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ビジネスパーソンのメンタルケアとして注目される「傾聴セラピー」を受けるメリット

2020.03.07

人に話すだけで、ホッと心が落ち着いた経験はないだろうか? そんな体験がセラピーとして受けられるサービスが今、存在する。それは「傾聴セラピー」というものだ。働きながら、何かと悩みを抱えがちなビジネスパーソンにとっての、メンタルケアの方法の一つとして有意義といえそうだ。

そこで今回は、傾聴セラピーを行う傾聴セラピストの則武優子さんに、傾聴セラピーの概要や効果、そして傾聴のプロとして「傾聴」のやり方のコツなどを聞いた。

「傾聴セラピー」とは何か?

則武さんによれば、傾聴セラピーとは次のようなものだという。

「相談者の話を丁寧に聴いて、ありのままの気持ちを受けとめること、共感することで、相談者の心がスッキリとして軽くなったり、ホッとして安心感を得られたり、気持ちを楽にしたりする、癒しを感じてもらえる話の聴き方のことです。

心のモヤモヤを一緒に取り除く、お掃除をしていくイメージに近いです。『一緒に』というのがポイントです。それは、病院の診察のような機械的な行為ではなくて、気持ちが安らげるという違いがあります。『カウンセリング』という言い方をしていないのも、基本的にはアドバイスは行わず、気持ちを楽にしていくことや、元気を取り戻してもらうという部分を重視しているからです」

傾聴セラピーでは特別に何かをするわけではない。「相談者が何かを話し、セラピストが聴く」という、とてもシンプルなものだ。

「相談者は、悩み相談をはじめ、何でも聴いてもらいたいことを話し、セラピストはできるだけ相談者の気持ちを理解し、寄り添いながら話を聴いていきます。

しっかりと相手の気持ちに共感できている場合には、相談者の心がスッキリと軽くなって楽になり、モヤモヤが少なくなって、前向きな思考を取り戻せるようになる場合が多いです。特別に何かアドバイスをしなくても、相談者が話をしながら『気づく』ということが多いのです。

そして『来て良かったです』『楽になりました、スッキリしました』『なんとなく整理できました、見えてきました』と相談者の方から言われることが、セラピーと命名している理由です」

傾聴セラピーを受けるメリットと効果

もし相談者の立場として、傾聴セラピーを受ける立場となった場合、どのようなメリットがあるだろうか?

●迷いが解消され自身の本心に気付ける

「昨今、悩み自体が複雑化してきている中で、特に30~40代は上の世代と下の世代に挟まれた中間管理職的な立ち位置で板挟みに合い、周囲の人たちが言う意見に左右され、『自分自身がどうしたいのか?』『何か好きで、何が嫌なのか?』などの、自身の価値観が揺らぐような場面に遭うことが、とても多いと思います。『一体何が正しくて、何が間違っているのか?』という二元論的思考に陥りやすいと思います。

実は、心を二元論的思考で処理をしようとすると、とても苦しいんです。気持ちは、常に揺れているからです。グラデーションみたいなイメージに近いものかもしれません。グレーでいたいのに、『白か黒か?』と迫られている状況は、心にとってはストレスに感じることも。それでもいざ、決断をしなければならなくなり、本来の自分の感情や意思を無視して行動した結果『こんなはずじゃなかった』と落ち込んだり、自分自身を責めてしまったりして悩みが積もっていく…。

すべての30~40代の方のお悩みがこれに限るわけではないですが『自分の求めているものが分からない』というところが根っこの部分で共通しているように感じています。そういった場合は、傾聴セラピーを行っている最中に感覚でわかるので、相談者に共感しながら、大切にしたいと思っている価値観や、気持ちを引き出す質問をして、『どうしたいのか?』を明確にしていく聴き方をします」

「この世代の方々が傾聴セラピーを受けていただく一番のメリットは『迷いが解消されて自身の本心に気付けること』ではないかな、と思います。セラピーを受けていただいたことによって、迷いが和らぎ、自分の選択に自信が持てるきっかけを得ていただけているのだと思っています」

傾聴セラピーを受けるのに向いている人は?

傾聴セラピーは、どんな人が受けるのに向いているだろうか?

「心療内科やカウンセリングに行くまではいってないけれど、苦しくて、どうにかしたいという方や、周りの人に相談しても何だか、しっくりこないという方に向いていると思っています。

すでに明確なお悩みを持って、ご相談に来ていただくことも多いですが、最近の些細な出来事や溜まっている不満を聴いてもらいたいというのでも大丈夫です。特に何も考えず、言いたいことを言える場所だと思ってもらえたらと思います。

傾聴セラピーは相談者の価値観を尊重して、そのまま受け止めていきますので『こんなことを言ったら変に思われるかな?』など、色々考えて心配してしまう方ほど、向いています。話をしたらスッキリした体感を得ていただけると思います」

傾聴セラピストとしての傾聴のコツは?

ちなみに、傾聴といえば、ビジネススキルの一つでもある。傾聴のプロとして、傾聴のコツを教えてもらった。

1.リラックスして心の余裕を持つ

「相手の話を丁寧に聴く、というのが傾聴なのですが、丁寧に話を聴くには自分自身に心の余裕がある状態が必要だと思います。なるべく自分自身がリラックスした状態が好ましいです」

2.余計な口は挟まない

「聴いている最中は余計な口を挟まないことを意識すること。相手が一定の区切りがつくまで、聴く姿勢を続けます。聴いている最中に、傾聴している側は、自分の中で、反論や提案などが浮かんできて言いたくなる瞬間がありますが、それは抑えます。

そして、一区切りついたタイミングで、相手が話していた内容と気持ちに寄り添っていきます。そのときに重要なのは、相手の気持ちをできるだけ同じように感じられるか、という部分です。共感力が高い方は、そのときに自分の中に『わかる』という感覚を持つと思います。そうなれば相手は『わかってもらえた』という気持ちになり、安心します。

傾聴という行為自体は、マニュアル通りに行うことはできても、心がともなっていなければ結果的に、相手の癒しにはつながらないのです。相手が落ち着いたり、楽になったりするのは『わかってもらえた』という癒しを感じられるからなのです」

3.アドバイスは行わない

「話を聴き終わっても、基本的にアドバイスは行いません。私は、起きた出来事や物事を良いとか悪いとか判断をする、つまり価値をつける行為は、個人個人で行っていることで、感じ方も人それぞれですし、みんな違っていると考えています。傾聴セラピーでアドバイスをしないのは、根本的に、すべては相談者の本来の力を信じているからなんです。

ただ、相談者からアドバイスを求められた場合には、私の感じた意見は伝えます。求められて行うアドバイスは相手の実になるものだと思っているからです。そうではないときに、こちらが勝手に伝えるアドバイスは、お節介になる場合があるため、行いません」

4.家族や恋人などの近しい人ほど傾聴はむずかしい

「傾聴は、例えば家族や恋人などの近しい人になればなるほど、行うのがむずかしい傾向にあります。それは距離感が近いことが理由です。距離が近いと、相手の言動が自分を悩ませたり、逆の場合も起きたりして、つながりが濃くなるほど、お互いに影響し合うからです。

そうなると、相手の出来事も自分事のように感じやすくなり、親切心でアドバイスをしたりする場面が起こりがちです。でも、それは本当の意味で親切とは言えないのです。『相手のために…』と言いつつ、目的が、『自分が物理的、または心理的に満足するため』になってしまうからです。そうなると、傾聴の成果が表れにくくなります。
その点、仕事関係の相手や、ある程度の距離感がある相手であれば、傾聴を意識して行うことで、傾聴の成果が表れやすくなり、徐々にコツがつかめてくると思います」

5.相手の言った言葉を大切に受け取る

「私が一番意識しているのは、相手の言った言葉を大切に受け取ることですね。『こんな風に思うんだな』『こう感じたんだね』としっかり受け取るということ。そして、その言葉に、それ以上もそれ以下も、自己価値をつけないようにしています。それがどんな人に対してもできるようになると、人との争いも減りますし、自分自身も善悪のとらわれがなくなる感じがあるので、楽になるんですよ。傾聴は、人間関係で悩んでいる方ほど、役に立つコミュニケーション方法だと思います」

悩みを聞いてほしい人にとっても、「傾聴」そのものに興味のある人にとっても、傾聴セラピーは興味深いセラピーといえそうだ。

【取材協力】
則武 優子さん
JAAHSE認定 傾聴セラピスト、JADP認定 産業心理カウンセラー、カラーセラピスト、エデュースアカデミー認定 ワイルドフラワーエッセンスセラピスト
大手企業の接客販売員を経て、結婚後に夫が躁うつ病との診断を受ける。夫のサポートをしながら心理学やカウンセリングを学び、カウンセラーに。その後、中小企業の相談員として勤務。コミュニケーションスキルに関する社団法人の理事として傾聴の大切さを伝えていく中、人と人がコミュニティを通して得られるポジティブなつながりの大切さに気づく。2019年、社団法人の相談役に就任。現在ではfredを立ち上げ、傾聴セラピーと傾聴について学べる勉強会などのワークショップを開催している。
https://fred-g.jp/free/keicho

取材・文/石原亜香利

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