住宅事情や経済的理由、趣味の多様化などによって、「若者の車離れ」が進んでいるとよく言われるが、本当にそうなのだろうか?
そこで今回、若者のリアルな車事情を調べるべく、ソニー損害保険株式会社による「2020年 新成人のカーライフ意識調査」が行われたので、その結果を紹介していきたい。
なお、本調査は、今年の新成人(1999年4月2日~2000年4月1日生まれ) 男性500名、女性500名を対象にして実施された。
新成人の運転免許保有率は56.4%、マイカー所有率は14.8%
今年の新成人(1999年4月2日~2000年4月1日生まれ)1,000名を対象に、普通自動車運転免許を持っているか尋ねる調査が行われたところ、「普通自動車免許を持っている(オートマ限定)」は36.1%、「普通自動車免許を持っている(マニュアル)」は20.3%で、合計した『運転免許の保有率』は56.4%となった。
また、「現在、教習所へ通っている(オートマ限定)」は3.0%、「現在、教習所へ通っている(マニュアル)」は0.6%、「時期は決まっていないが、取得予定」は22.5%で、合計した『運転免許の取得予定者』の割合は26.1%となった。
取得した免許の種類を男女別にみると、「普通自動車免許(オートマ限定)」は男性26.8%、女性45.4%と、女性のほうが18.6ポイント高くなった。また、「普通自動車免許(マニュアル)」は男性32.2%、女性8.4%と、男性のほうが23.8ポイント高くなった。
『運転免許の保有率』を居住地別にみると、都市部(※1)では44.9%、地方では60.2%と、地方のほうが15.3ポイント高くなった。(図1)
(図1)
※1:市・区における人口ランキングの上位都市である、北海道札幌市、東京都23区、神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市、福岡県福岡市を「都市部」とし、それ以外が「地方」とされている。
次に、全回答者1,000名を対象に、車(バイクを除く)を持っているか尋ねる調査が行われたところ、「自分の車を持っている」は14.8%となった。また、「自分の車を購入する予定がある」は9.7%、「購入する予定はないが、いずれは欲しい」は42.1%で、合計した『購入予定または意向あり』は51.8%となった。
自分の車を持っている新成人は少ないものの、多くの方が、いずれは車を購入したいと考えていることがわかった。一方、「購入するつもりはない」は33.4%と、3人に1人の割合となった。
マイカー所有率(「自分の車を持っている」の割合)を居住地別にみると、都市部では8.5%、地方では16.9%となり、地方のほうが高くなっていた。(図2)
(図2)
車を持たない理由は?「購入費用を負担に感じる」が最多
車を購入するつもりがない334名を対象に、自分の車を持ちたいと思わない理由を尋ねる調査が行われたところ、「購入費用を負担に感じる」が最も多く50.9%、次いで、「燃料代や修理費など、維持費がかかる」が33.8%、「車以外の移動手段が充実しており、車に乗る必要性がない」が31.1%となり、多くの方が経済的な理由を挙げていた。
居住地別にみると、「車以外の移動手段が充実しており、車に乗る必要性がない」は都市部39.8%、地方26.4%と、都市部のほうが13.4ポイント高くなっていた。都市部では、鉄道やバスなどの公共交通機関を利用すれば、車を持っていなくても不便に感じないという方が多いようだ。(図3)
(図3)
「同年代で車を所有している人は格好いい」新成人女性の54.8%
全回答者1,000名を対象に、車に対する意識について、それぞれどの程度あてはまるか尋ねる調査が行われた。
まず、≪車に興味がある≫では、『あてはまる』(「とてもあてはまる」と「ややあてはまる」の合計)が37.4%、『あてはまらない』(「全くあてはまらない」と「あまりあてはまらない」の合計)が39.6%となった。『あてはまる』の割合を男女別にみると、男性43.6%、女性31.2%と、男性のほうが12.4ポイント高くなっていた。
≪同年代で車を所有している人は格好いいと思う≫では、『あてはまる』が48.5%、『あてはまらない』が22.4%となった。
『あてはまる』の割合を男女別にみると、男性42.2%、女性54.8%と、女性のほうが高くなった。車に対して興味を持っている割合が少ない女性も、車を持つことに対する憧れは抱いているようだ。
≪車を所有している大人(自分より上の世代の人)は格好いいと思う≫では、『あてはまる』が46.5%、『あてはまらない』が20.3%という結果に。新成人の多くが、車を持っている大人を格好いいと感じているようだ。(図4)
(図4)
「若者の車離れ」自覚している新成人は37.4%
全回答者1,000名を対象に、若者の車離れに関する意識や車に対する希望について、それぞれどの程度あてはまるか尋ねる調査が行われた。
≪「若者の車離れ」とは自分自身のことだ≫では、『あてはまる』が37.4%、『あてはまらない』が32.8%となり、“車離れ”を感じている人のほうがやや多くなった。
≪車に乗る必要性を感じない≫では、『あてはまる』が28.9%、『あてはまらない』が48.5%となった。
また、≪車を所有しないことは合理的だと思う≫では、『あてはまる』が26.6%、『あてはまらない』が32.5%という結果に。“車に乗る必要がない”“車を持たないほうが合理的”といった観点で車の所有に否定的な新成人は、多くはないようだ。
≪車を所有する経済的な余裕がない≫では『あてはまる』が63.4%となった。新成人の多くが、車を所有するための費用を負担に感じているようだ。
≪メーカーにもっと若者向けの車を作ってほしい≫では、『あてはまる』が44.2%、『あてはまらない』が22.8%と、『あてはまる』のほうが高くなった。若者のニーズに合った車が開発されると、新成人の車への関心は高まるのではないだろうか。(図5)
(図5)
レンタカー利用経験者は都市部で半数以上に
自家用車以外に、車を利用する手段として、レンタカーやカーシェアリングがある。免許を持っている方564名を対象に、レンタカーやカーシェアリングの利用実態について尋ねる調査が行われた。
まず、レンタカーを利用したことがあるか尋ねる調査が行われたところ、「ある」は37.6%となった。利用率を居住地別にみると、都市部では56.8%、地方では32.9%で、都市部のほうが23.9ポイント高くなった。
次に、カーシェアリングを利用したことがあるか尋ねる調査が行われたところ、「ある」は8.3%となった。利用率を居住地別にみると、都市部では12.6%、地方では7.3%と、都市部のほうが高くなった。(図6)
(図6)
運転免許保有者で、レンタカーまたはカーシェアリングのいずれか1つでも利用したことがある方225名(※2)を対象に、≪車を購入する前の試し乗りとしてレンタカーやカーシェアリングを利用したこと≫があるか尋ねる調査が行われたところ、「ある」は14.7%となった。
また、≪レンタカーやカーシェアリングを利用したことで、車を欲しいと思う気持ちが強くなったこと≫があるか尋ねる調査が行われたところ、「ある」は35.1%となった。「ある」の割合を男女別にみると、男性41.7%、女性26.5%と、男性のほうが高くなった。
さらに、≪レンタカーやカーシェアリングで乗った車が気に入り、同じ車を欲しいと思ったこと≫があるか尋ねる調査が行われたところ、「ある」は24.9%となった。「ある」の割合を男女別にみると、男性29.9%、女性18.4%となった。男性には、レンタカーやカーシェアリングの利用が、車の購入意欲につながったという方が少なくないようだ。(図7)
(図7)
※2:レンタカーとカーシェアリングの両方を利用したことがある人34名、レンタカーのみを利用したことがある人178名、カーシェアリングのみを利用したことがある人13名の合計。
新成人の車購入予算 平均は184万円 昨年より9万円アップ
続いて、車がある生活(カーライフ)にかける費用について尋ねる調査が行われた。
まず、運転免許保有者と取得予定者825名を対象に、車(バイクを除く)を持っているか尋ねる調査が行われところ、「自分の車を持っている」が17.9%、「自分の車を購入する予定がある」が11.5%、「購入する予定はないが、いずれは欲しい」が49.3%で、合計した『車の所有に肯定的』な人の割合は78.7%となった。(図8)
(図8)
運転免許保有者と取得予定者825名のうち、『車の所有に肯定的』な650名を対象に、車を購入する際の予算(上限額 ※車所有者は購入金額)を尋ねる調査が行われたところ、平均額は184万円だった。車を購入する際の上限予算の平均額を居住地別にみると、都市部では239万円、地方では172万円となった。
購入予算の平均額を過去の調査結果と比較すると、2015年189万円、2016年187万円、2017年181万円、2018年180万円、2019年175万円、2020年184万円と、昨年までは4年連続で下降していたが、今回の調査で9万円の上昇に転じた。(図9,10)
(図9)
(図10)