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乗ってわかった「マツダ3」スカイアクティブX搭載モデルの○と×

2020.01.25

商品として魅力的か? ★★★ 3.0(★5つが満点)

「マツダ3」の第一の魅力は、外観デザインだろう。うねるように表情を変えていくボディの曲面は角度を変えて見るごとに妖艶な表情を作り出していく。太いCピラーとのコントラストも鮮やかで唯一無二の個性を形作るのに成功している。また、この20年ほどの自動車デザインの潮流はボディに明確なエッジを刻む曲線を何本か描きながらキャラクターを浮き立たせていくものだったが「マツダ3」はこの傾向と決別している。

 曲線ではなく曲面でボディに表情を付与しようとしている。おそらく生産技術面でもいくつもの課題を克服しなければならなかったはずだが、新しい造形美を生み出すことに成功したのは見事だ。自動車のデザインにも流行や傾向があり、これまでの日本の自動車メーカーはそれを捉えて咀嚼し、巧みに商品化して成功してきたが、マツダはその方法論を採らなくなっている。マツダ独自のオリジナリティの高いものを生み出そうとしている。

 それが、ここのところ標榜してきた魂動デザインで、「マツダ3」の外観デザインは第二段階に進化させたものだ。「マツダ3」だけでなく、SUVの「CX-30」にもそのデザイン手法は展開されていて、同じように美しく、たいへんに魅力的だ。世界に対して気概を示しているところが大いに頼もしいではないか。いくら拍手してもし切れない。

 と、ここまでは大きな賛辞を送りたいのだが、疑問も残るのである。それは、ドライバー・インターフェイスに現われている。古臭く、外観デザインに込められているような、マツダ開発陣からの“明確な意図”や“強い意思”などがうかがえないのだ。具体的には、メーターパネルのデジタル化が遅れ、太いシフトレバーが鎮座して貴重なスペースを費やしていることなどだ。運転支援やコネクティビティなど、最近のクルマは急速に多機能&高機能化している。現代のクルマが日進月歩しているのは、その部分、その分野なのである。

 多くの機能を働かせれば、安全かつ快適な移動ができるようになった。それらの働き具合を運転しながら確かめるためには、ヨーロッパのライバル車のように、メーターパネルやナビゲーションのモニターパネルなどをデジタル化して、必要なものを切り替えながら大きく表示する必要がある。

 画像は最新のメルセデス・ベンツとシトロエンのものだ。フォルクスワーゲンの新型「ゴルフ」も、メルセデス・ベンツのように全面デジタルモニター化された。ニオをはじめとする中国のスタートアップのEVメーカーなどはもっと大胆だ。

「マツダ3」では、中央のスピードメーターにしかデジタルモニター化が施されていない。左右には、プラスチックの針のある、アナログ式の大きなタコメーターや水温計、燃料残量計が鎮座している。それらはつねに表示しておく必要はないのだから、デジタル化して階層のどこかに仕舞い込んでおき、必要な時に読み出せば良い。

「マツダ3」のドライバーインターフェイスはひと時代前のもので、外観デザインの新しい魅力や「スカイアクティブX」エンジンの革新性に釣り合っていない。もちろん、何でも新しければ良いということもなく、見慣れたデザインや使い慣れた装備で堅実に商品をまとめ上げるという保守的な手法もあっていいし、そうした商品もマーケットには必要だと思う。

 しかし「マツダ3」はチグハグなのである。クルマという商品の方向性とそのまとめ方、指針が分裂している。ここまで新しくした外観デザインと「スカイアクティブX」エンジンの革新性が「マツダ3」の大きな魅力となっているのに、同じ新しさがドライバーインターフェイスにまったく存在せず、古さが足を引張てしまっていることに、関係者は誰も疑問を持たなかったのだろうか。

 もし「マツダ3」のスカイアクティブX搭載車にドライバーインターフェイスやインテリアデザインに新しい考え方や新しい造形などが施されていたら、魅力と説得力はさらに増し、商品性は大きく向上するから特別感も出て、68万円高も価格も高く感じなくなるだろう。つくづく、もったいないと思う。

 ここまでわかりやすくなくても、ドライバーインターフェイスを重視せず、デジタル化に無頓着な傾向には他の日本車メーカーでも陥っている。ガラパゴス化だ。だが、魂動デザインを進化させ、スカイアクティブXエンジンを実現したマツダには期待しているので、次の動きに注目していたい。

■関連情報
https://www.mazda.co.jp/cars/mazda3/

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

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