最近、街中に「肩こり・腰痛改善」「保険診療可」などの看板を掲げる整骨院や鍼灸マッサージ店をよく見かけるようになった。
TDBによると、「整骨院」は国家資格の柔道整復師養成学校の規制緩和で資格所有者が急増し、店舗数が増加傾向にあるという。
また、厚生労働省によると、柔整師が手がける施術所(整骨院)は2018年末時点で約5万77カ所まで増加。10年間で約1.4倍に膨れ上がっている。
しかし、供給過多となった整骨院は同業との競合が厳しく、保険診療の不正請求に手を染めるケースが後を絶たないのだとか。
今回はTDBの「整骨院・療術・マッサージ業者の経営実態調査」を抜粋した。
店舗数増加で競合激化、倒産件数は2000年以降で最多
1.整骨院・療術・マッサージ業者2090社のうち、2016年度から2018年度まで3期連続で収入高が判明した1888社の2018年度の収入高合計は前年度比4.8%増の2038億4800万円。新規出店や高齢者増加が追い風となった。
2.業歴別では「10~30年未満」が946社(構成比45.3%)で最多。
3.従業員数別では「10人未満」が1702社(構成比81.4%)となり、小規模業者が全体の8割を占めている。一方「100人以上」は28社(構成比1.3%)にとどまった。
4.2019年(1月~10月)の倒産件数は78件発生しており、2000年以降で最多の2018年に迫るペースで推移している。負債1億円未満の小規模業者の倒産が目立つ。
5.近時では厚生労働省が保険審査を厳格化する動きが強まっており、整骨院業者の業績に影響を及ぼしかねない問題になっている。
すでに保険診療から骨格矯正やマタニティー整体、猫背矯正など自由診療のシェア拡大に注力する業者が増えるなか、今後は鍼灸マッサージやカイロプラクティック、リラクゼーション業者と競合となり、淘汰が加速する可能性がある。
構成/ino