自作でデスクトップPCを作るときには、CPUの選択に悩むことが多い。性能重視、価格重視、バランス重視の視点もさることながら、CPUを決めればソケットが決まり、自動的にマザーボードの選択肢も絞られてくるからだ。組み立てPCの世界におけるCPUは、数年前のインテル一強体制を、AMDが崩す勢いで力を着けてきている。両社の特徴あるCPUラインナップから、用途別のおすすめCPUを紹介していこう。
【目次】
性能と価格が高次元でバランス!コスパの高いCPUはこれ!
コストパフォーマンスで比較すると、どうしても価格が高めなインテルのマルチコアCPUは不利になってしまう。PCの組み立て時にコスパを重視するなら、昔からインテル互換で有名なAMDの提供するRyzenシリーズがおすすめだ。低価格ながら、インテルのCore i7、i9に迫る性能が嬉しい。
AMD Ryzen 5 3600
PassMarkスコアは20,000。動作クロックは3.6GHz〜4.2GHz、6コア、12スレッド、TDP (Thermal Design Power:熱設計電力) 65Wの高性能CPUだ。本CPUより価格の高いCore i5 9600K(6コア、6スレッド、TDP 95W)と比較しても、約1.5倍の性能をたたき出す。
出典 公式サイト|AMD Ryzen 5 3600
AMD Ryzen 7 3700X
PassMarkスコアは23,800で価格は4万円台と、Ryzenシリーズの中でも中価格帯となるが、6万円台のCore i9 9900Kを上回るマルチスレッド性能を持つCPUだ。
動作クロックは3.6GHz〜4.4GHz、8コア16スレッドだがTDPは65Wと、とても優秀。通常インテルには付属していないCPUクーラーが、AMDのRyzenシリーズには付属しているので、本当にお買い得だ。
出典 公式サイト|AMD Ryzen 7 3700X
Intel Core i5 9400F
PassMarkスコアは12,050。動作クロックは2.9GHz〜4.1GHz、6コア6スレッド、TDPは65Wだが価格は2万円を割るコスパの高いモデル。以前、コスパが高いと評判だったCore i5 8400の仕様変更モデルになるが、Ryzen 5 3600と比較すると見劣りすることは否めない。
出典 公式サイト|Intel Core i5 9400F
Intel Core i7 9700F
Core i7でありながら内蔵GPUを無効にしたり動作クロックを低下させるなど、パフォーマンスを抑えてコストを重視したモデル。PassMarkスコアは15,800と平凡だが、動作クロックは3.0GHz〜4.7GHz、8コア8スレッドでTDPを65Wに抑えている。価格は4万円弱ながらゲーミング性能ではCore i9に迫る。
出典 公式サイト|Intel Core i7 9700F
性能比較で判断!高性能CPUのおすすめ!
高性能として知られるCPUにはインテルのXeonがあるが、個人の組み立てPC用にはあまり使われない。価格やTDPを気にしないのなら、Core i9、Ryzen 9がおすすめだ。
AMD Ryzen 9 3950X
PassMarkスコアは36,100。動作クロックは3.5GHz〜4.7GHz、16コア、32スレッド、TDP 105WのハイエンドCPU。国内正規代理店が販売する価格は9万円台後半と、こちらもハイエンド。クーラーは付属せず、液体冷却システムとの組み合わせを前提としている究極のゲーム向けCPUだ。
出典 公式サイト|AMD Ryzen 9 3950X
AMD Ryzen 7 3800X
PassMarkスコアは25,000。動作クロックは3.9GHz〜4.5GHz、8コア、16スレッドでTDP 105Wだ。価格は5万円弱だが、この価格でもインテルのCore i9には十分対抗できる性能を持つ。このモデルにはCPUクーラーも付属しているので、冷却システムにお金をかける必要はない。高性能なGPUと組み合わせてゲームを楽しみたいモデルだ。
出典 公式サイト|AMD Ryzen 7 3800X
Intel Core i9 9900K
PassMarkスコアは20,200。動作クロックは3.6GHz〜5.0GHz、8コア、16スレッド、TDPは95Wと高クロックでパフォーマンスを上げているモデルだ。以前あったCore i9 9900KS(TDP 127W)と比べるとTDPを32Wも低減させており、製造プロセスを変え、省エネ性能を高めたモデルとなっている。
出典 公式サイト|Intel Core i9 9900K
Intel Core i9 10940X
高性能CPU紹介の最後に、インテルが新しく10900番台として発表したCore i9のXシリーズCPUを紹介しておこう。PassMarkスコアは29,150。動作クロックは3.3GHz〜4.6GHz、14コア、28スレッド、TDPは165Wとなっている。
まだ市場には十分に出回っておらず、日本正規流通品でありながらアマゾンでの価格は10万円台と高額だ。在庫が十分に確保されるようになれば価格もこなれてくるだろうが、今後のメインとなってくるハイエンドCPUなので注目しておきたい。
出典 公式サイト|Intel Core i9 10940X
デスクトップを自作するならこのCPUがおすすめ!
ゲーム専用のデスクトップPCを組み立てるならまだしも、オフィススイートを使ったり画像編集をしたりするくらいなら、そこそこの性能でもまったく問題ない。また、消費電力が低いこともあり、ノートパソコンなどにも採用されることも多い。ハイエンドとは対極にある、コスト重視のCPUを紹介しよう。
AMD Athlon 200GE
PassMarkスコアは4,958。動作クロックは3.2GHz固定で、2コア、4スレッド、TDP 35WのローエンドCPU。Athlonのシリーズはどれも1万円を切る価格で販売されており、格安、静音、低消費電力のPCを作るにはもってこいだ。また、この価格で、GPU(RX Vega Graphics)が内蔵されていることも嬉しい。
出典 公式サイト|AMD Athlon 200GE
INTEL Pentium Gold G5400
オールドPC自作ファンには、Pentiumの名前は懐かしいだろう。PassMarkスコアは5,200。動作クロックは3.7GHz固定、2コア4スレッド、TDP 58WのCPUだ。こちらもこの価格でUHD Graphics 610搭載と、コスパがすこぶる高い。Core i3とのチョイスに迷いそうだが、GPUの外付けにこだわらないならこちらがおすすめだ。
出典 公式サイト|INTEL Pentium Gold G5400
Intel Core i3 9100F
さすがにもう少し世代が進んでいてくれないと将来が不安という方にはCore i3 9100Fをおすすめする。PassMarkスコアは8,895。動作クロックは3.6GHz〜4.2GHz、4コア4スレッドとハイパースレッディング・テクノロジーには対応していないが、1万円を切る価格で販売されていることも多い格安Core iCPUだ。
出典 公式サイト|Intel Core i3 9100F
AMD Ryzen 3 3200G
AMDのRyzenシリーズからも格安CPUを紹介しておこう。Ryzen 3 3200G のPassMarkスコアは7,788、動作クロックは3.6GHz〜3.9GHz、4コア4スレッド、TDPは65Wとなっている。このCPUにもGPU(RX Vega Graphics)が搭載されており、低価格でも一定の性能レベルが保たれた優秀なCPUだ。
出典 公式サイト|AMD Ryzen 3 3200G
※当記事に掲載している価格等の商品情報は、記事公開時のものとなります。
文/ねこリセット