近年、再開発が進む東京湾周辺は、東京2020大会を控え、さらにその進化に加速度が増している。そのような中、人々の住みたい街も変化してきているようだ。それがわかるのが、先日ライフルホームズから発表された「住みたい街ランキング」だ。
「買って住みたい街」1位は初のトップとなった「勝どき」、「借りて住みたい街」は4年連続、「池袋」となった。そこで今回は、注目を集めている「勝どき」の「買って住む」ことの魅力や現状を見ていこう。
首都圏「買って住みたい街」ランキングトップ10
不動産情報サイト「LIFULL HOME’S」を手掛けるLIFULL(ライフル)は、『LIFULL HOME’S』で住まいを探すユーザーの検索・問い合わせ数をベースに「2020年 首都圏版LIFULL HOME’S住みたい街ランキング」を発表した。
購入物件の順位である「買って住みたい街」のランキングトップ10を見ていこう。
ライフルホームズの解説によれば、1位の「勝どき」は、2019年は16位だったところ、今年は15位と大きくジャンプアップし、初のトップを獲得した結果となった。
また、東京2020大会開催の影響からか、5位に「東京」(前回138位)、16位に「渋谷」(同154位)が入るなど、本来住宅地とはいえないエリアの街が上位に登場している傾向もあるそうだ。
選手村が作られた晴海に、ほど近い勝どきは、近年、タワーマンションとオフィスビルが林立し、今、注目を集めている住宅地である。
再開発が進む「勝どき」の人気の背景
実際、勝どきが今、買って住みたい住宅地として人気を集めている背景には、具体的にどんなことがあるのか。勝どきエリアの再開発を担当している中央区地域整備課に聞いた。
「勝どき駅周辺は30~40代の一次取得者の方々に、多く選んでいただいています。最近の住宅選びの基準として、利便性の高さが重視されているそうですので、敷地にゆとりがあって、しっかりとした住宅地計画を立てられる再開発が実施されているエリアで、都心にこれ以上、近いところはないと思います。勝どきは、月島にも近く、銀座や築地も橋を渡ってすぐですので、そういった利便性の高さが1番、支持されている理由なのではないかと思います。
「勝どき」駅の交通事情
「勝どき」駅は、現在、都営地下鉄大江戸線のみの乗り入れとなっている。乗り換えなしで新宿駅まで25分弱、東京駅まで1回の乗り換えで20分弱で行ける。これだけでも十分利便性が高いが、1路線というのは少々物足りないようにも感じる。中央区地域整備課の担当者は、勝どき駅の交通面について次のように述べる。
「今は大江戸線のみですが、交通については大きな課題として取り組んでいます。将来的には、東京と臨海部とをつなぐ新線との乗り換え駅になっていく構想があります。銀座や東京に1本で行ける駅となるポテンシャルがあります」
2020年には、都心と臨海地域を結ぶ新しい交通システム「BRT(バス・ラピッド・トランジット/高速輸送システム)」が運行開始する予定もある。このBRTとはどういうものなのか。
「BRTは、バスと路面鉄道の中間のようなもので、新潟市や世界各国などですでに導入されている新しい交通手段です。都市部に柔軟に広げられる交通手段として一つの選択肢に挙がっており、オリンピックに合わせて開業する予定です。BRTは便利な足になる可能性があります」
東京都都市整備局の公式ページによると、東京2020大会前・期間中のプレ運行(一次)の運行ルートは「虎ノ門・新橋駅・勝どき・晴海二丁目」が予定されている。
●朝のラッシュは今後改善に向かう?
また、勝どき駅や駅周辺は現在、朝のラッシュが深刻だといわれているが、課題として取り組まれているという。
「現在、東京都と中央区は課題として取り組んでおり、バスの増便や、将来開通を予定している地下鉄、BRTなど、将来的にみなさんの期待に応えてまいります」
現在も、勝どき四丁目地区の再開発が進められており、周辺の月島、晴海、豊海エリアもこれから再開発が進み、さらにマンションも立ち上がって行く予定だそうだ。まだまだ変化していく勝どき周辺エリア。交通がさらに整っていくことで、住みやすい街になってくことを期待したい。
【調査出典】
「2020年 首都圏版LIFULL HOME’S 住みたい街ランキング」
https://www.homes.co.jp/cont/s_ranking/shutoken/
取材・文/石原亜香利