水回りのリノベーション 最近のトレンド
最近の中古マンションでは水回りをどのようにリノベーションするのが人気か、聞いてみた。
●キッチン
昔は、個室のように壁で囲まれた「クローズドキッチン」や、シンクや調理台が壁の方を向いた「壁付けキッチン」が多かったが、最近ではカウンター越しにリビングとつながった対面型キッチン(カウンター式キッチン)が人気。
「キッチンは広さよりも、『とにかく対面型に』という要望のほうが高いです」(水野さん)
壁付けキッチンは対面型にリノベーションするのがトレンド。(左:リノベ前 → 右:リノベ後)
●バスルーム
ユニットバスの場合、面積は1200×1600ミリ(通称1216)、1400×1800ミリ(通称1418)など規定のサイズがある。60~70平米のリノベーションマンションで最も多いサイズは1216だが、築40年程度の古いマンションでは、80平米ほどの広めの住戸でもバスルームが1216程度、もしくはより狭いものもある。
しかし最近は住戸面積に関わらず、バスルームを極力広くするのがトレンド。80平米のマンションなら壁を40〜50センチ動かして1620(1600×2000ミリ)のユニットバスを入れることもある。
また、床や壁がタイル張りで、バスタブをはめ込んだ「在来風呂(ざいらいぶろ)」の場合は、できる限りユニットバスに入れ替える。
「ユニットバスは水漏れの心配はまずありませんし、工事費が抑えられるからです。また、バス・洗面台が一体の2点式、バス・洗面台・トイレが一体の3点式の場合は極力、それぞれを独立させます」
●トイレ
トイレは前の住人の使用感が出るため、比較的新しくてもリノベーションの際には新品に交換する。
「トイレはなめらかな形状や便座の付け根部分が少し持ち上がるなど、掃除のしやすいものが好まれます。排水量が少ないなどエコ機能搭載のものも人気」(水野さん)
●洗面所
洗面所の中に洗濯機置き場があり、バスルームにつながるのは今も昔も変わらない。ただし、昔は洗面所に2つドアがあり、一方は廊下に、もう一方はキッチンとつながる2ウェイが理想とされていた。
「昔の洗濯機は二槽式で乾燥機も別だったため、家事を効率よくこなすには、キッチンと洗面所を何度も行き来しなければいけませんでした。でも今は洗濯機の性能がよくなってスイッチ一つで乾燥までできるようになりました。そのため、バスルームを使っているときにキッチン側のドアを開けられないよう、リノベーションの際にドアを塞ぐことが多いです」(水野さん)
水回りはマンションの快適さに大きく関わる部分だが、きちんとリノベーションされていれば、築30年、40年のマンションでも安心して心地よく住むことができる。マンション購入を検討している場合はもちろん、賃貸マンションでもここで挙げたポイントをぜひ参考にして住まい選びをしてほしい。
【取材協力】
マイプレイス(旧社名:トータルエステート) 取締役 専務執行役員 一級建築士・宅地建物取引士 水野眞吾さん
マンションを主力としたゼネコンで多数のマンションの設計に携わった後、外資系の不動産コンサルティング会社に籍を置き、技術者としてマンション、オフィス、物流倉庫など多数の物件のコンサルティング・売買仲介を行う。2013年よりマイプレイスでリノベーションマンションの設計・施工を担当。
株式会社マイプレイス https://www.my-place.jp/
文/市原淳子