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昨年10月から始まった幼保無償化で幼稚園を希望する親が増加

2020.01.12

2019年10月1日より始まった幼保無償化。幼稚園や保育園、認定こども園などにおける3~5歳児、または、住民税非課税世帯の0歳~2歳児クラスまでの子供たちの利用料が無料になる新制度として話題となった。

では、実際のところ、この幼保無償化は子を持つ親の意識をどれくらい変えたのだろうか?

そこでこのほど、保育に特化した求人サイト「ココキャリ」を運営するキャリアフィールドにより、「幼児教育・保育の無償化に関する意識調査」が実施されたので、その結果を紹介していきたい。

なお本調査は、保育園や幼稚園などに子どもを通園させている310人と、2020年4月から通園させる予定の314人からなる、25歳~34歳の保護者計624人を対象としている。

幼保無償化に伴い、幼稚園や保育園などの施設利用が増加

2020年4月から保育園や幼稚園などの施設に子どもを通園させる予定の29歳~34歳の保護者を対象に、「幼児教育・保育の無償化をきっかけに利用しようと思った施設、サービス」について尋ねる調査が行われたところ、31.5%の人が「保育園や幼稚園などの施設の通常利用」と回答した。

これにより、3割近くの保護者が幼児教育・保育の無償化(以下、幼保無償化)をきっかけに新たに施設の利用を検討したことが明らかになった。

施設に求められるニーズの多様化が明らかに。負担が増え、保育士不足が加速

また、「保育園や幼稚園などの施設の通常利用」だけでなく、幼保無償化が「幼稚園の預かり保育」「保育園の延長保育」「幼稚園の後に保育園の延長⾧保育」を利用するきっかけとなった傾向もうかがえる。

このニーズはすでに子どもを保育園や幼稚園などに通園させている人でも生じていることから、保育園や幼稚園などに求められるニーズが多様化することで、受け入れる施設側への負担が大きくなることが想定される。

施設では、多様化するニーズに対応するため、新たな人材の確保が必要になり、近年問題視されている保育士不足がさらに深刻化することも予想される。

保育サービス利用者が増え続ける中、幼保無償化に伴う施設利用者の増加で、保育の需要はますます増加することが予想される。

一方、ニーズの多様化による保育士不足で保育の受け皿の供給が困難になる恐れがある。政府は「子育て安心プラン」で、2020年度末までに待機児童解消を図るという目標を掲げているが、幼保無償化の影響により保育の需要と供給のバランスがさらに崩れることで、待機児童解消に疑問が残る結果となった。

希望する施設は「幼稚園」が増加。「認可保育園」を支持する人は依然として多い結果に

希望した施設のジャンルについて尋ねる調査が行われ、すでに通園させている人と2020年4月から通園させる予定の人を比較すると「認可保育園」が前年比6.6%減少したのに対し、「幼稚園」は前年比8.1%増加していることが明らかになった。

幼稚園を希望する理由について、「無償化がはじまり、安く通えるから」といった回答もあり、幼保無償化が幼稚園の潜在ニーズの掘り起しに寄与していることが明らかになった。

さらに、「幼児教育・保育の無償化をきっかけに利用しようと思った施設、サービス」についての質問で「保育園や幼稚園などの施設の通常利用」と答えた人について、通園させている人、2020年4月から通園させる人を合わせた内訳をみると、「認可保育園」と回答した人が44.8%であるのに「幼稚園」が47.1%と多い
ことがわかった。

幼保無償化前には「子どもを保育園に預けて働く人が増える」といったことを予測する声も聞かれていたが、「幼稚園」と答えた82人中47人(57.3%)は「働いていない」という結果となり、予測とは異なる傾向がみられた。

また、「認可保育園」を希望する人については、すでに通園させている人が 47.4%であるのに対し 2020年4月に通園させる予定の人は 40.8%と減少で推移しているものの、「認可保育園」を希望する人は依然として多くいる実状も浮き彫りとなっている。

その理由として費用面よりも「安心」と回答した人が多く、安全面の確保はもちろんのこと「認可保育園」にはない独自の保育方針や保護者の多様なニーズに対応するメニューを展開する「認可外」の保育施設が多いにも関わらず、認可ではないことに対して費用よりも安全面でネガティブなイメージが先行している実態が挙げられる。

■「認可保育園」を選んだ理由の主な回答

「保育料の負担が少なく、保育の質も高いように感じるから。」(愛知県・30歳)
「認可、不認可の意味はわからないが、認可の方が良心的で信頼できそう」(北海道・33歳)
「認可が降りているほうがないよりは安心だから」(鳥取県・28歳)
「認可保育園は園庭や室内が広く、国の認可も下りている保育園なので、保育士の数が確保されて安心できるため」(鹿児島県・29歳)

この結果から、幼保無償化で費用面の負担が軽減されたとしても、「認可保育園」に希望が集中することが予想される。これにより、例年のように「認可保育園に入りたいけれど入れなかった」、「保育園落ちた」といった声が上がることも想定され、引き続き待機児童への対策が必要になると考えられる。

【調査概要】
・調査方法 :インターネットによる調査
・調査期間 :2019年11月22日(金)~2019年11月27日(水)
・調査対象 :25~34歳の女性 624人
1保育園や幼稚園などに子どもを通園させている人 310人
22020年4月から通園させる予定の人 314人
・委託会社 :株式会社ジャストシステム

出典元:キャリアフィールド株式会社

構成/こじへい

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