中国がお祭りムードに包まれる「春節」。その様子をテレビで見たことがある方も多いだろう。春節は中華圏でもっとも重要な期間であり、特に中国では1年の内で国内がもっとも盛り上がる期間だ。
では、そもそも春節にはどのような意味や歴史があるのだろうか。本記事では、中華圏で重要視されているイベント”春節”について解説する。
春節とは
春節とは、中華圏における「旧暦の正月」のこと。特に中国では、春節がもっとも重要な祝祭日とされており、全土で新暦の正月よりも盛大に祝賀が行われる。
中国には他に、清明節・労働節・端午節・中秋節・国慶節などの祝日があるが、春節は特に大型連休となることから、国内外に旅行をする人や故郷に帰る人が増える時期でもある。
春節は、中国語の「正月初一(古代における元旦)」を表す言葉で、英語では「Spring festival」「Chinese New Year」などと訳される。
そもそも新暦、旧暦とは?
・新暦
現在日本で使われている暦は、地球が太陽を周回する日数(365日+4年に1度のうるう年の1日)に基づく「太陽暦(グレゴリオ暦)」。太陽の運行に沿って日を数えるため、季節にズレが生じないのが特徴だ。
・旧暦
中国でも現在は「新暦」が用いられているものの、過去には独自に発達した暦がいくつも存在する。今の新暦に移行する前は、月の満ち欠けのみで日を数える「太陰暦」に、太陽の運行を組み合わせ「閏月」が存在する「太陰太陽暦」が用いられていた。これを新暦と区別して旧暦と呼ぶ。その「旧暦の正月」にあたるのが春節だ。
春節の歴史
春節の歴史は長く、起源は殷・商時代(紀元前17世紀)と言われる。年末年始に神や祖先への祭祀、豊作を祈念する大切な行事として行われていたようだ。
春節の過ごし方、習慣、風習
では、現代は春節の期間、中国の人はどのように過ごしているのだろうか。
春節の過ごし方
大晦日の夜(春節の前日)は、一家団欒で食事をするのが一般的。日本の紅白歌合戦のような「春節聯晩会(しゅんせつれんかんばんかい)」を観ながら新年を迎える人も多いようだ。
水餃子や伝統料理「湯圓(たんゆえん)」、おせち料理「年菜」などの正月料理を用意し、日本のお正月のように過ごす。年が明けたら、日本の「明けましておめでとう」を意味する「新年快乐!」と春節の挨拶をするのが風習だ。
春節のお年玉「圧歳銭」
日本のお年玉のように子供には「圧歳銭(あっさいせん)」を渡す習慣がある。「紅包(ほんはお)」という紅い袋にお金を入れて渡すのが一般的。
春節の飾り
春節中、街は「一家団欒」の象徴とされる赤い灯籠や提灯が飾られ、家には赤い紙に縁起の良い言葉・句が書かれた「春聯(しゅんれん)」を貼る。
室内には工芸品の絵画「年画(ねんが)」を、窓には剪紙(切り絵)を貼り、お祝いムードを盛り上げる。
春節祭(しゅんせつさい)
春節の期間中は、爆竹が鳴り響き、獅子舞や龍の舞いなどで盛大に盛り上がることでも有名だ。
兵庫県神戸市、中華街として知られる南京町では毎年、旧暦の正月に合わせて「春節祭(しゅんせつさい)」が開催される。同祭は、1997年には神戸市の地域無形民俗文化財に指定された。
また、横浜中華街でも期間中は本場中国の春節の雰囲気が味わえるイベント・催しも開催される。
2020年の春節 期間はいつまで?
中国の春節の期間は、先述したとおり旧暦の太陰太陽暦に基づいて決定するため、毎年日にちが異なるのが特徴だ。
2020年の春節
2020年は、1月25日(土)が春節にあたり、中国では大晦日1月24日(金)から1月30日(木)までの7日間が、春節連休として定められている。
春節の正式なスケジュールは毎年、前年の12月に国務院(中央政府)から発表されるのが恒例だ。
中国以外にも春節はあるの?
春節は、韓国・シンガポール・ベトナム・マレーシアなどの9カ国で、数日間の祝日が設定される。(ただし、休暇の日程は国によって異なる)
【国民の休日に設定される国】
・中国
・大韓民国
・朝鮮民主主義人民共和国
・シンガポール
・モンゴル
・マレーシア
・ベトナム
・インドネシア
・ブルネイ
各国、特に中国では「帰省ラッシュ」となるため、期間中は交通機関の混雑が予想される。この期間に各国への旅行を検討している方は、事前に情報をチェックしておこう。
文/oki