こんにちは。
バンコクのボンゴロッソ大森です。
今日は、タイの国民食ともいえる「パッタイ」の作り方と、パッタイにまつわるコラムをお伝えしようと思います。
タイ王国が、国力を回復するためにレシピを制定した料理!
パッタイ( ผัดไทย)は直訳すると、タイ炒め。日本で「タイ風焼きそば」と言われるこの料理、料理名に「タイ」と入っているのはタイ王国のお墨付きだからなのです。1930年代のコメ不足の折、国策で米粉麺を使った料理を普及させようとレシピを国民に公募、故に国の名前がしっかりとクレジットされています。
第二次世界大戦後、焼け野原の中の食糧難で生み出された料理、ということでは日本のお好み焼きに近い食べものかもしれません。パッタイの麺は100%工業製品、麺加工産業の労働力をも生み出しました。
国をあげて「このレシピが本家のパッタイです!!!」というものが出回っている以上、借りぐらしの私から読者の皆さんにお伝えすることも何もないのかもしれないな…と弱気になっていました。
アレンジも様々
BTSトンロー駅近くのホイトーチャウレーさんの人気メニュー「パッタイ・クンソッド」カリカリの部分はこのお店のオリジナル。
食べるものにも困っていた時代に考案された料理ですが、今は物質的には豊かな時代。バンコク市内の有名店や、生活圏内のBTSトンロー駅付近で食べ歩いてみると、店ごとに微妙に味わいが違います。中にはほかの料理の良いところをちょっと取り入れていたり、材料を増やしてゴージャスにしてみたり、卵の加熱の仕方を大胆に変えてあったり、思ったより自由にパッタイという料理を愉しんでいました。そして、とにかく食べやすい!ストリートで食べてもその場で火を通しているから衛生的!辛くない!大人も子供も大好きな味です。
タイのお米の麺は太さが様々あります。ものの本によるとタイには200種類もの麺料理があるとか。そのなかでもパッタイの麺は決まってセンレックという中細麺一択です。日本のきし麺ちょっと細くしたくらいの太さですね。お箸でつまんで、ワシワシ空腹を満たせます。
米100%の麺で作るのが正解
日本でパッタイ用の麺を探すときに、ひとつだけ気を付けてほしいことがあります。
それは「フォーの麺と間違えないでください」ということです。ベトナム料理のフォーは材料にタピオカ粉が使われている場合があり、パッタイには向きません(やってみましたが、いまいちでした)。
それさえ整えば、あとは材料をそろえて一気に手際よく、レシピ通りやれば美味しくできます。パッタイ用の食材は業務スーパー(以下業スー)で大体そろうようなので、近くにあれば買い出しに行きましょう。(業スーはご丁寧にパッタイの素まで販売してくださっているようなのですが、私のレシピは一応〇〇の素は使わない縛りをしていますので、見なかったことにしますね…。)
ニラともやしは生で食べてみましょう
材料にニラともやしが出てきます。これ、火を通しません。カルチャーショックかもしれませんが、そこは未体験ゾーンを十分にかみしめながら面白く味わってみてください。そして、頬張りながら目をつぶり、タイ王国という南の楽園に思いをはせてみてください。もやしのシャキシャキ感とニラの青い風味があれば飛行機に乗らなくてもタイ気分です。
グラニュー糖じゃりじゃり&辛いお酢で、麺を「タイ風の味変(あじへん)」する?
タイに旅行で来たことのあるひとは、麺類を提供する食堂のテーブルにお砂糖や辛い酢(プリッキーヌという激辛が漬け込んである)、唐辛子粉、ナンプラーの入った調味料入れを目にしたことがあるかもしれません。地元では、料理がテーブルに届くやいなや、お砂糖を直接麺にかけるひとが結構います。南国は暑いので、食が細くなるから甘くして食べやすくするためという説や、お砂糖は体を冷やす食べ物なので南国で暮らすひとの身体が求める味で理にかなっているという説などいろいろあり興味深いです。
是非、後乗せグラニュー糖のじゃりじゃり感や、それをさらにさっぱりさせる辛いお酢とともに味の変化を楽しんでみてください。これが普通に楽しめるようになったら、あなたはもう本当に愉快なタイ人達と一心同体です。満腹のおなかをさすりながら、生ぬるくて気だるい空気を胸いっぱい吸いこんで、たまの休日、食べたお皿なんて洗うのは後にして、サバーイサバイ♪ 炭水化物や糖質は睡魔も襲いますから、食後はゆーっくりお昼寝でもしましょう♥
材料(1人分)
茶色いものはタイの大根の漬物、huah chai bpoh 日本のたくあん漬けで代用しましょう。
・米麺(センレック・乾麺)…50~60g
・溶き卵…1個分
・むきエビ…4尾
・干しエビ…20g
・たくあん(5㎜角)…10g
・厚揚げ(1.5㎝角)…20g
・にら…10g
・もやし(できれば豆と根を取る)…40g
・ライム(適宜)
・サラダ油…大さじ2(2回に分けて入れる)
<合わせ調味料> ※冷蔵庫で保存可
・タマリンドペースト…70g(もしくは 練梅…50g)
・砂糖…80g
・ナンプラー…60ml
作り方 所要時間:5分以内で素早く (※麺の戻し時間、調味料を作る時間を除く)
①米麺を極ぬるま湯(20℃)で40分もどす
時間になったらざるに上げ水気をきる
②合わせ調味料を小鍋で煮詰める
<合わせ調味料>の材料をすべて入れ、中火にかけ、5分ほど煮詰める。
③中華鍋か大きいフライパンに米麺と赤玉ねぎを入れ、手早く炒め合わせる。②の合わせ調味料大さじ2を加え、汁気を飛ばしてなじませる。
むきエビ、干しエビ、たくあん、厚揚げを加え、むきエビ、にら、もやしに火が通るまで炒め合わせる。
④炒めたものを鍋の外側のほうに寄せて、手前側の鍋の余白に油を足す。強火にして、溶き卵を入れ、火が通ったらオムライスの要領で、麺のほうを卵に乗せ、鍋を振って裏返して完成。
⑤生にら、生もやし(分量外)を添え、お好みでピーナッツ粉を振りかけ、ライムを添えて器に盛る。
食卓に、砂糖や辛いお酢、ナンプラー、唐辛子(すべて分量外)を小皿等によそった調味料入れを置いて完成。
【動画】
取材・文/マダム・ボンゴロッソ大森