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中古マンションの内見や契約の前に確認すべき「水回り」のチェックポイント

2020.01.25

 マンション選びのポイントのひとつが、キッチンやバスルームなどの「水回り」。使い勝手もさることながら、水漏れや騒音などのトラブルの原因にもなりやすいため、念には念を入れてチェックしたいところだ。そこで、内見や契約の前に知っておきたい水回りのチェックポイントや最近のトレンドについて、マンション設計のプロに聞いてみた。

水漏れで数百万円のお金がかかるケースも

「キッチンやバスルーム、洗面所(洗濯機置き場を含む)、トイレを含む水回りは使用頻度が高く、古びた感じが出やすいところ。そのため、リノベーションをするときはほぼ必ず更新工事を行います。水回りが新しくなれば、築30年以上のマンションでもぐっと新しく見えますし、使い勝手は俄然よくなりますから」

 こう話すのは、リノベーション済みマンション買取再販大手のマイプレイス(旧社名:トータルエステート)に所属する一級建築士・水野眞吾さん。では、表からは見えない水回りの設備はどうやってチェックすればよい?

「水回りに関する最大のトラブルは水漏れ。マンションで水漏れが起きると、床板をはがしての工事が必要となり、場合によっては数百万円かかることもあります。下の階の人に迷惑がかかり、賠償責任が生じることがあります。それを防ぐにはまず、給水給湯管がどんな素材でできているかを確認しましょう。管理組合が下階への漏水被害をカバーする保険に加入している場合もあるので併せて確認するといいでしょう」(水野さん)

 2000年よりも以前に建設されたマンションの多くには金属製の給排水管が使われている。金属管は性質上、時間とともに劣化する。「ピンホール」と呼ばれるごく小さな穴があき、それがじわじわと広がって水漏れが起こるのだ。

 金属管の寿命は20〜30年。1990〜2000年以前に建設されたマンションはリスクありと考えていい。ちなみに2000年頃以降はほとんどのマンションで金属管に代わって、経年劣化しにくい樹脂管が使われているので安心だ。また、2000年以前に建てられたマンションでも、リノベーションの際に金属管から樹脂管に交換されていれば問題ない。

メーターボックス内の写真。左は金属製の水道管、右は樹脂管が使われている。

給水給湯管のトラブルを回避するには

 マンションの給水給湯管が金属管か樹脂管かは素人目にはわかりにくい。確認するにはマンションの仲介業者に聞いてみるのがベスト。仲介業者は宅地建物取引士として、購入者に責任ある情報提供をしなければならないので最も信頼できる情報源となる。

 チラシなどに「配管更新済み」と書いてあってもスルーしてはいけない。室内はすべて樹脂管に更新してあっても、マンションの管理規約によって、共有部分と室内とをつなぐ貫通部分は更新工事ができないケースなどがあるからだ。

「『給水給湯管はすべて樹脂管になっていますか』と口頭で確認した上で、購入契約後に『言った・言わない』のトラブルを避けるためにもメールでも構わないので、文書で残しておくと安心です。仲介会社が情報を持っていない場合には、玄関脇などにあるメーターボックスの中、バルコニーの給湯器の下、洗面化粧台下点検口内部の給水給湯管を直接確認する方法もあります。住戸内では給水給湯管は床下、壁、天井の裏に隠れていて見えませんが、この3か所では露出していることが多いので、直接見ることができます。そこが樹脂製でも他の部分が金属管というケースもまれにありますが、判断材料のひとつにはなります」(水野さん)

 マンションを購入した後、原則2年間は保証期間となっているため、万が一水漏れなどのトラブルが起きても販売業者が修繕する義務がある。ただし保証期間を過ぎると補償や修繕が個人負担となるケースも。また、保険が使えたとしてもいったんトラブルが起きるとマンション内の人間関係がギクシャクすることがある。気に入った物件に長く住むためにも最初のチェックをおろそかにするのは禁物だ。

水回りの大胆な移動はNG

 リノベーションマンションを購入する前に、もう一つチェックすべきは「以前の水回りの配置」。

「マンションの間取りは、基本的に上下階共通です。それなのに自分の住戸だけ水回りの位置を変えてしまうと、とくに下の階からクレームがくる場合があります」(水野さん)

 例えば、バルコニー側の寝室が「外光が降り注ぐ明るいキッチン」や「夜景の見えるバスルーム」に改造されている場合、下階の住人は就寝中にまな板のトントンという音や排水音に悩まされるかもしれない。また、床下の勾配が足りないところに無理に排水管を通すと、汚水がうまく流れなかったり、最悪の場合は水漏れしたりする恐れがある。

「リノベーション前後の図面を比較して、キッチンやバスルーム、洗面所、トイレが大きく移動されている場合は、上下階との関係を確認するのがベターです。また、可能であればその部屋の上階の住人が水回りを大きく移動していないか、確認できると安心です」(水野さん)

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