どんな体型でも裾直しの必要なし!64サイズから選べるLevi'sのZOZOTOWN限定〝マルチサイズ〟デニムの履き心地
2020.03.07■連載/阿部純子のトレンド探検隊
ZOZOSUITで得た100万件以上の体型データを基に生まれた「マルチサイズ」
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」が構築した独自のサイズシステム「マルチサイズ」を「Levi’s(リーバイス)」のジーンズ2型に適用した、ZOZOTOWN限定「マルチサイズ」デニムが、2月21日よりZOZOTOWNで販売を開始した。メンズ36サイズ、ウィメンズ28サイズの計64サイズで、サイズ展開はリーバイス史上最多となる。
「身長」と「体重」を選択するだけで、簡単に自分の最適サイズのアイテムが手に入る「マルチサイズ」は、計測用スーツ「ZOZOSUIT」(現在は販売終了)で得た100万件以上の体型ビッグデータから、身長、体重に見合った最適なサイズ感をアルゴリズムで設定する。
ブランドやアイテムごとに細かくサイズをチェックしなければならない従来のS・M・Lとは異なり、各アイテムに応じて20~50のサイズ展開を行っており、既存のS・M・Lに捉われない幅広いサイズのニーズに応える。背が低い、長身といったイレギュラーなサイズでも、試着や直しの必要がなく、本来のデザインを損なうことなく着用できるのも大きなメリットだ。
トップス、ボトムスと各カテゴリーがあり、特に需要が高いのは、男性はパンツ類、女性はスカート、ワンピース。丈の長いスカートや、裾上げのできないリブパンツも体型にあった長さで提供するため、小柄な人でもマルチサイズなら選ぶことができるようになった。
ZOZOTOWNのサイトでMSのマークがついている商品から、身長は1㎝、体重は1kg刻みでサイズを選ぶとベストなサイズを表示する。ゆったり着たい場合や、長めで着たい場合は前後のサイズを選ぶことも可能。
初回のマルチサイズ購入ではデータを入れる必要があるが、一度購入すると「MSナンバー」(下記画像)が発行され、2回目以降は自動で自分サイズ推奨のページに行く。体重変化したときは再度入れ直すこともできる。
マルチサイズは100万件以上の体型情報をブランドと共有して、ブランド側からマルチサイズに合った商品を提供してもらう協業でのものづくりをしており、現在、マルチサイズのブランド数はリーバイス含めて全18ブランド。今後はさらにブランド、アイテム展開を拡大する予定だという。
リーバイスの2型を「マルチサイズ」化して、誰にでもぴったりのデニムを実現
マルチサイズのリーバイスとの協業について、ZOZO商品開発本部の外村亘さんに経緯を伺った。
「お客様へのアンケートで圧倒的に多いのは、デニムを中心としたパンツ類のサイズへのニーズ。デニムは誰もが持っている汎用性の高いアイテムで、世界的なデニムブランドとしてリーバイスを選んだ。今回のようなサイズを広げる展開は本国でもほとんどないということで、サイズのビッグデータをアイテムにどう落とし込むかに苦労した。
ZOZOがシミュレーションではなく実際に測定された体型ビッグデータを提供、検証を重ねることで、長年築き上げたリーバイスの製造技術とZOZOが持つ体型ビッグデータを掛け合わせた、マルチサイズのプロジェクトが実現した」(外村さん)
今回発売されたのは、メンズ「512 SLIM TAPER FIT」(ブラック/ダークインディゴブルー/ワンウォッシュ)、ウィメンズ「DAD JEAN」(ダークインディゴブルー/ライトインディゴブルー/ワンウォッシュ)の2型で、価格は各7150円(税込)。
メンズで採用したスリムテーパードシルエットは、「ZOZO」プライベートブランドのデニムにおいて、ZOZOTOWN内でのアパレル年間販売数ランキング1位(※2019年時点)、約21.7万本を販売した人気のシルエット。ウィメンズはZOZOTOWN内のリーバイス店で販売実績のある定番のワイドシルエットを採用した。カラーはZOZOTOWN限定。
「スリムテーパードは丈直しで裾を切るとシルエットが崩れたり、膝の位置がずれてしまう。また、ワイドシルエットは丈が合わないとクッションができ、見た目がだらしなく見えて、裾のデザインが損なわれてしまう。
マルチサイズの特長でもある、丈にこだわったサイズ設計を行い、最適なサイズ設定とパターン生成により、アイテム本来のデザインを生かす、裾上げの必要がないビジネスモデルを構築することができた」(外村さん)
身長の異なる3名にマルチサイズデニムを試着していただいた。「512 SLIM TAPER FIT」のワンウォッシュを着用した男性は左から169cm、176cm、182cm。「DAD JEAN」のライトインディゴブルーを着用した女性は左から150cm、158cm、170cm。
男性のスリムテーパードは、身長に対して丈がぴったりなので、きれいなシルエットを維持できて足が長く見える。また、女性が着用しているライトインディゴブルーのような薄い色の場合、裾上げしないので裾のダメージ加工が担保されるのもデザイン的に大きなポイントだ。
「リーバイスだけでなく、マルチサイズを展開しているブランドすべてに言えるが、ブランドが理想としているシルエットをさまざまな体型の方に着ていただけるというのが、一番の特長だと思う。
マルチサイズはいわばサイズのない世界。アイテムごとに寸法を確認して選ぶのではなく、統計を基にしたアルゴリズムによって自分に推奨されるひとつのサイズが振り分けられる。自分に合うサイズがひとつになり、サイズのビッグデータや購買データが集まると、各ブランドが需要予測をしやすくなり、需要と供給のバランスがマッチして、適正な量を作って適正な価格で販売できる。マルチサイズでそんな世界が実現できればという想いがあり、ECサイトだけでなく店頭の商品もマルチサイズの規格が広がってほしいと願っている」(外村さん)
【AJの読み】ずぼらな人でも簡単にジャストサイズが見つかる
ECサイトでの最大のハードルは試着ができないということ。サイズ表示による着丈、身幅、袖丈などから推測して買うしかないのだが、着てみると思ったよりもタイトだったり、逆に緩すぎたり、実際に着てみると思っていたシルエットと異なることもあり、返品は一度や二度ではない。
そうした悩みや不安を解消するために作られたのが、個別の体型に合わせたZOZOSUITによるオリジナル商品。専用のスーツで詳細に計測するもので、Tシャツだけでも1000サイズ以上というほどの驚きのサイズ展開だったが、計測が面倒だったり、きちんと計測されていないと誤差が出るなど煩雑な面もあった。
ZOZOSUITから得られたデータを基に、誰でも簡単に自分に合ったサイズを選べるように開発されたのがマルチサイズ。身長、体重の入力という簡単な選択肢なので、多忙や子育て中で実店舗に行けない人や、自分のサイズを把握していない人などから幅広く支持を得ている。また、既存のサイズでは理想的なシルエットで着られるものがないと悩んでいる人にも対応できるというのも大きなメリット。さらにレギュラーサイズでも着丈や身幅にゆとりを持たせたいといったカスタムニーズにも応える。
中年太りの自分には、デニム、パンツ類はウエストでサイズを合わせるとどうしても丈が長くなってしまう。丈がジャストサイズで本当にウエストが入るのか、実際にリーバイスの「マルチサイズ」で試してみた。
身長に合ったレングスはぴったりで申し分なかったが、残念ながらお腹周りがタイト気味だった(なんとか収まってはいるので、さらにすんなりと穿けるようにダイエットを敢行中)。身長と体重から選べるマルチサイズだが、体型によってはウエスト、お腹周りにきつさを感じることもあるので、表示されているウエスト、ヒップなどのサイズ数値もチェックした方が失敗はないだろう。
文/阿部 純子