宇宙生活において、食事は単なる栄養補給に留まらず、宇宙飛行士にとっては娯楽の一つとしてストレス緩和の側面を持つ。そのため、基本支給される宇宙食の他に、各国の宇宙飛行士に合わせたその国ならではの宇宙食の開発が進められてきた。これが日本の場合、JAXAが認証する「宇宙日本食」となる。
「やきとり缶詰」が宇宙へ…!!
ホテイフーズコーポレーションのおつまみやおかずとして食卓でおなじみの「やきとり缶詰」が宇宙食になったことはご存知だろうか。
「やきとり缶詰」は、市販品が基本条件をクリアしているだけでなく、製造工程、特に衛生管理面もJAXA基準を満たしており、申請から2年7ヶ月で認証取得にいたった。
やきとり缶詰の場合、宇宙日本食と市販品の違いは基本的にデザインが施されているか無地缶かということだけであり、地上で普段食べているものと同じクオリティのものを宇宙空間で食べることができる、ということだ。言いかえれば、普段何気なく食べているやきとり缶詰が実は宇宙食レベルで管理されている安心安全な食品ということになる。
市販品が「宇宙日本食」の認証取得は稀有
宇宙日本食は「宇宙空間で飛び散らない」「常温で1年半以上の賞味期限」「限られた設備で調理可能」といった基本条件の他、「宇宙日本食認証基準」を満たすべく、書類審査や1年半の保存試験、JAXA立会いの工場検査など厳しい条件を乗り越えなければならない。そのため、これまで認証された宇宙日本食の多くは宇宙専用商品であったり、市販品の仕様や製造工程、包材などを宇宙用にカスタマイズしている。
構成/ino