軽ワゴン×SUVという新ジャンルのコンセプトを提案し、大ヒット作となったスズキ・ハスラーの2代目となる新型が登場した。先代同様、基本部分は最新のハイト系ワゴンのワゴンR。空前のクロスオーバー&SUVブームということもあり、一段とアウトドア感、SUVテイストを強めた、よりアクティブかつ、ハスラーらしいファッショナブルなクロスオーバーを求めるユーザーに向けた新型となっている。
その進化は著しく、ホイールベースを35mm伸ばし、車高を15mm高め、ルーフを延長。さらにバックドアを立てるなど、スタイリング&パッケージは、先代より本格感あるSUVテイストの持ち主となった。
+35mmのホイールベースの延長は、そのまま後席膝周り空間に生かされ、実際、フラットフロア&スライド機構付きの後席の居住性は格段に向上している。
走破性にかかわる部分も、最低地上高をFF/4WDともに180mmに統一。アプローチアングルは+1度、デパーチャーアングルは+4度とし、より段差や雪道に強い機動力を身につけている。
しかも、ここで紹介するHYBRID Xに搭載されるNAエンジン、およびCVTまで新開発。2WD車はリヤサスペンションをITLからトーションビームに変更(4WDはITLのまま)。サスペンションストロークも10%UPさせているほどだ。さらにISG(モーター機能付発電機)を改良するなど、進化は極めて著しい。
そんな新型ハスラーのマイルドハイブリッド仕様(全車)となるNAエンジン、FFモデルの走行性能は、新しいエンジン、CVT、モーターアシストのおかげもあって、始めて走り出した際、ターボモデルかと錯覚したほどの出足のスムーズさ、トルク感、伸びやかな中間加速の持ち主だった。冷静に見ると、ターボエンジンにない、エンジンの回り初めに、ゴロゴロとした振動が見受けられたのが、ちょっと気になった部分。とはいえ、新型となって、概報のターボモデルと新NAエンジンの動力性能差は確実に縮まった印象だ。
しなやかで上質な乗り心地は感動ものである。新型はタイヤ、サスペンションともに一種類とし、開発に集中できる設定になっているのに加え、タイヤのショルダーをミリ単位で丸め、ゴムの厚みを増し、さらに開口部、リヤサスペンション回りにスズキ軽初の構造接着剤を用いることでボディ剛性を高めた結果、足がよく動くようになり、路面に影響されにくい、快適でしなやかな乗り心地が実現できたと考えられる。
特に段差を乗り越えるような場面では、衝撃、音、振動を一発で吸収、収束させる、ライバル圧倒の、上級車さながらのフラット極まる乗り心地の良さを見せつけてくれるのだ。リヤサスペンションをITLから乗り心地重視のトーションビームに変更したメリットは絶大であり、それは先代のウィークポイントだった、荒れた路面での後席の突き上げ感のなさにもしっかりと現れている。