iPad』だけで仕上げたページもあります。だから、やれないことはないと思います。『iPad』は、どこでも描ける安心感から、余裕を持って仕事をできるのが何よりうれしいですね」
漫画家 茅原クレセさん
2018年、鳥取県米子市の歓楽街・朝日町を舞台とした『ヒマチの嬢王』でデビュー。鳥取県出身で、地元のサイン会には鳥取県知事が応援に駆けつけた。
『ヒマチの嬢王』
漫画アプリ「マンガワン」で連載中。キャバクラを経営する主人公のマネージメント術が中間管理職にも支持される。単行本1~4巻が絶賛発売中!!
【こんなふうに仕事で使ってます!】
街のスケッチも作品に反映!
電車などで遭遇した女性を『Apple Pencil』でこっそりスケッチ。描写した服装や持ち物が、作品の中に使われることも。
プロットチェックもマッハ
プロップやネームは編集者とドロップボックスで共有し確認時間を短縮化。浮いた時間は清書に費やす。
ネームには12.9インチが◎
縦にすると原稿用紙とほぼ同サイズ。アプリを使えば拡大・縮小も自由自在にできる。
PCを使ってネームを清書
『iPad』からPCに最終のネームを送信。下敷きにして、PCとペンタブレットで仕上げていく。
取材・文/安藤政弘 撮影/羽田 洋