中国発祥の蒸留酒『白酒』は、クセがなく飲みやすいことでファンを増やしています。まろやかな口当たりや香りが特徴で、年齢性別を問わず多くの人々から指示を得ています。白酒の種類や飲み方について掘り下げます。
白酒について知ろう
『白酒』と書いて『ぱいちゅう』『ばいじょう』と読みます。
日本では、ひな祭りに飲む白濁酒を白酒(しろざけ、しらざけ)と呼びますが、中国産の『白酒』はまったく別の蒸留酒です。飲み口のよさなどが好評を得て、愛飲する人が増えてきているのでご存知の方も多いでしょう。
白酒は、数ある中国酒の一つです。中国の酒といえば『紹興酒(しょうこうしゅ)』が有名ですが、紹興酒は『黄酒』に分類される1種類に過ぎず、他にも果酒、薬酒などが存在します。
白酒は、中国では古い歴史を持ちますが、日本国内では紹興酒に代表される黄酒がメジャーで、これまであまり知られてきませんでした。近年、脚光を浴びる白酒について見ていきましょう。
中国酒の歴史と読み方
中国酒の歴史は古く、少なくとも5000~6000年以上前から酒の醸造が行われてきました。
前漢の歴史家、司馬遷による『史記』(紀元前91年頃成立)では、「夏(か)の国初代国王禹(う)の頃、儀狄(ぎてき)という人が発明した」と記されています。
中国での酒は当初、大切な儀式に用いられるなど、支配層者だけのものでした。その後、農業が発達するにつれ、酒づくりの原料となる穀物類や果実などの収穫も増大、酒の醸造も進化していきます。
世界三大蒸留酒の1つ
農業の発達と収穫量の増加が進み、紀元前1300年ごろになると、酒は、広く大衆にも広がりを見せたとされます。
12世紀後半には、本格的な蒸溜酒を製造していたことが確認されています。
白酒が登場したのも、この時期です。その精巧な醸造技術は世界的にも高く評価されており、ブランデー・ウイスキーと並んで世界の三大蒸溜酒とされています。
白酒の種類
一口に白酒といっても、その種類は一つではありません。製造や原料となる麹によって種類は異なり、香りによっても分類されます。
製法や麹による違い
白酒が生産されているのは、主に雑穀の生産地です。高粱(コーリャン)を始め、トウモロコシ、キビなどが原料となるため中国北方や南西地方などが生産の中心です。
日本の焼酎もそうですが、その土地ごと醸造法が少しずつ違い、また発酵させてアルコールを作る麹の種類も異なります。そのため、中国の酒の中で、白酒は種類の多さが特徴的ともいえます。
原料料の違いから、高粱酒や包米酒など別の名前で呼ばれることがあります。また、麹の種類によって大曲酒や小曲酒・麩曲酒などと呼び方が変わります。
産地名によっても、名称に違いが生じます。汾酒(フェンチュウ)や茅台酒(マオタイ)という呼び名もあり、それぞれに独自の味わいや香りを持っています。
香りによる分類
香りによる白酒の分類は、大きく以下の3種類によってなされます。順に説明していきましょう。
まず『醤香』です。『醤香』は、柔らかくまろやかな風合いが特徴で、口の中に長く残る味わいと、ほんのりと焦げたような香りが独特です。代表的な銘柄として『茅台酒』(貴州省)や『郎酒』(四川省)があります。
多様な味が調和した『清香』タイプの白酒は、上品で雑味のない、さっぱりとした味わいが人気です。『西鳳酒』(シイフォンジュ、陝西省)や『汾酒』(山西省)が代表的なものになります。
最後の『濃香』タイプの白酒は、熟成された独特な香りの芳しさが魅力です。しなやかな味と甘みが後まで続きます。代表的なものとしては、『五粮液』(ウーリャンイエ、四川省)『剣南春』(四川省)などです。
五粮液や茅台酒など主な銘柄
よく知られる白酒の主な銘柄と、その特徴について紹介していきましょう。穀物の豊かな香りと甘みで広く人気があるのが前述の『五粮液』です。
また、中国ではお祝いの席に用いられる正統派であり、高級品といえば『貴州茅台酒』でしょう。300年以上の歴史を有し、国酒としての栄誉を博する銘酒といえます。
『金門高粱酒』も幅広い世代に支持されている銘柄の一つです。長時間に渡って風味が衰えない点で、オンザロックやカクテルに適しています。
リーズナブルな大衆酒として紹介するのは『特制 二鍋頭酒』です。独特のクセがありますが、それが後を引くというファンに支えられています。
おいしい飲み方とは
数多くの種類や銘柄が存在する白酒ですが、それらをおいしく味わうおすすめの飲み方を説明していきます。自分にマッチした方法で楽しみましょう。
本来はショット向けの酒
白酒を初めて味わう人が最初に気付く点が、香りでしょう。比較的強いとされるラム酒やテキーラを凌ぐ香りをたたえています。
冬には極寒の地となる場所もある中国において、白酒には身体を温める効果もあります。平均50~65度という高いアルコール度数で醸造された白酒は、本来ショット向けの酒です。
飲む際にも、アルコール度数の高い酒によく使われるように、かわいらしい控えめなグラスが、白酒を飲むには向いています。しかし、一気に大量の白酒を飲むことは控えましょう。
ストレートやカクテルなど
ショット以外での白酒の飲み方としては、白酒そのものの味わいを楽しめるストレートがおすすめです。また、氷を入れたグラスに注いで、オンザロックにしても豊かな口当たりが感じられます。
水割りやカクテルにも適した面を持っていることも、白酒が人気を広げている理由でしょう。ソーダやジュースなど、多様なバリエーションを試してみてはいかがでしょうか。
構成/編集部