音楽が自然と家になじむ!IKEAとSonosのコラボで生まれた照明にもシェルフにもなるスマートスピーカー「シンフォニスク」
2020.02.05■連載/阿部純子のトレンド探検隊
照明にもシェルフにもなる新しい形のスマートスピーカー
イケアのホームファニシングの知識とSonosの音響技術が融合したWi-Fiスピーカー「シンフォニスク」が2月より発売された。2017年に共同開発をスタートし、先行販売された欧州、北米で大ヒット、満を持して日本に上陸した。ライトとスピーカーが融合した「シンフォニスク テーブルランプ Wi-Fiスピーカー付き」(2万4990円)と、「シンフォニスク ブックシェルフ型 Wi-Fiスピーカー」(1万4990円)の2タイプで、カラーはそれぞれホワイト、ブラックの2色。
だれもが気軽に暮らしに音楽を取り入れられるように、簡単な設定、操作性、部屋になじむデザイン、高音質のスピーカーを、求めやすい価格で実現したのがシンフォニスクだ。
スピーカー自体が周りの空間を捉えて出力を最適化し、どこに置いてもサウンドの質が変わらないため、好きな場所に設置できる。テーブルランプ型は照明としても機能し、ブックシェルフ型は縦にして本棚に入れたり、別売の「シンフォニスク スピーカー用ウォールブラケット」(1500円)、「シンフォニスク スピーカーフック」(699円)で壁に取り付けて、棚としても使うこともできる。
「私にとって音楽は、キャンドルに火を灯す、おいしい食事を作ることと同じで、自宅でくつろいでいると実感させてくれるもの。音響専門メーカーとして長年、どうやったら家庭に製品を届けられるかを模索していた中で、家の専門家であるイケアと協働して、互いにフィットする製品を作ることができた。
家具としての美しさもさることながら、ここに置いた場合はどのような音になるのか、空間と共に音のデザインも考える必要があった。試行錯誤を重ね、シンフォニスクは音楽を家の中に溶け込ませることに成功した。
リサーチを重ねる中で、スピーカーを置くことに3つの支障があるとわかった。テクノロジー機器を目立たせたくない、コードが多く電源が取りにくい、置き場所がない。こうした問題を解決する製品がシンフォニスクであり、先行販売した欧米でも3つの問題をクリアしたことで多くの人に受け入れられた。東京のような住居スペースが狭いところでは、場所を取る大きなスピーカーを置くのが難しく、さらに受け入れやすいのではないか」(Sonosシニアプロダクトマネージャー サラ・モリス氏)
「テーブルランプはスピーカーとは思えないほど照明としても美しく、ひとつの家具で2つの機能を満たすことができる。ブックシェルフ型は、書棚に立てて置いたり、横向きに置いたり、壁掛けにしたりと配置にバリエーションがあり、狭い場所でも置き場所に苦労しないメリットは大きい。
コンセプトの段階から何度もアイディアを出し、試作を繰り返した。最初のプロトタイプは段ボールをさまざまな大きさや形に切って、部屋のセットのいろいろな場所に置いて、どの形状がベストなのかを模索した。ベッドシェルフにするという考え方もここから生まれた」(イケア ホームスマート プロダクトデザインデベロッパー ステーパン・ベーギチ氏)
専用アプリをダウンロードして、好きな場所にスピーカーを設置すればOK。Wi-Fi接続なので、Bluetoothのように音が途中で途切れたり、遅れや中断が起こることがない。電話がかかってきたときや、再生中のデバイスを持つ人が部屋から離れた場合でも音楽を楽しめる。
テレビ、音楽用のスピーカーとしても使え、アプリでの操作、AirPlay2を通しても操作できる。声での操作ではAmazon Alexaとの連動ができ、年内にはGoogleアシスタントでの操作も可能になる予定。
また、Sonos製品と互換性があるのでセットにして使うことも可能。一部屋に同じ型のスピーカーを2台設置すればステレオサウンドが楽しめ、さらにSonos製品のウーファー「Sub」(8万1800円)や、サウンドバー「Beam」(4万6800円)を組み合わせれば、ホームシアターが実現する。
別売の「シンフォニスク サウンドリモート」(1500円)と「トロードフリーゲートウェイ」(4499円)を使えば、家じゅうどこからでも、シンフォニスクやSonosスピーカーを操作できる。部屋ごとに異なる曲を再生することも、グループ化によりすべての部屋で同じ曲を再生することも可能。Sonosのアプリを使えば、音楽サービスからお気に入りの音楽を見つけ、それぞれの部屋に転送し、音量やその他の設定を調節することが可能で、同じ部屋にいる必要がない。
ストリーミングサービス、オンデマンドのインターネットラジオ、お気に入りのポッドキャスト、オーディオブック、ダウンロードコレクションと、聞きたい音楽をなんでも再生できる。
「Sonosのマルチルームシステム、汎用性という2つの価値は、シンフォニスクでも提供している。通信規格はWi-Fiで、独立してインターネットにつなぐことができ、スピーカー同士が互いに通信をすることで、それぞれの部屋で別々の曲を流す、同じ曲を各部屋で流すことができるマルチルームシステムを実現。音楽のサブスク(定額制)サービスもフリーダムチョイスで、世界で100種類、日本では50種類の音楽サブスクをアプリ上で操作できる」(Sonos Japan 瀬戸和信氏)
「当初は掃除が楽なメタルカバーを使うという案もあったが、SonosのエンジニアからWi-Fiの性能に支障が出るという意見があり、ファブリックのデザインを採用した。家具としても非常に良い仕上がりになった。
先行販売した欧米では、低価格で提供するイケアがSonosという高品質のスピーカーを出したことに驚きを持って受け止められた。私たちがコストに上乗せするのは、本当にユーザーバリューがある場合のみ。音質を妥協せずに求めやすい価格帯をどう実現するかはアイテムごとに検討を重ねた。
コスト面からテーブルランプ型はスプレー塗装なしにしたが、それでも美しい仕上がりになった。ユーザーには部品交換や修理、カスタム化できるようにし、長年使用しても新しい状態で使えるようにしている」(ベーギチ氏)
【AJの読み】音楽のある暮らしを実現する新時代のスピーカー
レコード、そしてCDの時代は、本格的とまでは言えないが、プレイヤーとスピーカーが家にはあった。やがて音楽はダウンロード、ストリーミングになり、スマホやタブレットで聴くという時代に。
「日本では約65%がスマートフォンをテーブルに置き音楽を聴いており、良いサウンドで音楽を楽しんでいない事実がある。こうした残念な音楽の聴き方を変えることがSonosにはできる。欧米ではサブスクの音楽サービスを楽しむことが主流になっており、日本でもこの波は必ず来ると思う」(瀬戸氏)
スピーカー同士をネットワークでつなげる世界初のマルチルームシステムを作り出したSonosは、2018年に日本に進出したアメリカの音響メーカー。スペースや価格的なハードルから、ハイエンドなオーディオは難しいけれど、音楽は良い音で楽しみたいというユーザーのニーズに合致した製品を送り出している。ちなみに、ビートルズの伝説的なプロデューサー、ジョージ・マーティンの息子である、ジャイルズ・マーティン氏が同社の音質責任者を務めている。
一人暮らしなら1台を壁に取り付けベッドシェルフとして使えば省スペースになり、環境が変われば増やすことも。ダイニングルームはテーブルランプ型2台とブックシェルフ型1台を組み合わせてステレオサウンドに。ディナーや一人ランチなどシーンに合わせて照明と音を調整できる。リビングは先に紹介したようなSonos製品との組み合わせでホームシアターを構築できる。部屋になじむデザインとサイズ、Sonosの高質なサウンド、求めやすいイケア価格など、音楽のある暮らしを実現できる注目のスピーカーだ。
文/阿部 純子