たった+900円で本革電動リクライニングシート! プレミアム車両
両先頭車の「プレミアム車両」は1+2のシート配置で最高のゆとりの空間を演出。視点が高くなるハイデッカー構造と大型の前面、側面ガラスにより迫力の前面展望も楽しめる。
これぞ「ひのとり」のファーストクラス! といえそうな、「プレミアム車両」
そんな中、やっぱり気になるのがシートだ。レギュラーシート同様のバックシェル構造で後方座席に気兼ねなくリクライニングできるのはもちろん、本革を使用した電動リクライニングシートを採用し、前後間隔は130cmと日本の鉄道において最大級の間隔を確保した。
実際に座ってみるとその座り心地の良さは言うまでもないが、それ以上に前の座席間隔の広さと大きな窓による開放感がハンパない! 1人席をリザーブすれば知らない隣客がやってくることもないし、前の乗客がどんなにリクライニングしても自分のスペースが減ってしまうこともない。
「追加料金払っているのに!」とちょっと不満を抱きがちなシーンをレギュラー車両同様にきちんと「ひのとり」はケアしてくれている。これぞまさに「くつろぎのアップグレード」だ。
そして気になるこちらの座席の料金だが、「ひのとり」プレミアム車両は何とたったの追加料金900円! 900円足すだけでこのプレミアム車両に2時間も乗車できるのだ。
その2時間でゆっくり休み、次の仕事に備えるもよし、大型テーブルにコンセント、FreeWi-Fiで移動中に仕事を片付けるのもよし。まとまった時間だからこそ休息も仕事もしっかりと集中することができる。これが度々近鉄特急で名阪間を移動する隠れたメリットだと実際に使用している筆者の感想だ。
車内で挽きたてのコーヒータイム&たばこで一服も
最近、縮小傾向にある車内販売。近鉄も一部の観光特急を除いて車内販売は行われていないが、「ひのとり」ではこれを自動販売機スタイルでアップグレードした。
今まで飲物の自販機の車載は珍しい存在ではなかったが、この「ひのとり」では通常の飲料自販機のほかに、なんとコーヒーサーバー(有料)を搭載。ちょうどコンビニのコーヒーサーバーと似たものが採用されており、香り高い挽きたてコーヒーが車内で楽しめる。
その横には軽食や鉄道グッズなどを販売する自販機も搭載している。このカフェスポットは両先頭車デッキにあるがプレミアム車両以外の乗客も利用OKだ!
プレミアム車両には有料のコーヒーサーバーとミニ自販機が。挽きたてのコーヒーが車内で楽しめる。ロッカーも完備。
近鉄は私鉄の中で最後まで座席でたばこが吸える喫煙車両があったが、愛煙家に惜しまれつつも先日ついに全席禁煙化に。「ひのとり」も全席禁煙だが3号車には喫煙室があるので、流れる車窓を眺めて挽きたてコーヒーとともに一服、なんて優雅な時間も過ごせる。
加えて2号車と5号車にはベンチスペースを設置。(8両編成は7号車にも設置)ちょっとした気分転換に最適だ。ちなみにこのベンチスペースとプレミアム車両、3号車のデッキ部には鍵のかかるロッカーが備えられており、大切な荷物をきちんと収納することができる。ロッカーキーは通常の鍵タイプのほかICカードがキーになるものも設置しており、あらゆる乗客にとって使いやすいサービスを提供しているところにも感動! トイレは温水洗浄便座、全客車には空気清浄機「ナノイー」まで完備でまさに究極のビジネス特急だ!
2、5号車(8両編成は7号車にもある)のベンチスペースとロッカー。カフェスポットなど自席以外に移動する機会が多い「ひのとり」には嬉しいロッカー。
「ひのとり」の乗り方は?
そんな「ひのとり」の乗車方法をおさらいしておこう。2020年3月14日にデビューする「ひのとり」は大阪難波〜近鉄名古屋の特急列車のうち一部の列車に充当される。平日、土休日ともに各6本ずつでダイヤはこちらで確認しよう。料金は大阪難波〜近鉄名古屋間でレギュラー車両利用の場合、運賃2410円に特急料金1930円と「ひのとり」を利用するためのひのとり特別車両料金200円を加えた4540円が利用料金となる。プレミアム車両は特別車両料金が900円となり5240円だ。
特急券は近鉄の駅のほかインターネット予約・発券サービスが利用できる。
近鉄はこのほかにも全席プレミアムシートで温かい食事やスイーツを楽しめるカフェ車両、個室などもある観光特急「しまかぜ」、大阪阿部野橋と吉野を結ぶ観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」といった、「上質な大人旅」をコンセプトにした魅力的な特急が運行中。春の観光シーズンは近鉄特急で出かけてみよう!
ホテルのようなラウン車両が自慢の観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」
取材・文/村上悠太