ついに開業した相鉄・JR直通線。斬新な新型車両が渋谷、新宿に現われ、人々を驚かせている。駅舎や制服、車両のリニューアルから始まった「新・相鉄劇場」は、首都圏の通勤事情を大きく変える次のステージに入った。
横浜エリアの大手私鉄が悲願の都心直通を実現
「何あれ! 新しい特急電車?」
最近、新宿駅や渋谷駅で、ちょっとした異変が起きている。湘南新宿ライン、埼京線のホームで、電車を写真に撮る人が増えているのだ。それも鉄道ファンではなく、カップルや親子連れなどが多い。
彼らがスマホを向けているのは、相模鉄道、通称相鉄(そうてつ)の新型車両12000系だ。深みのあるブルーの車体で、まるで生き物のような顔をした電車が、大きなインパクトを与えている。昨年11月30日の相鉄・JR直通線開業によって、初めて都内に乗り入れを果たした相鉄のシンボル的存在だ。
相鉄は、横浜市南西部と海老名市、大和市などを走る私鉄。東急や近鉄などと同じ大手私鉄のひとつだが、路線延長が短いうえに、長年他社との相互直通運転を行なわず、「横浜エリアに密着した私鉄」だった。神奈川県に縁のある人でなければ、横浜とどこを結ぶ電車なのか、はっきりと覚えていない人も多い。その相鉄が西谷駅から分岐して、新たに開業した羽沢横浜国大駅でJRの東海道貨物線に接続。湘南新宿ラインのルートを通って、悲願ともいわれた都心乗り入れを果たした。これは、首都圏の通勤事情に大きな変革をもたらす第一歩だ。
相鉄・JR直通線とは
2009年に着工した路線で、西谷駅から羽沢横浜国大駅を経て東海道貨物線との接続部まで2.7kmを新設、相鉄とJRとの相互直通運転を行なう。
新設された羽沢横浜国大駅。JR横浜羽沢貨物駅に隣接し、駅周辺は今後、都市開発の計画がある。
昨年11月30日の早朝5時に海老名駅で行なわれた出発式。相模鉄道キャラクターの〝そうにゃん〟も登場した。