DIME MAGAZINE
節分といえば「豆まき」や「恵方巻き」を連想する人も多いだろう。しかし、一部の地域では「いわし」を飾ったり食べたりする風習があるのをご存知だろうか。
本記事では、馴染みのない人も多いであろう”節分のいわし”について、その由来や飾り方、食べ方を紹介する。今年の節分はいわしを試してみては。
節分にいわし飾る風習 その由来は？
節分にいわしを飾るのはどのような意味があり、いつからはじまった風習なのだろうか。その歴史は意外と古かった。
起源は平安時代！？魔除けの「柊鰯」
節分いわしの風習は、平安時代にまで遡る。もともと日本では、「季節の変わり目には邪気が入りやすい」とされており、節分の鬼もそこからきている。
当時、旧暦の大晦日にあたる節分に魔除として門口に「注連縄（しめなわ）」を用意し、そこに「柊（ひいらぎ）の枝」とボラの頭「なよし」を刺して飾る風習があったようだ。「ボラの頭」が「いわし」に変わっているものの、この風習が節分のいわしの起源のようだ。
いわしの頭に柊の枝を指したものを、「柊鰯（ひいらぎいわし）」と呼ぶ。「柊木の尖った葉」と「いわしのにおい」は、鬼の嫌がるものとして知られていたことから「家に鬼を寄せ付けないように」との意味があるようだ。さらに、においの強いニンニクやラッキョウを併せて飾る地域もある。
節分にいわしを飾る地域、食べる地域は？
今でも奈良県を中心とした西日本、福島や関東地方の一部でいわしを飾る風習が残っている。特に奈良市内では、多くの家庭が今でも玄関先にいわしを飾るという。また、西日本では柊鰯を「焼嗅（やいかがし）」「やきさし」「やいくさし」「やっかがし」とも呼ぶそうだ。
西日本の一部では、節分の当日にいわしを食べる風習もある。カルシウムやDHA・EPAを含み栄養価が高いことで知られるいわしだが、節分の日に食べるのは、無病息災の意味があるようだ。
節分いわし（柊鰯）の飾り方
先述したように、節分のいわしには魔除け・鬼除けの意味があることから、玄関や軒先に飾るのが良いとされている。
柊鰯の作り方は、焼いたいわしの頭を葉がついた柊の枝に指すだけと簡単。いわしや柊を用意するのが難しい場合は”折り紙”で代用するのも良いだろう。
いつまで飾ればいい？
節分いわしを飾る期間は、「節分の当日のみ」が一般的だ。しかし、「1月15日（小正月の翌日）から立春まで」「節分の当日から2月いっぱい」「翌年まで」など、地域によって差がある。いわしを飾る際には、お住まいの地域の年長者に正しい期間を確認してみるのもいいだろう。
飾ったいわしはどうするの？
魔除のいわしをそのままゴミ箱に捨てるのは、なんとなく気が引ける。いわしを飾る地域では、「紙に包み塩で清めてから捨てる」のが一般的なようだ。また、「神社に持っていきどんど焼きで処分する」「庭に埋める」「灰になるまで焼く」という説もある。
節分いわしの食べ方とおすすめレシピ
実は、いわしの食べ方については、正しいルールがあるわけではない。魔除け・無病息災の意味を込めながら、好きな調理法でいわしを食べよう。最後に、おすすめの食べ方・レシピを紹介する。
いわしの塩焼き
「昔ながらの食べ方」を試したい方は、いわしを塩焼きで食べるのがおすすめだ。シンプルな調理法で、用意するものも少なくて済む。ちなみに、いわしを焼く時の煙にも鬼除けの意味があったという説もあるため、（周囲の迷惑にならない程度）に煙を出して焼いてみるのもいいだろう。
【用意するもの】
・いわし
・塩
いわしの生姜煮
寒い節分の季節に最適なのが、いわしの生姜煮。頭と内臓を取ったいわしを、熱湯にくぐらせ、調味料・生姜を加えて煮るだけの簡単レシピだ。みりんを最後に入れるとツヤがよく仕上がる。
【用意するもの】
・いわし
・千切り生姜
・水
・調味料（本みりん・しょう油・酢）
・本みりん
いわしのつみれ汁
いわしのにおいが苦手という方には、いわしのつみれ汁がおすすめだ。ウロコ・頭・内臓・中骨・ヒレを取ったいわしを水洗いし、水気を取ったらフードプロセッサーなどでミンチ状にする。だんご状にしたいわし、にんじん・大根などの具材を湯に入れ10分ほど煮たら、味噌を溶き入れれば完成。ミンチ状のいわしなら、子供でも食べやすいはずだ。
【用意するもの】
・いわし
・みそ
・しょうが汁
・薄力粉 大さじ1
・大根 120g
・にんじん 60g
・ねぎ 1/2本
・水 3・1/2カップ
・みそ 大さじ2
文／oki
最新号
