ドコモとメルカリ、メルペイが業務提携に合意。約7345万人の「dポイントクラブ」の会員基盤を持つドコモと、月間利用者数約1450万人、年間流通総額5000億円を超えるメルカリとの提携により、国内最大規模の顧客基盤が実現する。
記者説明会に登壇したメルカリ 代表取締役 CEO 山田進太郎氏(左)と、NTTドコモ 代表取締役社長 吉澤和弘氏(右)。
3社の業務提携でどんな取り組みが実現する?
今回、ドコモ、メルカリ、メルペイの3社が業務提携することによって実現する新たな取り組みについて、2月4日(火)に記者説明会が開催された。最近ではヤフーを傘下に持つZホールディングスと『LINE』、『メルペイ』による『Origami』の買収など、コード決済を巡る様々なニュースが飛び交っているが、今回の発表は一段と大きなものになった。それは「これほどの規模のEC事業者との連携は初めて」と、ドコモの吉澤和弘社長自らが口にしたことでもうかがえる。
ではこの提携によって、いったいどのような取り組みが実現するのだろう? 現在、予定されているのは次の5つだ。
- メルカリIDとdアカウントの連携による顧客基盤の拡大
- dポイント連携(『メルカリ』でdポイントが貯まる・使える)
- スマホ決済連携(『メルペイ』でdポイントが貯まる・使える、『メルペイ』と『d払い』残高の連携、加盟店の共通化・共同推進)
- ドコモショップ連携(メルカリ教室・梱包サポートの全国展開)
- データを活用したマーケティング・フィンテックサービスの共同開発検討
メルカリIDとdアカウントが連携することで国内最大規模の顧客基盤が実現する。
具体的には、2020年5月より、メルカリIDとdアカウントの連携が開始予定。それぞれが連携することで、両方のサービスが簡単に利用できるようになる。そしてフリマアプリの『メルカリ』がdポイントの加盟店になり、『メルカリ』での買い物100円(税込)ごとに1ポイントのdポイントが貯まり、貯まったdポイントは1ポイント=1円(税込)として、『メルカリ』の買い物でも利用できるようになる。
これまで『メルカリ』ではキャンペーンなどでポイントが付与されることはあっても、買い物でポイントが貯まることはなかった。もちろんそれは『メルペイ』の支払いに関しても同じだ。それがメルカリIDとdアカウントを連携することで、それぞれでdポイントが貯まるようになる。これは『メルカリ』ユーザーにとって大きなメリット。
『メルカリ』ユーザーは、不要品を『メルカリ』で販売した売上げ金を使って、街の加盟店で『メルペイ』で買い物することができる。自分のお金を減らさずに買い物できることに加え、今後は『メルカリ』で買い物した金額や、『メルペイ』で支払った金額に対してもdポイントがもらえる。これは利用しない手はない。
ドコモユーザーのメリットとしては、簡単に『メルペイ』が利用できる点に注目したい。そして2020年初夏には、『メルペイ』ウォレットと『d払い』のウォレットの電子マネー残高や、dポイント残高の連携が開始予定。残高の管理が容易になる。
現在、『d払い』の加盟店数は約136万か所で、『メルペイ』の加盟店数は約170万か所ある。それらが2020年初夏には共通化されるので、利用できる店舗が増えることもメリット。今後はドコモとメルペイが共同で加盟店開拓を行なっていくので、加盟店拡大が加速することが考えられる。
ドコモとメルカリが提携することで得られるモノとは?
今回、3社が提携することで、『メルカリ』や『メルペイ』が、dポイントというポイントサービスを利用することができる。一方でドコモは『メルカリ』の5000億円もの年間流通総額を、『d払い』の加盟店でも利用してもらえる機会を生んだ。
メルカリの山田進太郞CEOはドコモについて、「最もシナジーがある相手。それが今回の提携に繋がっている」と語った。両社はこれまでにもドコモショップでのメルカリ教室の共同開催や、『メルカリ』で売れたモノが梱包・配送できる「つつメルスポット」のドコモショップ内の設置などで連携。当初30数店舗のドコモショップで行なっていたこれらのサービスを、現在は106店舗まで増やしている。
双方のメリットはこれだけに止まらず、共同で加盟店開拓することでのコストの削減や、データのマーケティング活用にも及ぶ。
「現在メルカリでは、1年前、2年前のファッションがどういう動きをしているのかがわかるとメーカーのマーチャンダイジングに活かせるのではないかということで、ファッションメーカーとデータ連携しています。今回はキャリア独自のデータということで、お客様のプライバシーに重々配慮した上で、いろんな可能性を模索していきたい」と、メルカリの山田CEO。
一方、吉澤社長は、「今回、アカウント連携することで、メルカリIDを紐付けることができます。そこから出てくるデータと、私共が持っているデータのかけ算が無限に出てくるのではないかと思っています。非常に可能性がある。キャリア独自のデータとうまく連携させながら、データ活用ビジネスに繋げていければ」と、今後の展望について語った。
今回の提携を記念して最大+20%還元のキャンペーンを実施
なお、今回の提携を記念して、2月4日(火)~2月24日(月)まで、「メルカリでd払いを使うと+10%還元キャンペーン」を実施する。『メルカリ』の支払いに『d払い』を利用することで、購入金額の10%分のdポイント(期間・用途限定)が還元される。
ドコモでは毎週金曜・土曜に対象サイトで利用することで、通常のポイントに加えて最大5%のポイントが上乗せされる「毎週おトクなd曜日キャンペーン」を行なっているが、このサービスとも連携。しかも2月は『メルカリ』アプリ上での買い物に限り、最大10%分のdポイントが還元される。合わせて最大20%のdポイントがもらえる。
さらにキャンペーン期間中は、『メルカリ』での『d払い』の決済1回に付き、決済手数料(1回100円)分のdポイント(期間・用途限定)も得ることができる。
なお、このキャンペーンに参加するには、キャンペーン期間中にキャンペーンサイトでのエントリーが必要。また、3000円以上(税込)の決済が対象だ。
キャンペーンは、2020年5月のメルカリIDとdアカウントの連携時にも実施予定。キャンペーンを含む3社の今後の動きと共に、他のコード決済事業者の動きにも注目しておきたい。
取材・文/綿谷禎子