「LINNÉ LENS(リンネレンズ)」は、カメラを生き物にかざすと生物種名を判定してくれる神アプリ。2018年8月のリリース時は約4,000種、数回のアップデートを経て2020年2月現在は約10,000種、日本の動物園・水族館にいる生き物の約9割を判定可能に。まだご存じない方のために、楽しさをお伝えします!
生き物好き必携「リンネレンズ」とは
「リンネレンズ」はiOS版限定でリリースされ、現在はAndroidにも対応。スマホやタブレットにアプリを入れ、スマホやタブレットのカメラを生き物にかざすだけでその生き物の名前がわかる便利なアプリです。
リリース当初は、魚類やアシカなどの海生哺乳類、海鳥であるペンギンなど、水族館でよく見る水の中の生き物が中心。日本の水族館にいる生き物の9割をカバーし、その時点でもスゴイのに、日本の動物園の生き物の9割超、日本の野鳥全633種に対応するなどの進化を遂げ、現在は約10,000種に対応。日本の動物園・水族館にいる生き物の約9割を判定可能になったということなのです。
リンネレンズの「リンネ」は、近代分類学の父、カール・フォン・リンネの名前にちなみます。
「生き物をかざすだけ」と使い方は簡単
使い方は簡単で、アプリを立ち上げカメラを生き物に向けるだけ。すると、瞬時に生き物の名前を示してくれます。電波のない環境でもOK。撮影した生き物の写真が自動的に記録され、見つけた生き物がコレクションとしてたまっていき、自分だけのオリジナル図鑑に育っていきます。
記録された生き物は、アプリ内の系統樹に配置。いつか系統樹を埋め尽くすことができるだろうか。自分が見つけた生き物同士の意外な関係性に気づくなどの楽しみもありますね。
図鑑やテレビに映った生き物も高精度で判定してくれます。人間に向けると「ホモサピエンス」と出たり、ときにカメラが迷って魚の名前をサジェストしてくることもあっておもしろいんです。さらに、亜種(別種ほどの違いはないが、分布する地域により色や形などに違いがある集団)も判別してくれるのもスゴイ。
アプリはダウンロード無料で、お試しも1日10種まで無料。記録種数が無制限となる「LINNÉ LENS PROプラン」は490円。最初は360円/1か月などだったので、買い切り制になったのは嬉しい。生き物ファンだけでなく、ときどき動物園や水族館に出かける方にも手ごろな価格ではないでしょうか。
水族館の飼育員さんはどう使ってる?
こんな便利なアプリ、生き物のプロである飼育員さんはどう使っているのでしょう? サンシャイン水族館でお話を聞いてきました。
高宮一浩さん「実は、サンシャイン水族館も開発に協力したんですよ。多くの方が使うごとにデータが集積するため、今はかなりの精度になっています。ただし、その生き物らしさが出る前の若い個体は苦手みたいです。ちなみに、当館の飼育員にはアプリやネット検索に頼りすぎないよう指導しています。知りたいことやわからないことがあれば、図鑑を参照する習慣をつけてほしいからです。
ただ、お客さんにはおすすめできます。最初はアプリがきっかけでも、生き物の知識が増えれば見る目が養われていきます。アプリを使って生き物探しを楽しむ方をたびたび見かけます。
当館では、大水槽「サンシャインラグーン」がおすすめです。人間の目では目立つ1、2種しか認識できませんが、リンネレンズなら一度に複数の生き物を認識します。何気なく水槽に向けると、こんなに多数の種類が? と驚くことも。水槽の底や奥のほうにいろいろいるからですね。水族館では、水槽脇に展示生物の名前を記した「魚名板」を設置していますが、すべての生き物を網羅しているわけではありません。魚名板に載っていない生き物を見つけるのもおもしろいと思いますよ!」
大水槽で使用してみました。アプリも人間が考えるとき同様、時に迷うんですね。
常時、確信度が上下し、パーセンテージで表示。そして、「ムレハタタテダイ」として特定&図鑑に記録しました。
なるほど、やっぱり楽しいリンネレンズ。遊び方はあなた次第。テクノロジー万歳!
取材協力=サンシャイン水族館
https://sunshinecity.jp/aquarium/
取材・文/木村悦子